ドッグフードの肉原料一覧。肉の種類、豊富な栄養素やカロリーと特徴を紹介

ドッグフード 肉
佐藤さん
ドッグフードにはどんなお肉が使われていますか?
犬田さん
日本の食卓に馴染み深い牛肉や豚肉、鶏肉はもちろん、ジビエやペット用肉原料として製造されるものまで様々です。ここではドッグフードで使われているお肉を一挙紹介したいと思います。

ドッグフードのメイン原材料:肉類

主原料で最も高い割合で配合

ドッグフードには欠かせない肉。アレルギーなどの事情がない限り、ほとんどのドッグフードに主原料として使用されています。

以前までは穀物が主原料の商品が多く見られましたが、ドッグフードや犬の健康に対する意識の変化もあって、現在は肉がメインに配合されることが多くなりました。

この肉が愛犬の生命活動や体を作るために利用され、愛犬は健康維持となります。

近年、肉の選択肢が広くなっている

また、以前はミートミール、家禽ミール、牛、豚、鶏くらいで、使用される肉の選択肢はそこまで多くありませんでしたが、近年は様々な肉が使用されています。

従来の肉にアレルギー反応が出て食べられない犬もいることから、ラム肉やターキーを始め、これまで廃棄されていた鹿肉や猪肉などのジビエ肉(狩猟肉)、食糧難に向けた新しいタンパク源として昆虫を利用したドッグフードも登場しています。

肉に豊富に含まれる栄養素

動物性タンパク質(アミノ酸)

肉には動物性タンパク質が多く含まれています。タンパク質は犬の細胞を構成し、犬の皮膚、筋肉、内臓、神経、骨格、被毛など様々な体の組織を健康に保つために必要不可欠な三大栄養素です。

タンパク質は細胞間の情報伝達物質となって神経の動きを助けたり、必要な栄養素の合成や代謝をするための犬の体内で化学反応を促します。

また、1gあたり4kcalのエネルギーとして利用することができます。

動物性タンパク質には、犬に必要な必須アミノ酸がバランス良く含まれていることから、利用性が高く、少量でも効率良く吸収されます。

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2020年7月9日

脂質(必須脂肪酸)

脂質の過剰摂取は肥満のもとになることから、脂質の多い肉を避けたフードを求める方もいますが、脂質は犬にとって効率良く利用できるエネルギー源のひとつであり、皮膚や被毛の健康維持に関係する必須脂肪酸のオメガ6(リノール酸、アラキドン酸など)の供給源です。

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2019年3月5日

ミネラル(鉄分や亜鉛、リン、マグネシウムなど)

肉には鉄分や亜鉛、リン、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

神経伝達や酸素の運搬、骨の構成、視覚・粘膜の維持など、それぞれに体の機能維持に必要な働きをもっている必須栄養素です。

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2019年3月8日

肉類一覧の特徴と比較表

肉の種類カロリー
(100g)
嗜好性供給量
品質の安定
使用頻度特徴
鶏肉229kcal非常に多い最もメジャーな肉
牛肉298kcal非常に多いアレルゲンになりやすい
豚肉386kcalやや多いビタミンB群が豊富
鹿肉(ベニソン)109kcalやや多い国産で増えてきた
馬肉109kcalやや多い高級ジビエ
七面鳥(ターキー)106kcalあまりない最も低カロリー
鴨肉(ダック)450kcalあまりない最も高カロリー
ラム肉227kcalやや多いアレルギー対応
アヒル肉(ダック)201 kcalあまりないアレルギー対応
うさぎ肉(ラビット)146kcalあまりないEU産がほとんど
カンガルー110kcalあまりないEZ産・AU産がほとんど
バイソン146kcalほとんどない1ブランドしかない
ミートミール
家禽ミール
やや多い避けられる事が多い

ドッグフードの肉の種類

チキン(鶏)

チキンはドッグフードではかなり定番の肉原材料です。高タンパクで低脂質、高タンパク・低脂質で、クセが少なく好みに偏りがないため、食いつきも良好。

世界中で食べられている食材で、宗教的な問題もありません。飼育しやすい動物で、なおかつ成長が早く生産コストも低いことから、製造面・栄養面の両方でメリットの多い肉原料と考えられています。

ほとんどのドッグフードメーカーのラインナップにチキンがあるので、商品数や選択肢が多いです。

チキンを使用したドッグフード
  • AATUドッグフード
  • ニュートロナチュラルチョイス 成犬用 チキン&玄米
  • ヤラー オーガニックチキン
  • ジウィ・ピーク フリーレンジチキン
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2020年10月16日

