ドッグフードの魚介類一覧。豊富な栄養素と働き、赤身と白身の違いは?

ドッグフード 魚原料
犬田さん
ドッグフードには肉や野菜、穀物などの原材料とならび、魚原料もよく使用されます。代表的な魚と種類別に成分や味にどのような違いがあるのか特徴を紹介します。

ドッグフードの魚原料

ドッグフードでは様々な魚原料が使用されています。魚は肉に比べて種類が多く、原産国によって獲れる魚が違うので、魚味フードはその国の特色が出やすいと言えます。

たとえば、タイ産ならツナ(マグロやカツオなど)、ヨーロッパならサーモンやニシン、ニュージーランドやオーストラリアでは緑イ貝がよく使われています。

赤身や白身か、またその魚によっても成分構成や豊富な栄養素も若干変わってくるので、愛犬にどんな魚フードを与えようか検討している方の参考になれば幸いです。

白身と赤身の違い

赤身白身
・マグロ
・カツオ
・サバ
・アジ
・イワシ
・ニシン
・サーモン
・タラ
・タイ
・ヒラメ
・カレイ
・タチウオ

白身は低脂質で低アレルゲン、あっさりとした淡泊な味わい

白身魚は身が白く、あっさりとした淡泊な味わいが特徴です。脂質は少ない分ヘルシーで、また赤身より低アレルゲンなので、アレルギー対応食や療法食にも利用されています

あまり高脂質でしっかりとした味のものが食べられないシニア世代のワンちゃんでも、白身魚のあっさりとした風味なら食べやすい傾向があります。

また、白身魚は、瞬時に素早く動く時に使う「速筋」と呼ばれる筋肉が発達しており、白身魚の速筋タンパクを食べることで、高齢者の骨格筋量指数(SMI)や握力、体重が増加したことが報告されています。

赤身はオメガ3が豊富、しっかりとした食べ応えのある味わい

赤身魚は身が赤く、しっかりとした食べ応えのある味わいが特徴です。脂質も比較的多く、脂質を構成している必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸も豊富です。

オメガ3(EPA・DHA)には炎症を抑える効果があり、皮膚や被毛の健康維持や、関節の炎症や痛みを緩和する働きがあります。また、脳や神経の働きを活発にするので、学習能力や記憶力の向上、また高齢期に向けた認知症予防にも期待がされています。

オメガ3は肉や他の食材からの摂取が短く不足しがちな栄養素なので、赤身魚は非常に犬にとって良い食材と言えます。

サーモン

サーモン ドッグフード

サーモンはドッグフードでよく登場する原材料のひとつです。メイン原材料、サーモンオイルとして利用されることもあります。サーモンはタンパク質や脂質、ビタミンなど栄養価が高く、分類的には白身魚ですが、エビやカニなどを食べている食性からアスタキサンチンを多く含むため、白身魚でありながら身は赤く、脂質も豊富です。

脂質に含まれるDHAやEPAが豊富なため、白身魚ですがオメガ3の供給源としてもひろく利用されています。

ノルウェーサーモンが有名なので、ヨーロッパ産ドッグフードではサーモンを使用した製品が多い印象です。

サーモン ドッグフード 犬

ドッグフードのサーモンの栄養素と働き。アスタキサンチンやオメガ3が豊富なアンチエイジング食材

2020年12月28日

サバ

サバ ドッグフード

サバは高タンパク・高脂質な青魚の代表格です。サバがメインのドッグフードは、濃厚でボリュームのあるガッツリとした味わいになる傾向があります。

ドッグフードでもサバが使用されることは多く、海外産では英語表記で「マッカレル(mackerel)」と記載されていることもあります。

サバは必須脂肪酸の供給源としても便利な魚ですが、脂質は酸化しやすい成分なので、抗酸化作用のあるビタミンE等を配合する等の配慮が必要になります。

ドッグフード サバ

ドッグフードのサバ。栄養素と働き、手作り食でサバ缶を与えて大丈夫?

