目次
また、中には注意が必要だと考えられている添加物や原材料もあるので、合わせて確認しましょう。
ドッグフードの原材料の見方
ドッグフードには、犬に必要な栄養素や嗜好性を満たすために、肉や魚、小麦や米、野菜やフルーツ、添加物など様々な原材料が使用されています。
パッケージ裏や公式サイトには、以下のようにドッグフードに使われている原材料が表示されているので、簡単に確認することができます。
原材料名欄は1%以上の配合のものは多い順で記載されているので、上記では、チキンが第一主原料、サーモンが2番目に多い原材料となります。上記では以下略と記載していますが、日本では原則ドッグフードに使用した原材料や添加物はすべて記載しなければなりません。
日本で販売されるドッグフードは、原材料の他にもペットフード安全法(ペットフード安全法のあらまし|環境省)によって、名称、賞味期限、原産国名、事業者名・住所を必ず表示しなければならないと定められています。
ドッグフードで使用される原材料の種類
- 肉類
- 魚類
- 穀類
- 野菜類
- 豆類
- 果物類
- ハーブ類
- 機能性原材料
- 添加物
ドッグフードで使用される原材料一覧
原材料 | 食材名 | 豊富な栄養素・特徴 | |
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肉類 | 鶏肉 | 鶏生肉 脱水鶏肉 鶏レバー チキンミール 鶏脂 | ・タンパク質 ・メジャーで安定供給が可能 ・脂質は控えめ |
牛肉 | 牛肉 ビーフミール 牛脂 | ・タンパク質 ・脂質 ・肥育剤やBSEが懸念 |
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豚肉 | 豚レバー 豚肉 ポークミール | ・タンパク質 ・脂質 ・ビタミンB群が豊富 ・ホルモン剤の心配 |
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馬肉 | ・高タンパク ・超低脂質 ・ジビエ(野生動物) ・細菌感染のリスクが低い |
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猪肉 | |||
卵 | 鶏卵 | 乾燥全卵 | |
うずら | |||
ミートミール | 乾燥肉粉 家禽ミール | ・タンパク質 ・肉の種類が不特定 ・避けられる原材料の一つ |
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魚介類 | サーモン | サーモン 生サーモン 脱水サーモン サーモンオイル | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・アスタキサンチン ・ビタミンB群 ・ビタミンE |
タラ | タラミール 白身魚ミール | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンB12 ・ヨウ素 ・セレン ・リン |
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フィッシュミール | 乾燥魚粉 | ・タンパク質 ※配合される魚による |
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穀類 | 小麦 | 小麦粉 小麦グルテン 小麦グルテンミール | ・炭水化物 ・食物繊維 ・グルテン |
トウモロコシ | トウモロコシ粉 コーンスターチ | ・炭水化物 ・食物繊維 |
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コーングルテンミール | |||
米 | ・炭水化物 ・食物繊維 ・低アレルゲン |
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大麦 | |||
玄米 | ・炭水化物(低GI) ・食物繊維 |
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米糠 | |||
ライ麦 | |||
オート麦 | |||
蕎麦 | |||
アワ | |||
ヒエ | |||
キヌア | |||
雑穀 | |||
豆類 | エンドウ豆 | エンドウ豆ミール | ・炭水化物(低GI) ・食物繊維 |
インゲン豆 | ・植物性タンパク質 ・炭水化物(低GI) ・食物繊維 |
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レンズ豆 | ・炭水化物(低GI) ・食物繊維 |
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そら豆 | ・植物性タンパク質 ・炭水化物(低GI) ・食物繊維 |
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ひよこ豆 | |||
グリンピース | |||
大豆 | 大豆ミール | ・植物性タンパク質 ・イソフラボン ・炭水化物(低GI) ・食物繊維 ・アレルギーに注意 |
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納豆 | |||
