ドッグフードの原材料:エビ(shrimp)
エビを使用したペットフードはドッグフードではあまり見かけません。
猫用ウェットフードではよく使用されているものの、ドッグフードではエビとよく似たオキアミ(クリル)というプランクトンが使われることが多く、エビを使用したドッグフードは多くありませんが、エビも動物性タンパク質が豊富な食材の1つで、タンパク質以外にも様々な栄養素が豊富に含まれる栄養価の高い食材です。
特に乾燥させて栄養が凝縮された干しエビは、非常に少ない量で様々な栄養を底上げして補えることから、シンプルなレシピや食材の種類を限定したフードで重宝されています。
上記は両方ともフレッシュフードです。水分量が多いフレッシュフードで総合栄養食を作る場合、食べきれる量で栄養基準を満たすために食材の選定が重要になります。干しエビのようにたった数gでミネラルやビタミンなどを補える食材はメリットが大きいと言えます。
エビの栄養素と犬におけるメリット
タンパク質 | 48.6g | |
脂質 | 2.8g | |
炭水化物 | 0.3g | |
ミネラル | ナトリウム | 1,500mg |
カリウム | 740mg | |
カルシウム | 7100mg | |
リン | 990mg | |
マグネシウム | 520mg | |
鉄 | 15mg | |
亜鉛 | 3.9mg | |
銅 | 5.17mg | |
マンガン | 3.93mg | |
食塩相当量 | 3.8g | |
ビタミン | ビタミンE | 2.5mg |
ナイアシン | 4.3mg | |
代謝エネルギー | 100gあたり | 213kcal |
動物性タンパク質
成分表からも分かるとおり、干しエビは水分がほとんど含まれないので、100g中で計算すると約半分の48.6gをタンパク質が占めています。
動物性タンパク質が半分の高タンパク食材でありながら、脂質量は2.8gと非常に低くヘルシーです。
カルシウム、鉄分、亜鉛、銅などミネラル類が軒並み高い
エビは海の生き物なので、ミネラル類はどれも非常に高いです。
特にカルシウム量が豊富で、干しエビで必要なカルシウム量のほとんどを補えるくらい沢山のカルシウムを含んでいます。
ただエビには他のミネラルも多く含まれるため、たとえばナトリウムや食塩相当量など塩分量が気になるワンちゃんは摂取量が気になるかもしれません。
旨味成分のイノシン酸、グルタミン酸、アルギニン酸も豊富
エビには旨味を構成するイノシン酸やグルタミン酸、アルギニン酸などの成分も豊富です。
複数の旨味が組み合わさることで旨味の相乗効果を利用し、美味しさや食いつき、食欲向上が期待できます。
タウリン、オメガ3(DHA・EPA)、アスタキサンチン、ビタミンEなど栄養価が豊富
他にもエビにはタウリン、オメガ3、アスタキサンチン、ビタミンEなどの栄養も含まれています。
タウリンには疲労回復、細胞の酸化防止、カルシウムの調整など体の機能を正常に保つ作用があります。オメガ3は必須脂肪酸であり炎症を抑える作用の他、運動機能や認知症予防など様々な効果が期待されています。
アスタキサンチンはエビの赤い色素成分で強い抗酸化作用を持っています。
犬にエビを与える時の注意点
生のエビはビタミンB1欠乏症を引き起こすので必ず加熱
エビを与える場合、必ず加熱してから与えましょう。
生のエビにはチアミナーゼというビタミンB1を分解する酵素が含まれているので、生のエビを食べるとビタミンB1欠乏症を引き起こします。加熱することでチアミナーゼは分解されビタミンB1を分解する働きはなくなるので食べても問題ない状態になります。
エビアレルギーの犬には与えない
エビは栄養価も豊富でメリットの多い食ベ物ですが、食物アレルギーのアナフィラキシー症候群の原因となりうる(人の場合)ため、エビアレルギーの犬には与えないでください。
また、エビアレルギーはカニや他の甲殻類、貝類などにも交差反応を示しアレルギー反応が出ることがあるので、他の海産物にもアレルギーが出る場合は、少量で様子を見るかアレルギー検査で予め調べた方がいいかもしれません。
まとめ
- エビはタンパク質やミネラル、旨味成分などが豊富で栄養価が高い
- 犬に与える場合は必ず加熱して与える
- エビや甲殻類にアレルギーのある犬にはNG