犬はカツオ(Bonito)を食べても大丈夫
カツオはスズキ目・サバ科に分類される魚です。「生カツオ」「カツオ節」「粉末のカツオだし」などさまざまな種類や用途があり、ご家庭で常備している方も多いのではないでしょうか。
犬が食べても大丈夫なカツオは「生カツオ」と「カツオ節」です!スーパーで売っている粉末のカツオだしは調味料や添加物が含まれているため、犬に与えてはいけません。
この記事ではカツオのおすすめの与え方や注意点、中毒についてご紹介します。
カツオの栄養とメリット
下表は、100gあたりの生カツオとカツオ節の栄養素です。
生カツオ | カツオ節 | ||
---|---|---|---|
エネルギー | 108 | 327 | kcal |
たんぱく質 | 25.8 | 75.7 | g |
脂質 | 0.5 | 3.2 | g |
カリウム | 430 | 810 | mg |
鉄分 | 1.9 | 9.0 | mg |
ナイアシン | 19.0 | 37.0 | mg |
バリン | 1200 | 4100 | mg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
高たんぱく・低カロリー・低脂質
カツオは他の魚と比べて高たんぱく質・低カロリー・低脂質です。そのため、運動が好きな犬や筋肉を強化したい犬、ダイエット中の犬におすすめの食べ物です。
カツオの鉄分はレバーに匹敵するほど
鉄分は赤血球や筋肉を形作る栄養素で、貧血予防に良いとされています。
実は、カツオの鉄分は魚の中でトップクラスの含有量です。カツオ節においては、レバーの代表格である牛レバー、豚レバー、鶏レバーと比べても遜色ありません。
(牛レバーの鉄分量4.0mg、豚レバーの鉄分量13.0mg、鶏レバーの鉄分量9.0mg)
疲労回復のバリン
バリンとは必須アミノ酸の一つで、血液機能の調整、アンモニア代謝の促進、筋力強化、食欲不振の改善などさまざまな働きがあります。バリンは多くの食べ物に含まれていますが、カツオ節に含まれるバリンは全食材の中でもトップ10に入るほどです。
カツオのナイアシンは魚の中でトップクラス
ナイアシンとは、アミノ酸の一種であるトリプトファンから合成されるビタミンB3(水溶性ビタミン)のことです。トリプトファンは脳の健康維持に役立ちますが、ナイアシンは体内の500種以上ある酵素の補助役としてエネルギーの生成やDNAの修復・合成、糖質や脂質の代謝など、生きていくうえで欠かせない機能をたくさん持っています。熱に強いので、加熱調理しても壊れません。
カツオに含まれるナイアシンの量は、魚の中でトップクラスといわれています。
カツオのおすすめの与え方
生カツオは茹でる
生のカツオをはじめ、生魚には中毒症状を引き起こす寄生虫「アニサキス」が潜んでいる恐れがあります。アニサキスは加熱することで死滅するので、犬に与えるときは必ず茹でるなどの加熱調理をしましょう。血合いはしっかりと茹でれば食べることができますが、苦味や臭みが強いので無理して食べる必要はありません。
茹でたカツオはカツオ節よりも食べ応えと満足感を得ることができるため、ドッグフードにトッピングしたり、たまのご褒美として与えるのがおすすめです。
カツオは嗜好性が高い食べ物なので、大食いや早食いをしてしまう恐れがあります。喉に詰まったり胃腸に大きな負担となるため、犬に与えるときは食べやすいように小さく切りましょう。とくに小型犬は喉が細く弱いため、十分な注意が必要です。
カツオ節はドッグフードにトッピング
カツオ節は香りが強いため、ドッグフードにトッピングすることがおすすめです。
カツオ節は、食べ応えと満足感を得てもらうというよりは食欲促進を目的とすると良いでしょう。ドッグフードへの食いつきが悪い犬や、食欲が落ちている犬は、香りに誘われて食欲促進が期待できます。またカツオ節のサクサクとした食感を楽しむこともできます。
