ドッグフードのケルプ。別名、海のハーブ!病気の進行抑制や腸内環境の改善

ドッグフードのケルプ。別名、海のハーブ!病気の進行抑制や腸内環境の改善

ドッグフードの原材料:ケルプ(kelp

冷たい海域の海藻

ケルプとは海藻の一種で、とくに大型の褐藻を指します。主に冷たい海域に生息し、日本では昆布として知られる種類も含まれます。成長が速く、海洋の生態系や二酸化炭素の吸収において重要な役割を果たしています。

ドッグフードのケルプ。別名、海のハーブ!病気の進行抑制や腸内環境の改善

ちなみに、ラッコが海に流されないよう体に巻き付けているのもケルプです。ケルプの長い茎や葉を利用して体を固定し、安定して休んだり食事をしたりします。とくにラッコが生息する冷たい海域にはケルプの森が広がっており、ラッコにとってケルプは重要なものになります。

「海のハーブ」とよばれる

ケルプはヨウ素やミネラル、ビタミン、フコイダン、アルギン酸など健康効果が高い栄養素が豊富に含まれています。また消化促進や免疫力向上、デトックス効果などもあることから「海のハーブ」とよばれています。

欧米では食用より原材料に使用することが多い

日本では、ケルプに似ている昆布は煮物や乾物として料理によく使用されます。

しかし、欧米のほとんどの国ではケルプを料理として捉えられてなく、高い栄養価から健康食品やサプリメント、肥料、化粧品の原材料に使用されることが多くみられます

ケルプが原材料のドッグフード

ドッグフードやサプリメントの原材料に使用される

ケルプはドッグフードやサプリメントの原材料にも使用されています。犬の毛ツヤの改善や歯の健康維持に役立つとされており、腸内環境を整えたり、代謝を促進する効果があることから、ダイエットや健康維持の目的で注目されています。

ドッグフードなどの原材料欄には、ケルプ、乾燥ブラウンケルプ、乾燥ケルプ、乾燥ケルプ(海草)、オーガニック乾燥ケルプ、ドライケルプ、昆布(ブラウンケルプ)とさまざまな名前で記載されます。

ケルプとブラウンケルプの違い

ケルプは一般的に大型の海藻を指しますが、ブラウンケルプはその中でもとくに「褐藻類」に分類される海藻を指します。フコキサンチンアルギン酸などを豊富に含み、代謝促進や抗酸化効果が注目されています。

ケルプが原材料のドッグフード

ケルプの栄養と犬における健康効果

ヨウ素

ケルプにはヨウ素が豊富に含まれており、とくに甲状腺ホルモンの生成に必要な必須ミネラルです。甲状腺ホルモンは体の代謝を調整し、エネルギー産生、成長・発達に関与します。また毛ツヤや皮膚の健康維持に効果があります。

ヨウ素が不足すると甲状腺機能低下症や甲状腺腫を引き起こす可能性がありますが、ドッグフードやサプリメントなどでケルプを摂取することで補うことができます。

フコイダン

フコイダンとは、ケルプをはじめとする褐藻類に含まれる水溶性多糖類の一種です。免疫力向上や抗酸化作用、抗炎症作用があるとされ、がん細胞の増殖抑制やウイルス感染の予防に効果があります。

また腸内環境を整える効果による便秘解消やデトックス効果、さらに血液循環の改善による心血管疾患のリスク軽減にも寄与する可能性があります。

また、転移性大腸がん(mCRC)患者54名を対象とした⼆重盲検無作為化プラセボ対照試験において、補助療法としての低分⼦フコイダン(LMF)の有効性を評価しました。その結果、病勢コントロール率の増加が認められました。

つまり、フコイダンの摂取によって病気の進行を抑えられたことが報告されています。

参考:Efficacy of Low-Molecular-Weight Fucoidan as a Supplemental Therapy in Metastatic Colorectal Cancer Patients: A Double-Blind Randomized Controlled Trial

アルギン酸

アルギン酸は食物繊維の一種で、海藻の藻体に豊富に含まれています。とくにケルプやワカメ、昆布などの褐藻類の細胞壁に多く存在し、藻体の構造を維持する役割を果たしています。

アルギン酸は水分を吸収してゲル状になる性質があり、海藻が海中で浮遊したり柔軟性を保つのはこのためです。また、この性質を利用して食品添加物(増粘剤やゲル化剤)や健康食品、医療分野でも広く活用されています。

アルギン酸は腸内環境を整える効果があり、消化をサポートして便秘の改善や腸内の有害物質の排出を促進します。

またコレステロールの吸収を抑える効果により、心血管の健康維持に役立つ可能性があります。さらに満腹感を得やすくする性質があり、体重管理や肥満予防にも貢献します。

参考:アルギン酸類の概要と応用|宮島千尋

ケルプ摂取における注意点

ヨウ素の過剰摂取

ケルプにはヨウ素が豊富に含まれているため、過剰摂取すると甲状腺機能亢進症(過剰なホルモン分泌)や甲状腺機能低下症(ホルモン分泌の低下)などの甲状腺機能の異常を引き起こす可能性があります

犬に適したヨウ素摂取量を超えないように、ケルプが含まれているドッグフードやサプリメントの給与量をきちんと守ることが重要です。

放射性物質や重金属が含まれる可能性

ケルプに限らず、海藻は海中の物質を吸収しやすい性質を持ちます。そのため、ケルプが生息する海域が汚染されていた場合、放射性ヨウ素やカドミウム、鉛、ヒ素などの重金属が蓄積するリスクはゼロではありません

そのため、ケルプを使用したドッグフードやサプリメント、食品を選ぶ際は信頼できるメーカーで原材料の安全性が確認されたものを選ぶことにより、放射性物質や重金属の摂取リスクを最小限に抑えることができます。

まとめ

  • ケルプは海のハーブとよばれるほど栄養価が高い
  • ケルプには、甲状腺ホルモン生成に必要なヨウ素が豊富に含まれている
  • ケルプに含まれるフコイダンは病気の進行を抑える効果がある
  • ドッグフードやサプリメントの給与量は守る

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、ドッグフード勉強会ディレクターとして、ドッグフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通してわんちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんとわんちゃんの幸せのお手伝いになれば嬉しいです。