ドッグフードの原材料:クコの実(goji berry)
杏仁豆腐でおなじみの赤い果実
杏仁豆腐のトッピングでおなじみのクコの実(ゴジベリー)。ナス科の植物「クコ」の果実で、鮮やかな赤色が特徴的です。甘酸っぱい風味と独特の香りを持ち、スムージーやお茶、スナックなどに広く活用されています。
私たちがよく目にするクコの実は乾燥されたもので、生の状態では写真のような丸くてかわいい見た目をしています。生のままでは渋みや苦味があるので、生で食べることはほとんどありません。
スーパーフード、不老長寿の薬
クコの実の主な原産国は中国やチベット、モンゴルです。とくに中国は世界最大の生産国で、「スーパーフード」や「不老長寿の薬」として古くから薬膳や漢方として親しまれています。
クコの実は暑さや乾燥に強く、なおかつ寒冷地でも育つほどの適応力を持ちます。豊富な栄養素と健康効果から、世界的に需要が増えています。
クコの実が原材料のドッグフード例
クコの実が原材料のドッグフード例
クコの実はその栄養価の高さから、さまざまなドッグフードやおやつの原材料に使用されています。原材料欄にはクコの実、ゴジベリーと表記されます。
- PELTHIA(ペルシア) チキン
- オーサワジャパン オーサワの有機クコの実
- N&D スピルリナ ラム (スピルリナ・クコの実入り)
- ORGANIC HASSEN 【犬のおやつ】クコの実 など
国際薬膳調理師が監修したドッグフード
PELTHIA(ペルシア)は、日本で75名しかいない国際薬膳調理師が監修し、「薬膳」と「食いつき」を両立されたドッグフードです。薬膳の考えから、クコの実が配合されています。
クコの実の栄養と犬における健康効果
くこ/実/乾100gあたりの栄養素 | |||
---|---|---|---|
エネルギー | 387 | kcal | |
タンパク質 | 4.8 | g | |
脂質 | 4.1 | g | |
ミネラル | ナトリウム | 510 | mg |
カリウム | 1400 | mg | |
カルシウム | 47 | mg | |
マグネシウム | 77 | mg | |
リン | 180 | mg | |
ビタミンA前駆体 | β-カロテン | 800 | μg |
ビタミンE | α-トコフェロール | 5.7 | mg |
β-トコフェロール | 0.1 | mg | |
γ-トコフェロール | 0.8 | mg | |
δ-トコフェロール | 0 | mg | |
ビタミンB3 | ナイアシン | 4.6 | mg |
ビタミンC | 9 | mg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
クコの実は小さな果実でありながら栄養が豊富に含まれており、さまざまな研究がなされ健康効果が報告されています。これらは人に対する健康効果ですが、犬にも効果があると推測します。
クコの実特有のクコ多糖類
クコの実には、クコの実特有のクコ多糖類(Lycium barbarum polysaccharides, LBP)が含まれています。クコ多糖類とは水溶性の多糖類で活性成分の一つであり、クコの実全体の乾燥重量の約5〜8%を占めています。
また、クコ多糖の生物活性及び作用機序に関する研究において、クコ多糖のあらゆる作用が報告されています。
クコの中で最も抽出利用価値を持つのはクコ多糖であり、抗腫瘍、抗酸化、抗老化、抗炎症、血糖降下、降血脂、神経保護、生殖保護、肝臓保護、免疫調節などの作用を有する。
乳酸菌の生育を促進
クコの葉および果実の抽出液による乳酸菌の生育への影響についての研究では、クコの成分が乳酸菌の生育を促進することが分かりました。
乳酸菌の生育が促進されると乳酸菌が増えるため、消化吸収を促進し腸内環境が改善されます。また悪玉菌の増殖も抑制することができます。
便秘気味の犬や腸内環境を整えたい犬に効果的でしょう。
参考:クコの成分に関する研究
目や皮膚の保護
クコの成熟の研究において、クロロフィル含量は減少したものの、ゼアキサンチンとルテインなどのカロテノイド含量が増加したことが分かりました。
カロテノイドは植物や藻類に存在する天然色素で、とくに目の黄斑部や網膜に存在し、有害なブルーライトや紫外線を吸収して目を保護する働きがあります。また強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素による細胞損傷を防ぐ効果が期待されています。
参考:クコ果実中の成熟過程におけるカロテノイドの量及び組成変化
細胞の修復と老化予防
クコの実に含まれているβ-カロテンやビタミンC、ビタミンEは強い抗酸化作用を持ちます。体内の活性酵素を除去し、細胞の再生・修復し、酸化ストレスを軽減するため老化予防や免疫力向上につながります。
クコの実の注意点
クコの実は自生している
クコの実は街中や公園などの整備された場所ではあまり見かけませんが、温暖な地域の河川敷や草原など、やや野性的な環境に自生している傾向にあります。
愛犬との散歩中は、知らず知らずのうちにぱくっと食べられないように注意しましょう。
アルカロイドの過剰摂取
クコの実には微量のアルカロイドが含まれています。
アルカロイドとは植物や一部の微生物が生成する窒素を含む天然有機化合物の総称です。薬理効果を持つものも多く、医療分野や健康食品で利用されていますが、高濃度では毒性を持つため、適切な使用が重要です。
クコの実のアルカロイド含量は非常に少ないですが、過剰摂取すると毒性が発揮し、吐き気や腹痛を引き起こす場合があります。
クコの実の袋を開けっぱなしにしていたり、家庭菜園でクコの実を栽培している場合は犬に食べられないように注意しましょう。
アレルギーの可能性
クコの実はアレルギーを発症しにくい食べ物ですが、可能性はゼロではありません。とくにナスやトマトなどのナス科の食べ物にアレルギーを持っている犬は注意が必要です。
初めて与えるときは少量からスタートし、犬の様子をきちんと観察しましょう。
まとめ
- 中国ではスーパーフード、不老長寿の薬として古くから利用される
- クコの実は多くの研究がなされ、あらゆる健康効果がある(とくにクコ多糖類)
- クコは自然環境に自生しているため、散歩のときは犬が食べないよう注意する
- アルカロイド含量は微量だが、過剰摂取は避ける