ドッグフードのほうれん草。結石形成リスクと腎臓への影響、冷凍ほうれん草のシュウ酸含有量は?

ドッグフード 犬 ほうれん草

ドッグフードの原材料:ほうれん草(Spinach)

ほうれん草は犬が食べても大丈夫な食材です。ドッグフードでも、ドライフード、ウェットフード、冷凍フレッシュフードのいずれにも使用されています。

また、ほうれん草は緑黄色野菜でありβカロテンや食物繊維、鉄分などが豊富で、葉が柔らかく料理にも使いやすいため、犬用手作りレシピサイトでもほうれん草のレシピが紹介されています。

ほうれん草には、犬に危険な成分は含まれていませんが、シュウ酸が多く含まれるため給与量や給与方法には注意して与えるようにしましょう。

ほうれん草を使用したドッグフード例
  • ウェルネス
  • ソリッドゴールド
  • ワンスープ
  • ロータス
  • ナチュラルバランス
  • ピュアロイヤルホウレンソウ
  • プラネットペット サーモン&ほうれん草

犬におけるほうれん草の栄養素と効果作用

成分タンパク質2.2g
脂質0.4g
食物繊維2.8g
ビタミンビタミンA350μg
ビタミンK270μg
葉酸210μg
ビタミンC35mg
ミネラルカリウム690mg
マグネシウム69mg
モリブデン5μg
鉄分2mg
カロリー100g20kcal

ほうれん草にはプロビタミンAとなるβカロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンCなど様々なビタミン類が豊富に含まれています。また、カリウムやマグネシウム、鉄分などのミネラルも摂取できます。

βカロテンの抗酸化作用

βカロテンには抗酸化作用があり、犬の体の細胞を傷つける活性酸素の抑制、癌や動脈硬化、老化予防などの作用が期待されています。

また、βカロテンは摂取すると体内でプロビタミンAへ変換されるので、必須栄養素のビタミンAとして正常な粘膜や皮膚、視覚の維持に役立ちます。

鉄分とビタミンCで吸収率アップ

ほうれん草には鉄分が多く含まれています。鉄分は必須ミネラルとして、血液中の赤血球(ヘモグロビン)の一部となって酸素を運びます。

ほうれん草は非ヘム鉄なので、レバーなどの動物性食品に含まれるヘム鉄に比べると吸収率は高くありませんが、ほうれん草には鉄分の吸収率を上げるビタミンCも豊富に含まれています。

ビタミンCもそれだけで抗酸化作用があり、犬にとっての必須栄養素ではありませんが、免疫の維持や疲労回復などにも役立つ栄養素です。

犬にほうれん草を与える時の注意点

結石を形成するシュウ酸が多く含まれる

ほうれん草にはシュウ酸カルシウム結石を形成する「シュウ酸」が多く含まれるため、生のほうれん草を与えるのはNGです。

シュウ酸は水に溶けやすい性質があるため、ほうれん草をしっかり茹でて湯に溶け出させ、しっかり水切りをすることでシュウ酸含有量を減らすことができますが、シュウ酸がすべて溶け出してなくなるわけではありません。

ほうれん草を頻繁に食べている人(月8回程度)は尿路結石や腎結石の発症率が高いという報告があることから、犬においても頻繁に沢山の量を与え続けると、尿路結石・腎臓結石の形成リスクが高くなる可能性があります。

冷凍ほうれん草の栄養素、シュウ酸含有量、流水解凍がおすすめ

冷凍ほうれん草は、栄養素が必ずしも減るわけではない

冷凍ほうれん草の場合、カリウムや葉酸、ビタミンCは減少しますが、カルシウムやマグネシウム、βカロテンはむしろ増加しています。

このため冷凍ほうれん草は栄養が減ってしまうと言われますが、冷凍ほうれん草の増減は栄養素によるというのが正しいようです。

シュウ酸は冷凍ほうれん草の方が含有量が多い

通常、ほうれん草は下処理として茹でた後、水にさらし、搾った後に料理に用いる。この一連の操作により水溶性のシュウ酸は24~55%減少する4)。しかし、市販冷凍ほうれん草(以下、冷凍ほうれん草)は、ブランチングしか行われていないため、残存しているシュウ酸は通常調理のほうれん草より多い5)ことに加え、冷凍ほうれん草の包装容器には「そのまま使用」と記載されている製品も多く、冷凍ほうれん草そのままの使用は、通常調理より多くシュウ酸を摂取することにつながると推測される。また、手軽に利用できる食材として使用量が増えれば、尿路結石や腎結石発症のリスクが高まることが危惧される。

引用:市販冷凍ほうれん草の解凍方法の違いによるシュウ酸含有量の比較|東京家政学院大学

冷凍ほうれん草は、生のほうれん草を茹でて水切りしたものに比べると、結石の原因となるシュウ酸の含有量が多い傾向にあります。

製造方法によっても異なりますが、冷凍ほうれん草は、冷凍される前にブランチングという90〜100℃位の熱湯または蒸気で加熱されますが、蒸気の場合はシュウ酸は湯を使用しないので、シュウ酸がそのまま含有してしまいます。また、熱湯の場合も、加熱調理は70~80%と最低限の加熱になるので、自宅で茹でて水切りするよりもシュウ酸を除く目的から考えると茹でる時間が十分ではない可能性があります。

このため、冷凍ほうれん草の方が使いやすく保存にも便利ですが、尿路結石や腎臓への負担などを考慮すると、生のほうれん草を茹でて使った方がいいかもしれません。

冷凍ほうれん草を使用するなら流水解凍がおすすめ

解凍方法によってもシュウ酸含有量に違いがあるので、もし冷凍ほうれん草を使用する場合は、自然解凍ではなく流水で解凍してシュウ酸を少しでも減らすのがおすすめです。

解凍方法の違いによる冷凍ほうれん草のシュウ酸含有量は、自然解凍よりも流水解凍したものが低かった。これは自然解凍中に、溶解水にシュウ酸が溶出し、さらに流水によっても溶出したためと推測される。

引用:市販冷凍ほうれん草の解凍方法の違いによるシュウ酸含有量の比較|東京家政学院大学

まとめ

  • ほうれん草は犬が食べても大丈夫
  • βカロテンや鉄分、ビタミンが豊富
  • 結石の原因となるシュウ酸が含まれるので給与量や頻度には注意
  • 冷凍ほうれん草は栄養素によって増減がある、シュウ酸が多く残存する
  • 冷凍ほうれん草を使うなら流水解凍がおすすめ
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2020年11月27日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。