ドッグフードの原材料:昆布(kelp)
国産ドッグフードの使用頻度が高い原材料
ドッグフードの原材料として使用される昆布は、旨味成分のグルタミン酸や必須栄養素のヨウ素、カルシウムなどを含む食材です。海に囲まれた日本では昆布の消費量が多く、わたしたちの生活にも馴染み深いため、海外製品に比べて国産ドッグフードの方がよく使用されています。
愛犬の手作り食につかって大丈夫?
昆布は愛犬の手作りごはんに使っても問題ありません。
昆布をそのまま与えると非常に固く喉に詰まらせる可能性もあるので、ダシを取るために使用したり、昆布そのものを与える場合は細かく刻んでから与えるようにしましょう。
昆布からダシをとる方法
- 昆布20gを1Lの水に入れて弱火にかける(5~10分)
- 鍋肌に気泡がぷつぷつとついてきたら(60~70度)昆布を取り出す → 【一番だし】
- 取り出した昆布を500mlの水と鍋に入れる
- 5分ほど煮出す → 【二番だし】
犬における昆布の栄養素と働き
成分分析値 | たんぱく質 | 8.0g |
脂質 | 2.0g | |
炭水化物 | 57g | |
カルシウム | 760mg | |
鉄 | 2.4mg | |
ナトリウム | 2,700mg | |
ビタミンA-βカロテン量 | 850μg | |
ビタミンB1 | 0.8mg | |
ビタミンB2 | 0.35mg | |
ビタミンC | 15mg |
うま味成分でありGABA生成を行うグルタミン酸が豊富
昆布には旨味成分のグルタミン酸が豊富に含まれています。グルタミン酸は酸性アミノ酸の一種で、味の素やだしの素などの旨味調味料の主成分です。美味しさをアップさせる働きがあるので、昆布を使えば調味料を使わなくても天然の旨味成分を取り入れることができます。
この「うま味」については、ここ数十年で新しく発見された第4の味覚であるのに加え、人と犬では味覚の感じ方がまったく同じというわけではないので、旨味成分のグルタミン酸が、犬の嗜好性にどのくらい効果や影響があるのかについてはよく分かっていません。
ただ、グルタミン酸は、旨味成分としての側面だけでなく、リラックス成分GABAを生成する働きがあり、アンモニアを解毒して体外への排出を促す利尿効果があります。また、興奮系の神経伝達物質として認知症予防、学習能力や記憶能力の向上も期待されています。
甲状腺ホルモンの主成分となるヨウ素
昆布にはヨウ素が豊富に含まれています。ヨウ素は、サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)などの甲状腺ホルモンの構成成分であり、体温の維持や新陳代謝、エネルギーの産生、脳や心臓、腎臓の活性化、またタンパク質の合成作用にも関わっています。
ヨウ素は生殖、成長、筋肉の機能において大きな役割を果たします。子犬の発育で活発に行われる細胞分化にも必要不可欠な成分で、妊娠期・授乳期は通常の成犬よりも多くのヨウ素を必要とします。
ヨウ素は海水中に多く含まれてるため、日本のように海に囲まれている地形では作物を育てる土壌にも若干ヨウ素が含まれていることから、日本ではヨウ素不足は稀です。
水溶性食物繊維のアルギン酸やフコイダン
昆布には水溶性食物繊維のアルギン酸やフコイダンが含まれています。これらは海藻にしか存在しない特有の粘質多糖類で、独特のヌメリのある粘り成分です。
アルギン酸はとろろ昆布が最も高い割合で含有し、血圧を下げたり消化酵素の働きを活性化させる働きがあります。
フコイダンは昆布を始め藻類に多く含まれる水溶性食物繊維で、血栓予防やがん予防への効果が期待されています。
犬における昆布の注意点
過剰摂取は甲状腺機能低下を招く
昆布を沢山与えすぎると、ヨウ素の過剰摂取から甲状腺機能低下を招く可能性があります。
甲状腺機能低下症は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの分泌の減少や十分に作用しないことで起こる病気で、元気消失や肥満、むくみ、被毛のぱさつき、脱毛などの症状が現れます。
高塩分になる可能性
昆布は海水から水揚げ後に天日干しの上、製品として生産されるので、海水に含まれる塩分が多く残ります。昆布のナトリウム量は100gあたり2,700mgと多いので、給与量や使用頻度には注意しましょう。
まとめ
- 国産ドッグフードでよく使用される
- 愛犬用の手作り食にも使用可能
- グルタミン酸やヨウ素、水溶性食物繊維が豊富
- ヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能低下や高塩分の心配