目次
ジビエ(Jibie)とは
ジビエは野生動物の鳥獣肉
ジビエとは、狩猟によって捕獲した野生動物の鳥獣肉のことで、鹿や猪、鴨、熊、キジ、ウズラ、ウサギ、カンガルーなど自然の中で生きてきた動物の肉が挙げられます。
日本でも鹿や猪などの狩猟肉は昔から食べられていましたが、ジビエという言葉の由来はフランス語の「Gibier」からで、フレンチの食材として利用されてきました。
日本国内でも農作物被害で捕獲された野生動物を利用
近年、日本国内でも農作物被害の対策として捕獲された野生動物を、害獣として処分するのではなく、何かに利用することはできないかという取り組みが広がりを見せており、ビジネスの面でも注目されています。地方公共団体や企業と共同開発したジビエ肉を使ったオリジナルのドッグフードやジャーキーの製造販売も増えています。
日本では鹿肉やイノシシの肉を使用した国産ドッグフードが多く、ヨーロッパではウサギ肉やキジなどを使ったドッグフードがよく見られます。カンガルー肉の場合はほとんどがオーストラリア産かニュージーランド産です。
このようにジビエは生息する野生動物が利用されるので、原産国によって肉の種類は異なり、その国の特色をよく表した製品が多いように思います。
ジビエ肉を利用したドッグフード
- キアオラ
- 北の極み
- マウンテン・ギフト(Mountain Gift)
- プレイアーデン
- アーガイルディッシュ
- Neith 究極のジビエ
- Sumire
- Funfun
- Komoro Premium Venison Pet Food
- TASHIKA
- 京丹波自然工房
小諸市のKOMORO PREMIUM(小諸市)
長野県小諸市では捕獲した鹿肉を利用した新たな地域ブランド「Komoro Premium Venison Pet Food」を設立し、ドライフードやウェットフード、ジャーキーを製造販売しています。
また、小諸市ではペットフードへの利用の他、小諸市動物園の飼料代の節減を目的に、捕獲された鹿肉をライオンに与えるなどして有効活用しています。
兵庫県多可町のTASHIKA(NPO 法人 cambio)
兵庫県多可町で捕獲された鹿の大部分をNPO法人cambioが受け入れ、ペットフードに加工製造しています。鹿肉の胃と腸以外すべての部位を無駄なく利用し、平成30年には492頭を受け入れペットフードに加工しました。
京都京丹波町の京丹波自然工房(株式会社ART CUBE)
株式会社ART CUBEは自社が所有する食肉処理施設で、京丹波町とその周辺市町で捕獲された鹿やイノシシを使用し、ペットフードやジャーキーやふりかけ、レトルトに製造販売しています。
ドッグフードにジビエを使用するメリット
高タンパクで低脂質なヘルシーな肉
ジビエは、高タンパクかつ低脂質な食材で、ドッグフードにもってこいの原材料です。
飼育されている動物は、飼育小屋や屋内での生活がメインになるので、どうしても野生の動物に比べて運動量が少なくなりますが、野生動物は行動範囲が広く運動量も多いので、脂肪が少なくタンパク質を多く含んだ筋肉が大きく発達しています。
類似しないタンパク源でアレルギー対策
ジビエは一般的な家畜肉(牛・豚・鶏)と遠い種にあたる鹿やカンガルーなど珍しい種類の動物肉があります。
愛犬が食物アレルギーを発症して鶏・豚・牛を避けたい場合に、ジビエのようなこれまで与えたことのなかったタンパク源のドッグフードを与えるのはアレルギー対策としておすすめです。
ホルモン剤の心配がない
ジビエは自然本来の野生化下でのびのびと暮らしているためストレスが少なく、またホルモン剤(成長促進剤)投与の心配もありません。
日本やヨーロッパでは肥育促進を目的とするホルモン剤の投与は認められていませんが、他の国で飼育されている家畜にはホルモン剤が使用されている可能性があります。
地域への貢献、野生動物の命を無駄にしない
小諸市のように自治体がジビエのオリジナルブランドをつくる場合もありますが、捕獲された野生動物について困っている地域は多く、捕獲した野生動物の受け入れは自治体や地域への貢献になります。
また、農作物を守ることや他の動植物を守るためとはいえ、動物を多く殺すことに変わりはありません。捕獲された野生動物のほとんどが廃棄処分となっている現状で、ジビエ肉として食品やドッグフードへの利用することで、野生動物の命を無駄せず、大切に「いただく」ことができます。
ドッグフードにジビエを使用するデメリット
ジビエの供給量が限られる
野生動物は猟師(ハンター)によって狩猟されるため、供給量には限りがあります。また野生動物の生息数が数年間でどのように変化するかも予想が難しいため、長期で見た安定供給が難しい可能性があります。
また家畜のように「ニワトリが足りないから足りない分は他の農場から調達しよう」という対応も難しいため、いざ人気が出てもっと多くのジビエ肉が必要になった時に一定量以上のドッグフードが生産できず在庫切れになってしまうかもしれません。
安全管理と一定の栄養確保が難しい
ジビエは管理下にない野生動物の肉なので、何を食べてどのような環境で育ったか確認できません。また家畜肉と比較すると、季節によって食べられるものも変わるため、含有する栄養量も時期による差が大きいと考えられます。
飼育下であれば、管理のもと安全な肉を生産することができますが、野生化でどのような病気や寄生虫などに感染するか分からないため、安全面の管理が難しくなります。
一般的なドッグフードより高くつきやすい
ジビエは飼育費用などがかからない分、安価に抑えられるような気もしますが、ジビエは基本的に少量での生産となることから、家畜肉を使用したドッグフードより価格が高くなりやすい傾向があります。
フリーレンジ(放牧)で育った動物のドッグフードもおすすめ
フリーレンジとは
フリーレンジとは、広い土地でのびのびと自由に動き回れる「放牧」で育つことを言います。日本は放牧で育てられるほどの土地を所有する農家は少ないため、主にフリーレンジは広い土地を所有するニュージーランドやオーストラリア、アメリカ、カナダが原産のドッグフードになります。
フリーレンジ(放牧)で育った動物は、家畜として餌や環境が管理されていながら、広大な土地で適度な運動ができるだけでなく、安全面を確保しつつストレスの少ない人生を送り、栄養損失の少ない健康的な肉となります。
まとめ
- ジビエとは狩猟された野生動物の肉
- 高タンパク低脂質でヘルシーな肉食材
- アレルギー対策にもおすすめ
- 狩猟された野生動物の有効利用や地域への貢献にも役立つ