ドッグフードのひじき。栄養豊富で犬が食べても大丈夫!有害化学物質のヒ素についても

ドッグフードのひじき。栄養豊富で犬が食べて大丈夫!ヒ素についても詳しく解説

ドッグフードの原材料:ひじき(hijiki seaweed)

ひじきとは、褐藻類ホンダワラ科に属する海藻の仲間です。縄文時代から食べられていたほど歴史が深く、日本人に馴染みのある食材です。「乾燥ひじき」「茹でたひじき」「調理された味付きのひじき」などさまざまな種類があります。

ひじきは犬が食べても大丈夫な食材ですが、食べられるのは「茹でたひじき」です。

この記事では犬の健康に効果があるひじきの栄養素やおすすめレシピ、与え方の注意点、有害化学物質であるヒ素についてご紹介します。

ひじきの栄養素

下表は、乾燥ひじき、茹でたひじきの100gあたりの栄養素です。

窯の種類ひじきエネルギー(kcal)たんぱく質(g)食物繊維(g)カルシウム(mg)鉄分(mg)
ステンレス乾燥1809.251.810006.2
茹で110.73.7960.3
乾燥1869.251.8100058.0
茹で130.73.7962.7

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

カルシウム

ひじきには豊富なカルシウムが含まれています。カルシウムは骨や関節、歯などを丈夫にするだけでなく、ホルモンの分泌や神経刺激の伝達や興奮などさまさまな働きがあり、体のバランスを整えるのに欠かせない栄養素です。

子犬用のドッグフードには成長に必要なカルシウム量がやや多く含まれているため、ドッグフード以外からカルシウムを摂取する必要はありません。しかしシニア犬は腎臓からカルシウムを排出することで血中カルシウムが低い状態(低カルシウム血症)になる恐れがあり、骨からカルシウムを補充して適正なカルシウムを保とうとします。そうなると骨が弱くなったり、骨折しやすくなるため、シニア犬はカルシウムを食べ物から摂取する必要があります

犬田さん
シニア犬が不足しがちなカルシウムを普段のドッグフードやおやつ、手作り食にひじきを取り入れてみましょう。

食物繊維

豊富な食物繊維の整腸作用により腸内環境を整え、排便を促します。肉や魚、卵などの動物性食品を多く食べる犬は便秘になりがちなので、食物繊維を与えることで便秘の解消が見込めるでしょう。犬は食物繊維の消化が苦手なので、消化不良にならないように細かくカットして与えてください。

鉄分の量がこんなにも差があるのはなぜ?

鉄分とは、血液中の赤血球を作るヘモグロビンの材料です。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ働きがあり、鉄分が不足すると酸素が十分に行き渡らなくなるため、貧血や疲れやすいなどの症状があらわれます。

栄養素の表を見ると、鉄窯で作られた乾燥ひじきの鉄分量が他と比べて圧倒的に多いのが分かります。これは、ひじきを煮るときに使用する窯によって鉄分量が変わるためです。ひじき自体に鉄分が多いというわけではなく、ひじきに鉄窯の鉄分が付着したためです。

現在、ひじきを作る主流はステンレス窯です。ステンレス窯は耐食性に優れ、異物混入を防ぐためステンレス釜の使用を推進しています。

犬にひじきを与えるときの注意点

生のひじきは与えない

ひじきの栄養素を見ると、乾燥ひじきは栄養が豊富に含まれています。しかし、犬に乾燥ひじきを与えてはいけません。乾燥ひじきを食べるとお腹の中で膨らみ、消化不良や腸閉塞になる恐れがあります。乾燥ひじきをフードプロセッサーで細かくしてふりかけとして与えるのもおすすめできません。ひじきは水戻しをして、しっかりと茹でたものを与えるようにしましょう。

人間用のひじきは与えない

スーパーのお惣菜コーナーで売られているひじきの煮物や、ご家庭で作る人間用のひじき料理は、犬にとっては塩分や糖分などの過剰摂取となり、健康に害を及ぼす恐れがあります。犬にひじきを与えるときは、味付けがされていないものを与えるようにしましょう。

尿路結石を患っている子には与えない

ひじきに含まれるマグネシウムは、摂りすぎると体の中に結石ができてしまいます。尿が正常に排出することができなくなり、肝臓などにも悪影響を及ぼします。

アレルギーに注意

ひじきは海藻類なのでアレルギーが起こりにくいといわれていますが、アレルギーが起こる可能性がゼロというわけではありません。ひじきを食べたあとに皮膚が赤くなったり、下痢や嘔吐、元気がないなどの異変がある場合は与えるのをやめ、動物病院で診てもらいましょう。

「ひじきは鉄分が多い」は間違い!?

