目次
ドッグフードの原材料:アーティチョーク(artichoke)
アーティチョークとはキク科チョウセンアザミ属の多年草です。食用として利用される部分は開花前の花蕾(つぼみ)ですが、開花するとアザミに似た美しい紫色の花を咲かせるため、切り花やドライフラワーなど観賞用としても楽しまれています。
アーティチョークはヨーロッパを中心に古くから食材や薬草として利用され、独特の風味が特徴で、サラダや蒸し料理、ハーブティーなどで親しまれています。
アーティチョークが原材料のドッグフード例
アーティチョーク抽出物、エキスとの違いは?
原材料欄にはアーティチョーク、アンティチョーク、乾燥アーティチョーク、アーティチョーク抽出物、アーティチョークエキスなど配合される形態によってさまざまな表記がされます。
アーティチョーク抽出物やアーティチョークエキスとは、アーティチョークの葉や花蕾から栄養や有効成分を抽出・濃縮したものです。ドッグフードにはアーティチョークそのものを配合したり、抽出物やエキスとして配合する場合があります。
アーティチョークと似た名前でエルサレムアーティチョークがありますが、これはキク科ヒマワリ属の植物で、別名キクイモ(菊芋)ともよばれます。アーティチョークとは異なる植物となります。
アーティチョークが原材料のドッグフード例
- ハッピードッグ ピエモンテ
- エルモ プロフェッショナーレ リッチ イン チキン
- グリーンフィッシュ プレミアムドッグフード
- ファルミナ N&Dキヌア ダイジェスチョン(お腹の健康サポート)ラム など
アーティチョークの栄養と犬における健康効果
アーティチョーク/花らい/生100gあたりの栄養素 | |||
---|---|---|---|
エネルギー | 39 | kcal | |
水分 | 85.1 | g | |
タンパク質 | 2.3 | g | |
脂質 | 0.2 | g | |
ミネラル | カリウム | 430 | mg |
カルシウム | 52 | mg | |
マグネシウム | 50 | mg | |
リン | 61 | mg | |
ビタミン | ビタミンB1 | 0.08 | mg |
ビタミンB2 | 0.1 | mg | |
ビタミンB6 | 0.08 | mg | |
葉酸 | 81 | μg | |
パントテン酸 | 0.51 | mg | |
ビタミンC | 15 | mg | |
食物繊維 | 水溶性食物繊維 | 6.1 | g |
不溶性食物繊維 | 2.6 | g |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
BMI、腹囲、⾎中脂質などが改善
参考、画像引用元:Efficacy of artichoke leaf extract in non-alcoholic fatty liver disease
最も一般的な慢性肝疾患の原因である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の患者を対象として、⼆重盲検無作為化プラセボ対照試験において、乾燥アーティチョーク抽出物(シナリン2mg×3回/⽇含有) を8週間摂取させたところ、BMI、腹囲、⾎中脂質、総ビリルビン濃度、尿酸値、収縮期⾎圧の低下、肝静脈⾎流の増加、⾨脈径および肝サイズの縮⼩、肝機能マーカーの改善が認められました。
肝臓機能のサポート
アーティチョークにはシナリンという成分が含まれています。シナリンとは主に葉や花蕾に多く含まれるポリフェノール成分で、肝臓の働きをサポートして胆汁の分泌を促進し、肝臓の解毒機能を高める効果が期待されます。
肝臓機能が低下している犬や、薬やサプリメントを常用している犬、肝臓ケアが必要な高齢犬に適しています。
腸内環境の改善
アーティチョークには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
とくに水溶性食物繊維のイヌリンは腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。便秘の解消、下痢の軽減、消化吸収の促進などが期待で、免疫機能の向上にもつながります。
抗酸化作用による健康維持
アーティチョークにはルテオリンやシナリンといったポリフェノール系の抗酸化物質が含まれています。これらの成分は抗酸化作用を持ち、細胞を老化させる活性酸素を除去して体内の酸化ストレスを軽減します。
それにより老化防止(アンチエイジング)、関節や筋肉の健康維持、皮膚や被毛の健康維持などが期待できます。とくに高齢犬にとっては老化による細胞の劣化を抑え、健康寿命を延ばす効果が期待されています。
体重管理のサポート
アーティチョークは低カロリーでありながら栄養価が高く、食物繊維が豊富なため食事量を抑えつつも満腹感を得やすい食材です。それによりダイエット中の犬、体重管理が必要な犬、肥満傾向の犬、体重維持をしたい犬にとって効果的な食材といえます。
アーティチョークを与える注意点
過剰摂取を避ける
アーティチョークには食物繊維が多く含まれているため、過剰に摂取すると消化不良や下痢、ガスが発生する恐れがあります。とくに消化器系がデリケートな犬は注意が必要です。
ドッグフードに記載の給与量は守り、日常的、長期的な過剰摂取は避けましょう。
アレルギー反応の確認
アーティチョークはキク科の植物なので、キクやマリーゴールド、ゴボウなどのキク科の食材にアレルギーを持っている犬には与えない方が良いでしょう。
初めてアーティチョークを与える際にはアレルギー反応が出ないかを注意深く観察し、皮膚のかゆみや下痢、嘔吐などの症状があらわれた場合は使用を中止し、獣医師さんに相談しましょう。
まとめ
- アーティチョークは抽出物やエキスとしても原材料に使用される
- BMIや血中脂質、尿酸値などの改善が期待できる
- 抗酸化作用や腸内環境の改善などの効果がある
- キク科のアレルギーを持っている犬は注意が必要