ドッグフードのクランベリー。キナ酸やプロアントシアニジンのpH調整や細菌定着抑制、副作用は?

ドッグフードのクランベリー。キナ酸やプロアントシアニジンのpH調整や細菌定着抑制、副作用は?

ドッグフードの原材料:クランベリー(Cranberry)

犬がクランベリーを食べてOK?

クランベリーは犬が食べても大丈夫です。クランベリーは尿路結石や膀胱炎の予防効果など、犬にも嬉しい機能性が数多く報告されていることから、売りのひとつとしてドッグフードはもちろん、犬用フリーズドライおやつやサプリなどにも積極的に取り入れられています

無加工の状態では非常に酸味が強いため、販売されているのはジャムやジュース、ベリーソースなど甘さを追加された加工品がほとんどです。生のクランベリーの取り扱っているところは少なく、大型スーパーやフルーツの品揃えが充実している店舗にしか置いていません。

クランベリージュースは通販サイトなどでも購入でき無添加で果汁100%のジュースも販売されています。ジュースの状態の方が流通数が多くフルーツの状態よりも長持ちしますが、製品によって甘味料や果糖などが配合されているジュースもあるので注意が必要です。

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クランベリーの栄養素

生のクランベリーのデータがなかったのでドライクランベリーの成分表を引用しています。全体的に栄養素が多く見えますが、ドライフルーツの状態なので水分が少ない分、割合が全体的に高く見えています。

ただ犬用おやつなどはフリーズドライやドライフルーツに加工されたものが販売されているので、こちらの成分表の方が生より近い値として参考になるかもしれません。

ドライクランベリー(USDA)炭水化物82.8g
糖質72.6g
食物繊維5.3g
ミネラルカリウム49mg
カルシウム10mg
マグネシウム4mg
0.39mg
ビタミンビタミンC0.2mg
ビタミンK7.6mg
カロリー308kcal

クランベリーにはミネラルやビタミンが豊富で、キナ酸やプロアントシアニジンというポリフェノールなどが含まれています。

酸味が強いので糖質は多く感じないかもしれませんが、水分を除くと炭水化物が8割、全体の7割は糖質が占めるので与え過ぎには注意しましょう。

クラベンリーの尿路結石・膀胱炎の予防効果について

ドッグフードのクランベリー。キナ酸やプロアントシアニジンのpH調整や細菌定着抑制、副作用は?引用元:クランベリージュースの効用|山梨大学

キナ酸の尿酸性化(尿pH調整)、抗菌作用による細菌の生育阻害

クランベリーに豊富な「キナ酸」には強い抗酸化作用・抗炎症作用があり、キナ酸は生体内で馬尿酸に代謝されると、尿pHを弱酸性に保ち、細菌が住みにくい環境をつくることから尿路感染症の予防効果が期待されています。

プロアントシアニジンによる細菌の尿路定着抑制

また、クランベリーに含まれるプロシアニジンという縮合型タンニン(ポリフェノール)には、大腸菌などの細菌が尿路や膀胱粘膜に定着することを阻害する働きがあります。

犬の場合、膀胱炎の原因の多くは細菌感染なので細菌の生育や定着を抑えることが重要とされています。

また、プロアントシアニジンの細菌の定着抑制は、歯周病や口臭の予防効果も期待されています。

犬にクランベリーを与える場合の注意点、副作用は?

シュウ酸カルシウム結石のリスクが増える?

クランベリーはストルバイト結石の予防効果が期待されている一方、シュウ酸カルシウム結石のリスクを増大させる可能性があることが示唆されています。

ストルバイト結石は尿pHがアルカリ性に傾くと形成されやすく、シュウ酸カルシウム結石は尿pHが酸性に傾きすぎると形成されやすくなる尿結石なので、クランベリーの過剰摂取により尿pHが酸性に傾きすぎると、シュウ酸カルシウム結石のリスクが高くなると言われています。

これには諸説あり、調査や研究結果の報告を見ると、クランベリーによってシュウ酸カルシウム結石のリスクが高まると報告している機関もあれば、反対にシュウ酸カルシウム結石の抑制にも効果があると発表している機関もあるため、現状断定はできない状況ですが、どちらかといえばシュウ酸カルシウム結石のリスクが高まるという報告の方が目立つので、シュウ酸カルシウムの心配がある犬には与えないのが無難かもしれません。

薬物代謝を阻害する

クランベリーには薬物を代謝する働きのある一部の酵素の作用を阻害する働きがあり、薬物が代謝されないことで薬が効きすぎてしまう問題が報告されています。

特にワルファリン(抗凝固剤)を服用している犬にクランベリーやクラベンリージュースを与えるのは危険です。ワルファリンは血液を固まりにくくすることで血栓を防ぐ薬ですが、クランベリーを摂取すると薬の効果が必要以上に増強されます。血液が凝固されないため出血が止まらなくなり消化管出血によって死亡した例(人)も報告されています。

このため、現在投薬中の犬の場合は、獣医師に問題がないか確認する、もしくはクランベリーは控えましょう。

健康強調表示に注意喚起

ドッグフードのクランベリー。キナ酸やプロアントシアニジンのpH調整や細菌定着抑制、副作用は?画像引用元:フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、クランベリー(ツルコケモモ)と尿路感染症に関する科学的知見を更新|食品安全関係情報詳細

その結果、クランベリーを主原料に使った製品は尿路の内壁の尿路感染症の原因となる幾つかの細菌の尿管内面付着を減少させると結論づけたが、今のところ尿路感染症の予防効果があるとするには、臨床データは少ない。このような健康強調表示は、現在の知見からすると濫用であろう。

クランベリーについては尿路結石や膀胱炎に関する効果や作用が大きく注目されており、効果があるとするサイトや記事は多く見られますが、確かな情報やデータを提供できている機関は少なく、クランベリーによる下部尿路への健康強調表示について問題視もされています。

まとめ

  • クランベリーにはキナ酸やプロアントシアニジンなどが豊富
  • シュウ酸カルシウム結石や投薬中の犬は注意
  • 健康強調表示について問題視もされている
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2021年3月4日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。