おから | |||
きなこ | ・植物性タンパク質 ・イソフラボン ・炭水化物(低GI) ・食物繊維 ・アレルギーに注意 |
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野菜類 | ジャガイモ | ポテトスターチ ジャガイモでんぷん ジャガイモタンパク | ・炭水化物 ・ビタミンC ・モリブデン |
サツマイモ | スイートポテト サツマイモでんぷん | ・炭水化物(低GI) ・ヤラピン ・ビタミンB6 ・ビタミンC ・ビタミンE ・葉酸 ・モリブデン |
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チコリ | ・イヌリン (水溶性食物繊維) ・葉酸 ・ビタミンK |
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ニンジン | ・βカロテン ・食物繊維 |
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トマト | ・炭水化物 ・食物繊維 ・ビタミンC ・リコピン |
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キャベツ | ・不溶性食物繊維 ・ビタミンK ・葉酸 ・ビタミンC ・モリブデン |
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カボチャ | ・炭水化物 ・食物繊維 ・βカロテン |
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ブロッコリー | ・ビタミンC ・不溶性食物繊維 ・モリブデン ・βカロテン ・シュウ酸 |
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ほうれん草 | |||
きのこ類 | 椎茸 | ・食物繊維 ・グアニル酸 ・βグルカン |
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えのき | |||
しめじ | |||
エリンギ | |||
しいたけ | |||
マッシュルーム | |||
キクラゲ | |||
アガリクス | |||
果物類 | クランベリー | ・キナ酸 ・アントシアニン ・食物繊維 ・ビタミンE ・ビタミンC |
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ブルーベリー | ・アントシアニン ・シアニジン ・ビタミンE ・ビタミンC ・食物繊維 |
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ラズベリー | ・ビタミンC ・食物繊維 ・ビタミンE ・銅 |
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マルベリー | ・アントシアニン ・ビタミンC ・ビタミンE ・食物繊維 |
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カウベリー | |||
ストロベリー(いちご) | |||
ザクロ | |||
りんご | ・糖質 ・プロシアニジン (リンゴポリフェノール) ・食物繊維 ・ビタミンC ・リンゴ酸 ・クエン酸 |
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オレンジ | ・ビタミンC ・ビタミンP (ヘスペリジン) ・クエン酸 ・糖質 |
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バナナ | ・糖質 ・食物繊維 ・カリウム ・ビタミンB6 ・ビタミンC ・モリブデン |
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イチゴ | ・アントシアニン ・葉酸 ・ビタミンC ・モリブデン ・糖質 |
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ナシ | ・糖質 ・カリウム ・プロテアーゼ |
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パイナップル | ・糖質 ・ビタミンC ・ビタミンB1 ・マンガン ・銅 ・ブロメライン ・糖質 ・食物繊維 |
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パパイヤ | ・ビタミンC ・葉酸 ・パパイン ・βカロテン |
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アボカド | ・オレイン酸 ・食物繊維 ・ビタミンE ・葉酸 ・パントテン酸 |
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ハーブ類 | ローズマリー | ・記憶力を高める ・リラックス作用 ・血行促進作用 ・肝機能を高める |
