ドッグフードの原材料:豆類
豆類はどんな原材料?
ドッグフードではエンドウ豆、ひよこ豆、きなこ、小豆、また大豆や脱脂大豆や大豆ミールなど様々な豆や豆の加工材料が使われています。
豆はマメ科植物の種子のことで、他の植物よりも種子部分が大きく成長するため栄養も豊富です。マメ科の植物でも種子が小さ過ぎるものは豆ではなく種として利用されるので、「豆」と呼ばれる種類は、しっかりと養分がつまって大きくなった選りすぐりの栄養が豊富な食材とも言えます。
グレインフリドッグーフードやプレミアムフードでも穀物の代わりに炭水化物源としての利用が多いです。
豆類が使用されていてもグレインフリー(穀物不使用)といえる?
豆類は穀物に含まれない
豆は菽穀類にあたり、広義には穀類に分類されますが、一般的に穀類はイネ科植物の種子を指して使われることが多いので豆類は穀物には含まれません。
このためドッグフードに豆類や芋類が使われていても穀物不使用と記載することができます。
海外でも穀物に豆は含まれない
また、グレインフリー(穀物不使用)の考え方はもともと海外から来たものですが、海外でもグレイン(穀物)に芋類や豆類は含まれません。本来の意味や目的から考えても豆類は穀物に含まれないという認識で問題ないでしょう。
ドッグフードの豆類に豊富な栄養素
- 炭水化物(デンプン、食物繊維)
- 植物性タンパク質
- モリブデン
- ビタミンB1
炭水化物
豆は炭水化物が豊富で、成分のおよそ半分(4~6割)が炭水化物で構成されています。
グレインフリーのように穀物不使用のドッグフードでは芋類や豆類が重要な炭水化物源となります。豆類の炭水化物はGI値が低く、血糖値を上げにくいので犬の肥満や体重管理にもおすすめの食材です。
また炭水化物に含まれる食物繊維は犬の腸内の掃除や便通促進にも効果的です。
植物性タンパク質
豆のおよそ2割は植物性タンパク質が構成しています。大豆にいたっては植物性タンパク質の割合が3割以上で「畑の肉」と呼ばれるほどです。
豆類に含まれる植物性タンパク質のアミノ酸スコアは高くありませんが、米や他の食材と組み合わせることで足りないアミノ酸スコアを補うことも可能です。肉や魚のようにそれだけで利用性の高い状態ではありませんが、必ずしも植物性タンパク質が利用できないわけではなく、ドッグフードに含まれている他の食材次第になります。
低脂質でヘルシー
豆の脂質量は100gあたり1~5g程度と非常に少ないので犬の体重管理やダイエットフードの食材として利用できます。脂質も犬にとって必要な栄養の一つですが、多く摂りすぎれば肥満や病気の原因になるので、豆はタンパク質を補いつつ脂質を抑える食材としておすすめです。
モリブデン(ミネラル)
ミネラルの一つで豆類に豊富に含まれるモリブデンは、犬の肝臓や腎臓で体内の代謝や有害物質を分解する酵素成分として働きます。
犬の鉄分の働きを高めたり、造血作用があることから血液にも必要なミネラルです。 モリブデンは穀類、豆類、種実類に多く含まれますが、穀類を使用しないドッグフードの場合は、豆類がモリブデンの主要な供給源となります。
ドッグフードの代表的な豆の種類
ドッグフードでお馴染みの代表的な豆類の成分の割合を表にしました。
100gあたりの成分値 | エンドウ豆 | 大豆 | ひよこ豆 | インゲン豆 | レンズ豆 | そら豆 |
---|---|---|---|---|---|---|
タンパク質 | 21.7g | 33.0g | 20.0g | 19.9g | 23.2g | 26.0g |
脂質 | 2.3g | 21.7g | 5.2g | 2.2g | 1.3g | 2.0g |
食物繊維 | 17.4g | 15.9g | 16.3g | 19.3g | 17.1g | 9.3g |
ミネラル | 2.2g | 4.8g | 2.9g | 3.6g | 2.7g | 2.8g |
カロリー | 352kcal | 417kcal | 561kcal | 333kcal | 353kcal | 348kcal |
エンドウ豆
エンドウ豆はグレインフリーフードやプレミアムフードでよく見かける食材の一つで、エンドウ豆は繊維やタンパク質を取り出した原材料が繊維源やタンパク源として利用されることもあります。
エンドウ豆は種子の成長に応じて、サヤエンドウやグリーンピースと呼ばれ方が変わります。栄養素は違ってきますが種類はすべて同じです。
ヒヨコ豆
ヒヨコ豆はインドでよく食べられている食材でガルバンソーとも呼ばれます。日本での生産はほとんどなく、あまりメジャーではありませんが、炭水化物量が多くカロリーも高いため犬のエネルギー供給源として利用できる食材です。
ソラ豆
ソラ豆は最も種子が大きい豆で、植物性タンパク質が豊富なので大豆の代用原料として使用されることもあります。ソラ豆はミネラル分が豊富なのでドッグフードではあまり多く使用されることはありません。おやつや手作り食でソラ豆を使用する場合も使用量には注意しましょう。
大豆
大豆は植物性タンパク質が非常に多く、アミノ酸も豊富です。ビタミンやミネラルなどほかの栄養素もまんべんなく豊富で広い範囲をカバーできる優れた豆です。
大豆は日本でも調味料や豆腐、油揚げなど様々な食品に加工されるため副産物も多いので、国産ドッグフードでは特に脱脂大豆や大豆ミール、おからなど様々な大豆由来の原材料が使用されています。
大豆は非常に栄養面でメリットの多い豆ですが、遺伝子改良された品種も多く、また犬のアレルゲンになりやすい食材の一つなので、アレルギー体質の犬は気を付けたいところです。
ドッグフードの豆類:まとめ
- 4~6割が炭水化物で構成され犬のエネルギー源となる
- ドッグフードにはエンドウ豆や大豆がよく使用される
- 低脂質、低GI、低アレルゲン