2022年7月22日

ニシン

ドッグフード ニシン

ニシンも青魚の一種で高脂質な魚です。海外産ドッグフードでは英語で「ヘリング」と記載されていることもあります。

日本ではニシンはほとんど獲れなくなってしまったので、国内産のドッグフードで使用されることはほとんど見られません。現在ニシンは北極に近い海域で獲れるため、カナダ産やヨーロッパ産のドッグフードに使用されることが多い傾向にあります。

価格が他の魚よりも高く、ドッグフードにかかる原価が上がりやすいため、原材料や栄養素にこだわったプレミアムドッグフードで使用されることは多いです。

ドッグフード ニシン

ドッグフードのニシン。栄養素と特徴、オメガ3(DHA・EPA)が豊富な高級青魚!

2022年9月5日

オキアミ

Krill オキアミ クリル

オキアミはエビの仲間でプランクトンに分類される生き物です。魚ではありませんが、オキアミにもEPAやDHAが豊富に含まれるためオメガ3脂肪酸の供給源になります。

桜エビと瓜二つで、食品でも桜エビの代わりに使用されることがあります。エビに含まれるアレルギー物質は含まないのでエビアレルギーの犬が食べても大丈夫ですが、交差反応によってアレルギー反応を示すこともあるので注意。

ナンキョクオキアミ ドッグフード

ドッグフードのオキアミ。優れたオメガ3脂肪酸の供給源!エビ・カニアレルギーでも与えてOK?

2021年10月28日

緑イ貝

緑イ貝 ドッグフード

緑イ貝はニュージーランド産のドッグフードに使用されることが多く、肉原料と緑イ貝だけでほぼ構成されている商品もあるほど。緑イ貝はタウリンが豊富で高タンパク、また関節に良いとされるコンドロイチンやグルコサミンも含まれています。

タウリンは犬の必須栄養素ではありませんが、心臓や肝臓の機能を高め、視力の回復や高血圧を予防するなど様々な効果が期待されています。

ドッグフード 緑イ貝

ドッグフードの緑イ貝。オメガ3やタウリンが豊富!NZ・AU産フードへの配合が多い理由

2022年6月30日

フィッシュミール(魚粉)

魚粉 フィッシュミール ドッグフード

フィッシュミールは「魚粉」とも呼ばれる不特定の複数の魚が混合された魚原料で、オーシャンフィッシュミール、白身魚ミールのように、ある程度つかわれる魚の種類が絞られている場合もあります。

魚粉はドッグフードでは重要なタンパク源として利用されています。脂質(油分)が除去されているので、脂質を増やすことなくタンパク質量を増やせるため、栄養成分の調整もしやすい原材料です。

フィッシュミール(魚粉)は規格外の魚を用いており、また魚油の副産物として生産されるため、低コストで入手できドッグフードにかかる原価もかなり抑えられます。

フィッシュミールは不特定多数の魚が使用されるため、アレルギー症状が出た時に原因となるアレルゲンの特定が難しいなどのデメリットがあります。

ドッグフード フィッシュミール 魚粉

ドッグフードの魚粉(フィッシュミール)。栄養素と注意点、アレルゲンの特定は難しい

2022年6月21日

フィッシュオイル(魚油)

魚油 ドッグフード

魚油はドッグフードでは脂質やこのオメガ3脂肪酸を補う目的でよく使用されます。

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA等)が豊富であるだけでなく、魚から油分だけを抽出していることから、100%脂質のため、余計な成分が入らず成分調整のしやすいというメリットもあります。

オメガ3脂肪酸は炎症を抑える作用を持っているため、肉などに多く含まれるオメガ6脂肪酸とバランスをとるために便利です。

ドッグフード フィッシュオイル 魚油

ドッグフードの魚油(フィッシュオイル)。栄養素と注意点。オメガ3(DHA・EPA)が豊富!

2022年6月15日

まとめ

  • 魚はオメガ3脂肪酸の供給源
  • 白身魚は低脂質、低アレルゲン
ドッグフード 原材料

ドッグフードの原材料一覧。表示の見方と愛犬にとって危険な原材料や添加物は?

2019年2月14日

ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。