ドッグフードのカンガルー肉。栄養素と特徴、高タンパクで低資質!安定供給は可能?

ドッグフード カンガルー
佐藤さん
日本ではほとんど馴染みのないカンガルー肉(ルーミート)ですが、ドッグフード製品ではカンガルー肉を使用したものもたまに目にしますね。
犬田さん
はい、食品として馴染みの薄いカンガルー肉ですが、ドッグフードに配合することで犬にとってどんな栄養やメリットがあるのか、解説していきたいと思います。

ドッグフードの原材料:カンガルー肉

カンガルー(kangaroo)とは

カンガルーは哺乳類有袋双前歯目カンガルー科の動物で、オーストラリア大陸とタスマニア島(オーストラリア)、ニューギニア島(インドネシア、パプアニューギニア)に生息しています。

カンガルーは50以上の種類があり、体長30cmほどの小型カンガルーから160cm以上の大型サイズの種類もいますが、大型種になるとジャンプで時速70km以上という車並みのスピードで進むことができ、また両手を使って殴り合うなどパンチ力もすさまじく、可愛い見た目とは裏腹にハードで肉体派な動物です。

カンガルー肉のほとんどは、野生化で暮らしているカンガルーを捕獲して利用しているので、ジビエ肉(狩猟によって捕獲された野生動物)に分類されます。

オーストラリア産・ニュージーランド産の違い

カンガルーは上でも話したオーストラリアなどの限られた地域にしか生息しておらず、飼育・繁殖することも難しいことからほとんどがジビエ肉(狩猟によって捕獲された野生動物)です。このためカンガルードッグフードの多くはオーストラリア産もしくはニュージーランド産です。

オーストラリア産

オーストラリアでは一部のカンガルーの数が増えすぎたことで、オーストラリア国内の環境や農業への被害が出たことから、年間300万頭のカンガルーが狩猟され、食品やペットフードに利用されています。オーストラリア国内にはスーパーでカンガルー肉が販売され、世界55ヶ国にもカンガルー肉が輸出されています。

ニュージーランド産

ニュージーランドでも同じカンガルー科のワラビーという小型種が動物園から脱走して野生化して繁殖を繰り返し、現在は害獣として駆除の対象となっています。

オーストラリア産とニュージーランド産で使用されるカンガルーの種類が異なるので、同じカンガルー味でも原産国によって肉質や風味は異なるかもしれません。

カンガルーの栄養とメリット

高タンパク質・低脂質

カンガルーはジャンプを繰り出す強靱な筋肉を持ち運動量も多いため、引き締まった赤身肉の割合が高く、高タンパクかつ低脂質な肉原料となっています。

また脂質が低い分、カロリーやコレステロールも他の肉原料に比べて少ないので、メインで使用すればヘルシーなドッグフードに仕上げることができます。

アレルギー予防・対策になる

また、カンガルーは比較的アレルゲンのリスクが低く、またメジャーな肉原料とは遠い遺伝子にあたるので、牛・豚・鶏などでアレルギー反応が出てしまった犬にもおすすめです。

ホルモン剤の心配がない

カンガルーは野生化で育つため、基本的に成長促進剤(ホルモン剤)投与の心配がありません。原産国にもよりますが、ドッグフードに使われる牛や豚、鶏などの家畜はホルモン剤の投与が認められている国もあり、ドッグフードの肉原料にも投与されている可能性があります。ですがジビエのカンガルーではその可能性がほぼ0になるので安心して与えられます。

カンガルードッグフードのデメリット

カンガルー肉のドッグフード自体が少ない

カンガルー肉のデメリットは、選べる種類が少ないことです。たいていのドッグフードはチキンや牛、豚、魚など食品でよく用いられる動物原料が使われるので、カンガルーに限定するとどうしても選べる幅は狭まります。

ドッグフードを選ぶ時には、他の原材料や価格帯、成分なども総合的に判断することが大切なので、カンガルードッグフードというだけで良いフードと判断することはできません。

長期的な安定供給は可能?

またカンガルー肉は安定的な供給が可能かという点でも疑問が残ります。現在カンガルーは年間かなりの頭数が狩猟されていますが、捕獲して数が適正まで少なくなった場合、ドッグフードや食肉に利用できる狩猟分に制限がかかる可能性があります。

また、カンガルーに限らず飼育されていないジビエは災害や天候、環境の変化などの理由で急激に減少することもあるため、カンガルードッグフードが一時期手に入れられなくなることもあるかもしれません。

カンガルー肉を使用したドッグフード例

  • キオアラ カンガルー
  • アディクション ワイルドカンガルー&アップル
  • テラカニス ハイポアレルジェニック カンガルー肉 ウェット

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。