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オレガノ | ・消化の促進 ・鎮静作用 ・殺菌作用 |
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セージ | ・抗菌 ・抗ウイルス ・防腐 ・収れん ・制汗 ・内分泌調整 |
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タイム | ・抗菌 ・殺菌 ・気管支鎮痙 ・抗ウイルス ・防腐 ・去痰 ・利尿 ・強壮 ・鎮痙 ・疲労回復 |
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ペパーミント | ・鎮静作用 ・抗菌作用 ・防腐作用 ・発汗作用 ・利尿作用 ・脳の機能を高める ・胃腸の機能を調整 |
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マジョラム | ・鎮静 ・鎮痙 ・消化促進 ・食欲増進 ・利尿 ・強壮 |
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シソ | ・発汗(感冒) ・利尿、鎮痛 |
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バジル | ・消化促進 ・殺菌 ・強壮 ・健胃 ・消化促進 ・抗菌 ・鎮痙 ・抗うつ ・抗アレルギー |
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カモミール | ・リラックス効果 ・抗菌作用 ・安眠効果 ・鎮静作用 ・貧血改善 |
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マリーゴールド | |||
セイヨウタンポポ | |||
ベニバナ | |||
フェヌグリーク | |||
アルファルファ | |||
アニス | ・消化の促進 ・防腐作用 ・消臭作用 ・腸内のガスの排泄を助ける ・気管にたまった痰の除去を助ける |
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チャービル | |||
パセリ | ・利尿 ・抗炎症 ・鎮静 ・血圧降下 |
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西洋イラクサ | |||
ローズヒップ | ・抗酸化作用 ・鎮静作用 ・消化の促進 ・利尿作用 |
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ユッカ | |||
シナモン | ・抗酸化作用 ・鎮静作用 ・消化の促進 ・利尿作用 |
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スピルリナ | ・利尿作用 ・疲労回復 ・便通促進 ・健胃作用 |
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機能性食材 | 乳酸菌 | ラクトバチルス属 エンテロコッカス属 ビフィズス菌 | ・整腸作用 ・免疫機能サポート |
オリゴ糖 | フラクトオリゴ糖 マンナンオリゴ糖 | ・整腸作用 ・便秘予防 ・免疫機能サポート |
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グルコサミン | ・関節の健康維持 ・軟骨を構成 |
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コンドロイチン | ・関節の健康維持 ・軟骨を構成 |
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ビール酵母 | ・整腸作用 ・便秘予防 ・免疫機能サポート |
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セルロース | |||
ビートパルプ | |||
油脂類 | 動物性油脂 | 鶏脂 牛脂 サーモンオイル | ・不特定な動物の油脂 ・脂質 ・オメガ6脂肪酸 |
植物性油脂 | ・不特定な植物の油脂 ・脂質 |
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オリーブオイル | ・脂質 ・オメガ9 |
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月見草油 | ・脂質 ・オメガ6(γリノレン酸) |
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魚油 | 魚油 フィッシュオイル | ・不特定な魚類の油脂 ・脂質 ・オメガ3脂肪酸 |
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添加物 | 添加物の記事はこちら |
肉類
ドッグフードでは肉類が最も高い割合を占める主原料であることが多く、牛・豚・鶏・ラム・馬・鹿など様々な肉が使われています。
レバーや動物性油脂(鶏脂、牛脂)など特定の栄養素が多く含まれる部位を使用したドッグフードもあります。