ビーフ(牛)

牛肉もドッグフードではよく見られる原材料で、牛は体が大きく人が食べない部分の量も多いため、ドッグフードによく利用されます。高タンパクで脂質も豊富に含まれるため、食べ応えのある満足感の高いレシピになることが多いです。

牛肉については、以前BSE(狂牛病、牛海綿状脳症)に感染した牛肉でつくられたペットフードにを食べたことでペットが死亡した事件があったことから、牛肉を敬遠する飼い主さんいます。現在はBSE対策もメーカーや製造業者で行われているため、基本的にペットフードに混入する心配はないと言われています。

マダニに咬まれると牛肉アレルギーを発症しやすくなることから、犬の牛肉アレルギーの発症率が高いことが分かっています。

酪農や牧場が多いニュージーランドなどの原産国の商品には、グラスフェッドビーフ(牧草牛)など牛肉を使ったドッグフードが多いです。

ビーフを使用しているドッグフード
  • ジウィ・ピーク ドライフード NZグラスフェッドビーフ
  • 日本のみのり ドッグフード ビーフベース
  • ニュートロワイルドレシピ 成犬 ビーフ
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2020年10月20日

ポーク(豚)

豚肉は非常に高脂質な肉原料です。豚肉は他の動物原料と比較して、ビタミンB1やナイアシン(ビタミンB3)を始めとした水溶性のビタミンB郡が豊富に含まれています。脂質は多めですがその分、オメガ6脂肪酸やオレイン酸(オメガ9脂肪酸)が摂取できます。

家畜として様々な国で飼育されていてある程度の大きさがあり人が食べない不可食部位も多く出るため、ペットフードの原材料としても使いやすい原材料の1つかと思います。

ポークが使用されているドッグフード
  • アカナ シングルス ヨークシャーポーク
  • ペットドゥ プロステージ
  • フォルツァ10 デイリーフォルツァ ポーク
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2020年10月26日

ターキー(七面鳥)

ターキーは肉の中で最も低脂質なヘルシーな肉で、ダイエットにも良い食材です。

日本では七面鳥肉の生産は非常に少ないので、海外のフードに使用されていることが多いです。ターキーというとパーティーやクリスマスなど特別感の強い食べ物なので、原価も高いイメージがありますが、海外では日常的に食べられているので実はチキンと比べてもそこまで金額は高くありません。

ターキーを使用したドッグフード
  • ソルビダ グレインフリー ターキー
  • ナチュラルバランス ウルトラプレミアム ハイプロテイン ターキー
  • ロータス グレインフリー ターキーレシピ

鴨肉・アヒル肉(ダック)

鴨肉やアヒル肉はかなり高脂質で不飽和脂肪酸も多く含有しています。また、ビタミンB群が豊富です。

日本では鴨とアヒルを別に呼ばれますが、海外では同じダックと呼ばれています。鴨とアヒルは、見た目や飼育化にあるかという違いはありますが、生物学的には大きな違いはありません。鴨は野生、アヒルは品種改良で家禽化したマガモです。

ちなみに鴨とアヒルを交雑させたのが合鴨になります。

ダックを使用したドッグフード
  • AATUドッグフード ダック
  • アカナ シングルス フリーランダック
  • アーテミス オソピュア グレインフリーダック&ガルバンソー

ラム(羊)

ラムは生後12ヶ月未満の子羊肉を使用したドッグフードで、アレルギー対応食によく利用されています。

ラムには、かゆみやアレルギー症状を引き起こすヒスタミンという成分を抑えるアミノ酸「メチオニン」が多く含まれています

また脂質が豊富なラムですが、ラムに豊富なL-カルニチンは脂質の代謝も行うので、多少高脂質でも相殺されるかもしれません。

ラムを使用しているドッグフード
  • ジウィ・ピーク ドッグフード ラム
  • ブルーバッファロー 成犬 ラム&玄米
  • ナチュラルバランスウルトラプレミアムハイプロテイン ラム
  • ニュートロナチュラルバランス 成犬用 ラム&玄米
ラム ドッグフード 羊

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2020年10月22日

鹿肉

鹿肉は、国産ドッグフードでもよく利用されるジビエ肉の一つです。手作り食用に冷凍生肉がペット用として塊で販売されていることもあります。

野生化で運動量が多い鹿肉は、高タンパクで引き締まった低脂質な肉質が特徴で、体温が高いため寄生虫なども繁殖しにくいメリットがあります。

栄養面と衛生・安全面の両方で魅力的ですが、鹿肉は他の家畜と違い、一年中安定してとれるわけではないので、大量生産される大手メーカーのラインナップではほとんど見られません。

