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ドッグフードの原材料:ビーフ(牛肉)
牛肉(ビーフ:Beef)はドッグフードではメインとして使われる代表的な原材料です。
昔から犬は大きな動物を集団で狩って食べていたので牛のような大きな動物の肉は犬の食性には合っているのかもしれません。嗜好性も高く、犬も牛肉の香ばしい香りが大好きです。
牛肉自体を犬に与えても大丈夫なので、スーパーの牛肉を使って手作り食で使用する方もいらっしゃるかもしれません。生だと寄生虫や細菌がいて食中毒や下痢になる可能性があるので、生肉は加熱して火を通してから与えるようにしましょう。
ただ犬用に販売されているペット用生肉の場合は、危険がないよう処理されているので、生のまま犬に与えても問題ありません。
ビーフ(牛肉)の栄養素
牛肉には犬に必要な栄養素が沢山含まれています。
成分(分析値) | タンパク質 | 14.4g | |
脂質 | 32.9g | ||
ミネラル | 亜鉛 | 3mg | |
鉄 | 1.5mg | ||
ビタミン | ビタミンK | 13μg | |
ビタミンB6 | 0.28mg | ||
ビタミンB12 | 1.3μg | ||
カロリー | 371kcal/100g |
必須アミノ酸がバランス良く含まれている
牛肉には動物性タンパク質が豊富で必須アミノ酸がバランス良く含まれているので、血液、皮膚、血管、内臓、筋肉など体をつくる材料となって健康な体を維持します。
特に体の成長が著しい成長期や活動量の多い犬には嬉しい栄養です。
悪玉コレステロールを減らすオレイン酸(オメガ9)
また、牛肉には脂質が多く含まれており、その中でも脂質を構成するオレイン酸(オメガ9)という脂肪酸が豊富です。オレイン酸は悪玉コレステロールを減らす作用があり、動脈硬化や心筋梗塞、生活習慣病の予防が期待されています。
吸収率が高いヘム鉄(鉄分)が豊富
牛肉は、貧血予防に効果的な鉄分が豊富に含まれています。鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類がありますが、牛肉には動物性食品に多いヘム鉄が多く含まれていて、ヘム鉄はタンパク質にくるまれている状態で小腸まで届くため、非ヘム鉄よりも吸収率が5倍も高く、鉄分として効率よく働きます。
亜鉛は鶏肉の約2倍
また、牛肉には体で様々な作用を持つ亜鉛が豊富です。亜鉛は筋肉合成のための細胞の複製や、体内の酵素の化学反応に関与して栄養の代謝を助けになり、生殖機能や皮膚、被毛の健康にも作用します。また、血液中ではビタミンAを運ぶために必要不可欠な物質です。
米国、カナダ、オーストラリアではホルモン剤使用が認められている
ホルモン剤で癌のリスクが上がる可能性
牛肉はホルモン剤(成長剤)が使用されている可能性があります。ホルモン剤とは成長促進剤、肥育剤と呼ばれる薬剤で、牛の体重を増加させ一頭あたりからとれる肉の量を増やすために用いられる飼料添加物です。
健康への懸念はないと報告されていますが、乳がんや子宮がん、前立腺癌などホルモンに関係する癌のリスクを上げると言われています。
EUは禁止、アメリカやカナダ、オーストラリアは一部可
EUはホルモン剤を使用した牛の飼育、輸入も禁止しています。
牛肉生産量トップのアメリカ、またカナダやオーストラリアではホルモン剤の使用が認められているため、ドッグフードの原産国によってはホルモン剤が使用された牛肉が配合されている可能性があります。
また、日本はホルモン剤の使用は認められていません。このため国産牛肉を使用したドッグフードもホルモン剤投与の心配がありませんが、国産ドッグフードでも牛肉はアメリカ輸入牛の場合があります。フードの原産国だけでなく牛肉の原産国も合わせて確認しましょう。
マダニ咬傷によって交差反応で牛肉アレルギーを発症しやすい
牛肉は犬にとって最もアレルゲンになりやすい食材の一つです。アレルギーを引き起こす原因となるタンパク質が豊富な分、アレルギー反応もでやすいようです。
また、犬の牛肉アレルギーはマダニに咬まれたが原因で発症することも多く、散歩など野外に出ることが多い犬は牛肉アレルギーになりやすいと考えられています。
ただ食物アレルギーはすべての犬が発症するわけではなく、牛肉以外の食べ物がアレルゲンになる場合もあるため、心配するほど高い割合で発症するわけではありません。
食物アレルギーの場合、食べて即時症状が出る場合が多く、子犬から成長期の犬が発症することが多いため、成犬期~シニア期でいきなり発症するケースは少なくなります。牛肉を食べて数時間の内に皮膚炎や嘔吐、下痢などの症状が出たら牛肉アレルギーを疑って受診するのがおすすめです。
狂牛病(BSE)感染牛肉が混入したドッグフード
2000年代に世界で牛海綿状脳症(BSE)が社会問題となった際、平成13年に日本国内でもBSEが確認され、一時的に肉骨粉等の製造、流通、使用が禁止されました。
BSEに感染した牛原料がペットフードに混入し、それを犬や猫が食べた場合、BSEに感染することから、一時は牛肉への警戒心も高まっていましたが、現在はペットフード用への使用禁止は解除されています。
牛肉を敬遠する飼い主さんいますが、現在はBSE対策もメーカーや製造業者で行われているため、基本的にペットフードに混入する心配はないと言われています。