肉類には動物性タンパク質を始め、脂質やビタミン、ミネラルなど犬にとって必要な栄養素がたくさん含まれています。
中にはミートミールや家禽ミール、乾燥肉粉など、不特定な動物が混合された肉原料を使用した製品もあります。
魚介類
魚介類は、肉類とともに動物性タンパク源の供給源としてよく利用されています。サーモンやオキアミ、魚油などは、肉類を併用して使用されることも多いです。
また肉にアレルギーがある犬は、魚介類を主原料にしたドッグフードがアレルゲン除去食として食べられます。
穀類
穀類は、10~20年前以降のドッグフードでは非常に高い割合で配合されていました。使用される穀物は小麦・トウモロコシ・米などの三大穀物の他、雑穀や大麦、オートミール、キヌア、アマランサス、黒米、米糠などさまざま。
以前は製造コストを下げるために、かさ増し原料として穀物が高配合にされていましたが、現在はそのようなメーカーは徐々に少なくなってきています。
穀物には炭水化物が豊富なので、製造時にα化していればエネルギー源として利用することができます。ただ近年は血糖値上昇による肥満や穀物アレルギーに配慮したグレインフリー(穀物不使用)フードも人気です。
豆類
豆類は海外産・国内産問わず、様々なドッグフードに利用されています。エンドウ豆やひよこ豆、レンズ豆、大豆などがよく使用されています。
いずれの豆も、食物繊維や植物性タンパク質が豊富に含まれています。
特に穀物を使用しないグレインフリーフードでは、炭水化物源として多めに配合されていることが多いです。
野菜類
野菜類はドッグフードの食物繊維源、ミネラルやビタミン源として配合されています。
特にドッグフードで使用されるのは、ジャガイモやサツマイモなどの芋類です。炭水化物が多いので豆類と同様グレインフリーフードでよく使われます。
また、トマトやチコリ、ブロッコリー、ニンジンなどもメジャーな原材料です。
果物類
果物類はドッグフードに必要不可欠なものではありませんが、リンゴやオレンジ、抗酸化作用のあるベリー類などがよく使用されます。
野菜と同様、ミネラルやビタミンが豊富です。また果物は犬の嗜好性が高い甘味をもつ食べ物でもあります。
子犬の時期は果物に対してアレルギーが出やすいので、与え始める時期や果物の種類は考慮した方がいいかもしれません。
ハーブ類
ハーブ類は、ドッグフードでも小量で風味のアクセントとして使用されています。特に海外産のドッグフードではハーブ類を使用し、豊かで香ばしい香りに仕上げている製品が多い印象です。
オレガノ、タイム、セージ、イラクサ、シナモン、カモミール、アニスなどがあります。
ハーブにはそれぞれ作用があり、たとえば消化機能の調整や促進、抗菌、鎮静、防腐、血流改善、リラックス効果など様々な効果があります。
他機能性食材
ドッグフードには乳酸菌、オリゴ糖、ビール酵母を始め、グルコサミンやコンドロイチン、セルロースやビートパルプなど、腸内環境や関節、免疫などに配慮した様々な機能性食材が使用されています。
添加物
ドッグフードには、フードの品質を守ったり製品をよく栄養素を補うために添加物が使用されています。
酸化防止剤や保存料、着色料、香料、栄養添加物など、添加物と一言で言っても様々ですが、添加物はドッグフードの品質を守るためであったり、犬の栄養バランスを整えるために添加されることがほとんどであるため、一概に悪いというわけではありません。
自然由来の添加物なのか化学由来なのか、添加物にも種類があるので、添加物の有無ではなく、どのような添加物が配合されているかチェックしましょう。
注意したいドッグフードの原材料や添加物
ミートミール・家禽ミール
ミートミールや家禽ミール、また4Dミート(死骸や死にかけている動物、病気や障害のある動物を使用した肉)などが危険視されています。
様々な動物が混ぜ合わされているということから、いくつかの点が問題視されています。
- 病気や問題を持った動物が使用される可能性
- 犬や猫などの同種の動物が含まれるかもしれない
- 不特定な動物種なのでアレルギー対策が難しい
ミートミールや家禽ミールを使用しなくてもコストパフォーマンスのいいドッグフードはたくさんあるので、きちんと種類まで詳細に記載されているドッグフードがおすすめです。
合成添加物
化学合成によってつくられた合成添加物は、発がん性や遺伝毒性の危険性が懸念されることから人工添加物の中でも避けたいと考える方が多い添加物です。
ペットフードに使用される場合、規定値を大きく下回った量の使用なので体への害はないと言われていますが、リスクが0とは言いきれません。
ドッグフードの原材料表示の抜け道
上記のように基本的にはすべての原材料を記載しなければならないペットフードですが、「加工助剤」と呼ばれる添加物の中には例外があり、ドッグフードの原材料名欄に記載しなくても良いものがあります。
- ペットフードの製造の過程において除去されるもの
- 当該ペットフードの原材料に起因してそのペットフード中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの
- 当該ペットフード中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該ペットフードに及ぼさないもの
ただ事業者が上記のような加工助剤であることを説明できない場合には表示を省略することはできません。