小型犬のように口内が小さい犬種は、カツオ節が口の中に張り付いてしまう恐れがあるため、小さくちぎって与えましょう。
1日の適正摂取カロリー量の10%を与える
総合栄養食(ドッグフード)以外の食事は、「1日の適正摂取カロリー量の10%」にとどめましょう。例えば体重10kgの成犬の場合、1日の適正摂取カロリー量666kcalとなります。
生カツオは100gあたり108kcalなので与える量は62gほど、カツオ削り節は100gあたり327kcalなので与える量は20gほどが適正となります。
アニサキス中毒、ヒスタミン中毒について
アニサキス中毒
アニサキスはカツオやサバ、さんま、イカなどの魚介類の内臓に寄生してる寄生虫の一種で、とくに血合いによく寄生しているといわれています。アニサキスは鮮度が落ちると内臓から筋肉へ移動し、食べると中毒を起こします。嘔吐や下痢、激しい痛み、食欲不振などの症状があらわれます。
カツオは、脂肪が多いもの、また表面が虹色に光っているものが鮮度が落ちている証拠です。また、切り身は空気に触れる表面積が広いため、鮮度が落ちるスピードが早くなります。
鮮度のいいカツオを選ぶポイントは、スーパーでよく売られている切り身の場合、身が鮮やかな朱色で、透き通っているものです。また、鮮度のいいカツオは身と皮の間の脂肪がピンク色になっています。
常温での放置は避け、購入後はすぐに冷蔵庫に入れましょう。
ヒスタミン中毒
ヒスタミンを含む魚を過剰摂取することで発症する中毒をヒスタミン中毒といいます。ヒスタミン中毒になると嘔吐や下痢、顔や舌の腫れ、蕁麻疹などの症状があらわれます。
カツオにはヒスチジンが含まれていますが、細菌の脱炭酸酵素によってヒスタミンという物質を生成します。常温放置によって細菌の数が増えていくに伴って、ヒスタミンの数も増えていきます。ヒスタミンは熱に強い物質なので、一度発生してしまうと熱処理をしても分解されることはありません。
カツオを与えるときの注意点
スーパーのパックの刺身は与えない
スーパーのパックに入っているカツオの刺身には、カツオと一緒にネギやニンニクなどの薬味が入っていることがあります。これらは犬にとっては有毒な食べ物で、食べると嘔吐や下痢、貧血などの症状があらわれ、症状が悪化すると呼吸困難や痙攣、最悪の場合は命に関わります。
生カツオを買うときはパックのものではなく、柵のものを買うようにしましょう。
腎臓病・心臓病の犬には与えない
カツオにはカリウムが豊富に含まれているので、腎臓病や心臓病を患っている犬に与えてはいけません。
カリウムは体内の水分量を調整する働きがあり、神経伝達や血圧の調整、エネルギー代謝に関わっています。しかし腎臓病や心臓病を患っている犬はカリウムを十分に排出することができず、高カリウム血症になる恐れがあります。カリウムの過剰摂取には十分に注意しましょう。
栄養価は高いが、過剰摂取には要注意
カツオをはじめとする青魚に含まれる不飽和脂肪酸を過剰摂取すると、脂肪が酸化する「黄色脂肪症」(別名イエローファット)になる恐れがあります。黄色脂肪症になるとお腹の下に脂肪の硬いしこりができたり、フラフラとぎこちない歩き方をします。
カツオは犬の健康に良い栄養素が多いですが、過剰摂取には要注意です。愛犬の一日の適正カロリーをきちんと管理し、極端な過剰摂取をしないよう気を付けましょう。
まとめ
- 生カツオは加熱調理、カツオ節は小さくちぎる
- カツオの鉄分とナイアシンの含有量は、魚の中でトップクラス
- 生カツオを買うときはパックのものではなく、柵のものを買う
- アニサキス中毒を避けるため、購入後はすぐに冷蔵庫に入れる
- カリウムが豊富に含まれているため、腎臓病や心臓病の犬には与えない