ドッグフードの原材料:チキン(鶏肉)
チキンはドッグフードでは主原料として使用されることが多い肉原料です。何も記載されていないドッグフードのほとんどはチキン味というくらいペットフードではスタンダードな原材料です。
他の肉や魚原料に比べてクセが少なく、どの犬の好みにもマッチしやすいだけでなく、環境にこだわらず短期間で育つというメリットもあって、最もポピュラーな原材料としてドッグフードではよく利用されています。
ドッグフードでは、チキン、鶏肉、チキンレバー、鶏生肉、ディハイドレイテッドチキン、チキンミール、乾燥チキン、鶏タンパク質、鶏脂、チキンエキス、チキンフレーバーなど様々な原材料の表記があり、どれもチキン(鶏肉)を使用したものですが、部位や形状、加工方法などが異なります。
チキン(鶏肉)の表示
チキン、鶏肉
チキン、鶏肉は、加工がされていないそのままの状態の原材料で、栄養価の損失は最小限であることが期待できます。チキンか鶏肉かの表記については表記や英語訳の違いなので、基本的に同じものと考えて問題ありません。
チキンレバー
チキンレバーは鶏肉の肝臓にあたる部分です。レバーには肉の部分よりもビタミンやミネラルが豊富に含まれていて、脂質も多くニオイも強いため、犬の嗜好性も高い傾向があります。
鶏生肉
ペットフードはドライでもウェットでも製造工程の中で必ず加熱されて火が通るため、鶏生肉は本当の意味での「生(raw)」という意味ではありません。鶏生肉は乾燥鶏肉粉のように完全に乾燥させるわけではなく、栄養価と風味を残すために水分を20%ほど残った状態に乾燥させた鶏原料です。鶏肉や乾燥鶏肉と比べてワンランク、ツーランク上の加工方法で準備された原材料になります。
脱水鶏肉(ディハイドレイテッドチキン)
脱水鶏肉も栄養価の損失を極力抑えるためにゆっくりと時間をかけて脱水して乾燥させた鶏肉原料です。鶏生肉と一緒に配合されることが多いです。
チキンミール、乾燥チキン
チキンミール、乾燥チキンはドッグフードではよく使われている原材料の一つで、タンパク質源として用いられます。乾燥した粉の状態で水分も脂質もほとんど含まれていないため保存性が高く、ほとんどタンパク質しか含まれないため、フードの成分調整がしやすいメリットがあります。
こちらにも血液、毛、蹄、皮、糞尿、胃及び第一胃の内容物は使用されていません。
家禽ミール
家禽ミールは、にわとりを含め様々な鳥類の組織を使用したタンパク質源で、ミートミールの鳥類版です。血液、毛、蹄、皮、糞尿、胃及び第一胃の内容物は除かれています。
鶏タンパク質
鶏タンパク質は、鶏肉に含まれるタンパク質を生成して分離した食材です。こちらもタンパク質という名前なので、文字通りタンパク質は豊富です。
鶏脂
鶏脂は鶏からとれる脂のことで、牛脂、豚脂の鶏バージョンです。風味や嗜好性もアップしますし、脂はオイルコーティングや脂質の摂取などに利用されます。
チキンエキス、チキンフレーバー
チキンエキスやチキンフレーバーは曖昧な部分はありますが、チキンからとれるダシのような液体や香料代わりになるものだと考えられます。
チキン(鶏肉)の栄養素
成分(分析値) | タンパク質 | 16.2g | |
脂質総量 | 14g | ||
飽和脂肪酸 | 4.3g | ||
一価不飽和脂肪酸 | 6.61g | ||
炭水化物 | 0g | ||
ビタミン | ビタミンK | 53μg | |
ナイアシン | 1.68mg | ||
パントテン酸 | 1.68mg | ||
ミネラル | セレン | 14μg | |
亜鉛 | 1.6mg |
部位や加工方法によって栄養素の値も変動しますが、チキンには動物性タンパク質が豊富です。特に胸肉にはタンパク質や必須アミノ酸が豊富に含まれています。脂質部分には必須脂肪酸のオメガ6脂肪酸が豊富に含まれています。
またビタミンK、ナイアシン、パントテン酸などのビタミンや、セレンや亜鉛などのミネラルも豊富に含まれています。
ドッグフードのチキンアレルギー
下痢や腸炎、皮膚の炎症や痒みが出る
ドッグフードのチキンでアレルギー反応が出てしまう犬もいます。すべての犬ではありませんが、チキンのアレルゲン(抗原)に過敏な体質をもつ犬は鶏肉を使った食事を摂取すると、皮膚の炎症や痒み、また下痢や腸炎など消化器官からの症状を引き起こします。犬の食物アレルギーでは下痢の症状が最も起こりやすく、食物アレルギーに限っては、幼年齢で出ることが多いと言われています。特に2歳前後の犬は食物アレルギーを発症しやすいため、幼犬期の犬でチキン入りのドッグフードの切り替え後から下痢が続くようであれば、チキンアレルギーの可能性も考えられます。
チキンを避けるしかないが大人になって治ることもある
食物アレルギーは根本的に治療することは非常に難しいため、愛犬にチキンアレルギーがあった場合、チキンが含まれるドッグフードや食事を避けるしかありません。鶏肉はスタンダードな肉原料でチキンフリーのドッグフードは少ないため、チキンが原因だと気付くまでには時間がかかるかもしれません。ただし、食物アレルギーの場合、幼犬でアレルギー症状が出たとしても大人になってアレルギー症状が出なくなる場合もあるため、一概に一生食べられないかどうかは分かりません。
チキンの加水分解タンパク質を使用したドッグフードもある
食物アレルギーの場合、肉や卵、乳製品など動物原料はアレルゲンになりやすいため、チキンや卵も可能性として十分に考えられます。心配であればタンパク質が分解されてアレルゲンとして体が過剰に反応してしまわない加水分解したドッグフードも利用できます。
ドッグフードのチキンまとめ
- チキンはドッグフードの主要な原材料の一つ
- チキンは動物性タンパク質が豊富
- チキンがアレルゲンになる可能性はある