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原材料:グリンピース(green peas)
グリンピースはマメ科エンドウ属の野菜です。若いサヤの状態のものをサヤエンドウ、サヤの中の豆をある程度まで成長させて成熟する前に収穫した未成熟のものをグリンピース、サヤの中の豆が完全に成熟したものをエンドウ豆(青エンドウ)といいます。
ちなみに、グリーンピースとグリンピースという2種類の呼び方があります。グリーンピースは環境団体のグリーンピース(green peace)が連想されるため、食べ物や料理に関してはグリンピース(green peas)とよばれることが多いそうです。本記事でもグリンピースとよんでいきます。
グリンピースの栄養素
未成熟のグリンピースと完熟の青エンドウには、どのような栄養素の違いがあるのでしょうか?下表は、グリンピースと青エンドウ100gあたりの栄養素です。
グリンピース(茹で) | 青エンドウ(茹で) | ||
---|---|---|---|
エネルギー | 99 | 129 | kcal |
水分 | 72.2 | 63.8 | g |
たんぱく質 | 8.3 | 9.2 | g |
β-カロテン | 430 | 43 | μg |
ビタミンB1 | 0.29 | 0.27 | mg |
ナイアシン | 2.2 | 0.8 | mg |
葉酸 | 70 | 5 | mg |
ビタミンC | 16 | Tr | mg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
※Tr:成分は含まれているが、最小記載量に達していないことを示す
栄養素を比べると、完熟の青エンドウはβ-カロテンやビタミンB1、ナイアシン、葉酸が少なく、ビタミンCに関してはほとんど無くなっています。
つまり、完熟の青エンドウよりも未成熟のグリンピースの方が栄養価が高いことが分かりました。
グリンピースを与えるメリット
グリンピースにはβ-カロテンとビタミンB群が豊富に含まれています。
ビタミンB群とは、8種類の栄養素(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)で構成されるグループの総称です。
ここではβ-カロテンについて、またビタミンB群のビタミンB1、ナイアシン、葉酸についてご紹介します。
β-カロテン
β-カロテンは主に緑黄色野菜に含まれる抗酸化物質です。犬の体内ではビタミンAとして働き、粘膜や皮膚の健康維持、免疫力の向上、老化の予防に効果があります。
ビタミンB1
グリンピースに含まれるビタミンB1は、野菜類でトップクラスの含有量です。日本食品標準成分表の「野菜類のビタミンB1含有量ランキング」では、生のグリンピースは8位、茹でたグリンピースは16位となっています。
ビタミンB1はチアミンともよばれ、食べ物の糖質をエネルギーに変換し、糖質を分解する働きを持ちます。また神経の健康維持にも効果があります。
ナイアシン
ナイアシンとはアミノ酸の一種のトリプトファンから合成されるビタミンB3のことで、体内の500以上ある酵素のサポート役としてDNAの修復・合成、エネルギーの生成、糖質の代謝、皮膚の健康維持など、生きるうえで欠かすことができない機能を持ちます。熱に強いので、加熱調理しても性質が失われることなく摂取することができます。
ドッグフードを食べていればナイアシンは不足することはありません。しかし、ドッグフードへの食いつきが悪い子や食欲が落ちている子、ドッグフードよりも手作り食を食べている子は、ナイアシンが不足する恐れがあります。
葉酸
葉酸はビタミンB9のことで、赤血球を生成するため「造血のビタミン」ともよばれています。そのほかにたんぱく質の合成やアミノ酸の代謝、DNA・RNAの合成、貧血の予防などの働きを持ちます。
また、胎児の成長に欠かすことができない栄養素です。妊娠・授乳中の母犬が葉酸を十分に摂取できずにいると貧血や口内炎を引き起こし、さらに悪化して葉酸欠乏症になると、生まれてくる子犬が口蓋裂などの奇形率が高まるといわれています。
犬にグリンピースを与えるおすすめの方法
グリンピースは天津飯やシュウマイなどの飾りや彩り、ステーキなどのメイン料理の付け合わせで使われることが多い食べ物です。みずみずしい鮮やかな緑色をしているので、見栄えがいつも変わらないドッグフードに彩りを持たせたいと思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。
犬にグリンピースを与えるときは、必ず茹でたものにしましょう。ほくほくとした柔らかい食感と香りが増すため、食欲促進に期待できます。
茹でるときは塩茹でする必要はありません。犬にとっては塩分過多となり、体調不良の原因となります。また、グリンピースに付いている薄皮は消化がしづらく胃腸に負担となるため、細かく刻むか、すりつぶすと良いでしょう。
グリンピースを与えるときの注意点
生のグリンピースは与えない
グリンピースの栄養素を比べると、生のグリンピースの方がビタミンB1、ビタミンC、葉酸が多く含まれています。しかし生のグリンピースには消化酵素を阻害する成分であるトリプシン・インヒビターが含まれています。
トリプシン・インヒビターは、膵臓から分泌されるトリプシンという消化酵素を阻害する働きを持ちます。トリプシンは阻害されるとたんぱく質の分解が十分に作用せず、下痢や消化不良を引き起こします。
トリプシン・インヒビターは熱に弱いので、犬に与えるときは必ず加熱調理しましょう。
グリンピースは鮮度が落ちやすい
グリンピースは鮮度が落ちやすいという特徴があります。
サヤ付きのグリンピースの場合は、表面から水分がどんどん失われ、乾燥が進みます。生で保存する場合はポリ袋に入れ、冷風が当たりずらい野菜室での保管がおすすめです。2~3日で使い切るようにしましょう。
サヤから取り出した場合は、サヤ付きに比べて鮮度が落ちやすいため、その日のうちに調理するようにしましょう。使い切れずに冷蔵庫で保管する場合は、水に浸すのがおすすめです。
ミックスベジタブルは与えても大丈夫?
料理の手助けをしてくれる便利な冷凍食品のミックスベジタブル。グリンピースだけでなくトウモロコシやニンジンなどが入っているので、ドッグフードにトッピングするだけでも彩りや香りが豊かになり、食欲の促進が期待できます。
ミックスベジタブルは、犬が食べても大丈夫な食べ物です。しかしグリンピースとトウモロコシは薄皮が付いているので、犬に与えるときは細かく刻んだり、すりつぶすことがおすすめです。
また、犬に与えるときは常温に戻してからにしましょう。冷凍されたものを食べてしまうと胃腸に負担がかかり、体調不良の原因となってしまいます。
市販のミックスベジタブルには、まれに玉ねぎが入っていることがあります。犬にとって玉ねぎは中毒の食べ物なので、絶対に与えてはいけません。ミックスベジタブルを購入するときは、パッケージの成分表を必ず確認しましょう。
まとめ
- 青エンドウよりもグリンピースの方が、栄養が豊富に含まれている
- グリンピースにはビタミンB群8種類が満遍なく多く含まれている
- トリプシン・インヒビターは熱に弱いので、必ず加熱処理してから与える
- グリンピースは鮮度が落ちやすいので、保存方法に気を付ける