ベニソンを使用したドッグフード
  • アディクション ビバ・ラ・ベニソン
  • ペットカインド ベニソントライプ
  • ナチュラルバランス スウィートポテト&ベニソン
  • ジウィ・ピーク ベニソン
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2022年1月20日

馬肉

馬肉もまた国内メーカーのドッグフードに多い肉原料です。馬肉も鹿肉と同様で運動量が多く体温が高いため、脂質が少なく高タンパクかつ寄生虫が繁殖しにくい安全な肉と言えます。

ただ野生化で生息する鹿とは異なり、野生の馬はいません。カナダや国内に食用馬の牧場はありますが、他の肉と比較すると流通数も少ないので、どうしても原価が高くなります。ペットフード用として利用できる馬の数も多くはないため、大手メーカーのように大量に生産している商品のラインナップには加わる可能性は低いと考えられます。

ホース肉を使用したドッグフード
  • Awan馬肉ドッグフード
  • ナチュラルハーベスト シンプレックス ホース
  • フォルツァ10 デイリーフォルツァ ミディアム ホース
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2021年8月18日

うさぎ肉

ウサギ肉はヨーロッパ産ドッグフードに多い原材料です。

ヨーロッパのスーパーではうさぎ肉が普通に販売されていてある程度の流通数があるため、ペットフードにも利用されることがあります。ドッグフードの原材料としてはメジャーではないので、うさぎ肉を使用したドッグフードを探そうとすると、選ぶ幅が狭くなってしまいますが、高タンパク・低脂質で肉質も柔らかいです。

ラビットを使用したドッグフード
  • プレイアーデン ラビット
  • ナチュラルバランス ポテト&ラビット フォーミュラ
  •  ブリット ケア ウェイトロス

バイソン(野牛肉)

バイソン(野牛)は、アメリカに住む野生のウシ科動物です。別名の「バッファロー」の方が聞き馴染みがある方も多いのではないでしょうか。

アメリカバイソンは準絶滅危惧種に指定されている動物で、保護プログラムによって徐々に生息数は回復してきましたが、まだまだ原材料としての大量に供給することは難しいため、バイソンを使用しているドッグフードはほとんどありません。

牛肉に比べて脂肪分が少なく引き締まった肉が特徴です。牛肉で行われるようなホルモン注射や薬物投与リスクがありません。

バイソンが使用されているドッグフード
  • ペットカインド グリーントライプ&バイソン
  • ナチュラルバランス スイートポテト&バイソン

カンガルー

オーストラリア産・ニュージーランド産に多いカンガルードッグフード

まさにオーストラリアらしい原材料ですが、カンガルーは飼育が難しいため、ほとんどがジビエ肉になります。増えすぎたカンガルーを利用したペットフードですが、捕獲数は限られているため、よく売れると生産が追いつかない可能性があります。

カンガルーは大きくて強い筋肉を持っているため、非常に高タンパクで引き締まった肉質です。カンガルーという珍しい肉ということで、少し味にクセがあると感じる犬もいるかもしれません。

カンガルー肉を使用したドッグフード
  • アディクション ワイルド カンガルー&アップル
  • ナチュラルバランス ポテト&カンガルー フォーミュラ ドッグフード
  • ビィ・ナチュラル
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2021年2月12日

ミートミール(肉粉)・家禽ミール

ドッグフードでは、たびたび話題に上がるミートミール(肉粉)と家禽ミール

ミートミールとは複数の不特定な動物の肉を使用してつくられた乾燥肉で、家禽ミールは複数の鳥類に限定した肉を使用してつくられた乾燥肉です。どちらも使用される肉の種類が不特定であることから、4Dミートや不衛生な肉が使用されているのではないかと問題視されています。

また「ミール」というのは混ぜて乾燥させたレンダリング過程を踏んだ肉原料なのでそれ自体が悪いわけではありませんが、他の工場や製造国で「乾燥肉」として製造された場合、添加物が使用されても原材料名欄に記載義務がなくなるので、乾燥肉にする際に使用された添加物を隠すことができてしまうデメリットがあります。

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2020年3月3日

まとめ

いろいろな肉原料について解説しました。肉原料は基本的に動物性タンパク質が豊富であることは共通していますが、脂質量やビタミン、ミネラル、安全性やリスク、嗜好性などに違いが出てくるので、ぜひ愛犬に合った肉がメインのドッグフードを与えてあげましょう。

魚のドッグフードが気になる方は下の魚原料の生地もチェックしてみてはいかがでしょうか。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。