「ひじきは鉄分が多い食材」「鉄分不足にはひじきが効果的」と聞いたことがある方は多いでしょう。実はそれは、犬が食べることができない「鉄窯で作られた乾燥ひじき」に限ったことなんです。

では、犬が食べられる茹でたひじきの鉄分量はどうでしょうか。

下表は、茹でたひじきと他の食材の100gあたりの鉄分量です。

鉄分量(mg)
茹でたひじき(鉄窯)2.7
茹でたほうれんそう0.9
パセリ7.5
牛肉(生・赤身)2.8
カツオ(生)1.9
豚レバー7.7

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

これらの食材は、すべて犬が食べても大丈夫な食材です。比べてみると、茹でたひじきが特別に鉄分が多いとはいえません。そのため、「ひじきは鉄分が多い」というイメージは間違っているのです。

犬田さん
「鉄分補給のためにひじきを食べさせなきゃ」と考えるのはNG!

そのため、犬に鉄分だけを重点的に与えたい場合は、ひじきではなく豚レバーやパセリの方が効果的です。

海藻に含まれるヒ素。ひじきは大丈夫?

ヒ素は有害化学物質の一種で、短期間に過剰摂取すると下痢や嘔吐、ショック、皮膚の角化、腎不全などの症状があらわれ、最悪の場合は死に至ります。

ヒ素は海藻に多く含まれていますが、その中でもひじきに多く含まれています。心配される方も多いですが、手作り食やおやつ、ドッグフードにトッピングなどのように、食品を通して摂取した少量のヒ素による健康被害は心配する必要はありません。

下表は、日本ひじき協議会が発表した、ひじきに含まれるヒ素の量です。

  • ヒジキに含まれるヒ素の総量:54.84(μg/g)
  • 水戻し(30分)で流出する量:24.65(μg/g)
  • 水戻し後のヒジキに残るヒ素量:30.19(μg/g)

※参考:日本ひじき協議会(東京薬科大学 生命科学部 環境動態化学研究室調べ)

日本ひじき協議会の研究によると、乾燥したヒジキを水戻しすると、総ヒ素量の約45%(約30μg/g)が水に流れ出すことが分かりました。

ひじきに限らずですが、短期間の極端な過剰摂取などを避ければ、とくに問題はありません。「どうしても心配」「できるだけヒ素の摂取を抑えたい」という場合は、ヒ素は水溶性なので水洗いや水戻し、茹でこぼしなどをすることでヒ素を減らすことができます。

犬田さん
犬は人間と比べて体が小さいので、人間が食べるよりも丁寧に処理して、過剰に与えないように気を付けましょう。

おすすめのひじきレシピ「ひじきと牛肉のおじや」

ひじきに含まれる鉄分は、肉や大豆と一緒に食べることで貧血の予防、丈夫な体作り、疲労回復などにより効果を発揮します。また、おじやにすることで温かい水を摂取することができ、胃を温めて消化を促進することができます。ぜひご家庭で試してみてください。

材料:ひじき1g、牛肉40g、ご飯(炊飯済み)50g、水80g

摂取カロリー:136kcal 所要時間:5分

  1. ひじきを水に浸けておく。
  2. 鍋にひじきと牛肉、ご飯を入れ、水を加えて弱火で煮込む。こまめにアクを取る。
  3. ひじきを加え、さらに煮込む。
  4. 粗熱をとって完成。

まとめ

  • 犬が食べられるのは茹でたひじき
  • 乾燥ひじきを食べると消化不良や腸閉塞になる恐れあり
  • 便秘がちな犬には、食物繊維が豊富なひじきが効果的
  • 茹でたひじきは、鉄分が特別に多いわけではない
  • ひじきに含まれるヒ素は、短期間の過剰摂取を避ければ健康に心配はない