ドッグフードの原材料:乳酸菌
糖から乳酸を作り出す細菌の総称
乳酸菌(lactic acid bacteria)とは、発酵によって糖から多くの乳酸を作り出す細菌の総称です。
プロバイオティクスの一種で、チーズやヨーグルト、キムチ、漬物など乳製品や発酵食品に多く含まれています。
プロバイオティクスとは
プロバイオティクスとは、「摂取することで健康に良い影響を与える生きた微生物」のことを指します。腸内環境を整え、消化吸収を助け、免疫力向上に寄与します。
公益財団法人の腸内細菌学会(旧 日本ビフィズス菌センター)によると、プロバイオティクスの条件には乳酸菌も含まれますが、納豆菌など乳酸菌以外のものも含まれるため、「プロバイオティクス=乳酸菌」とは限りません。
プロバイオティクスの条件
- 安全性が保証されている
- もともと宿主の腸内フローラの一員である
- 胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる
- 下部消化管で増殖可能である
- 宿主に対して明らかな有用効果を発揮できる
- 食品などの形態で有効な菌数が維持できる
- 安価かつ容易に取り扱える
引用元:公益財団法人 腸内細菌学会
乳酸菌が原材料のドッグフード例
多くの犬用製品に配合される
乳酸菌は、消化器疾患の療法食や犬用サプリメントを始め、一般的な総合栄養食のドッグフードにも配合されています。
乳酸菌を原材料に配合する目的は、腸内環境の改善や免疫力の向上、アレルギーの軽減、ストレスの軽減などが多くみられます。
ドッグフードやサプリメントでは、「エンテロコッカス菌+アシドフィルス菌+ビフィズス菌」のように、複数の乳酸菌が組み合わされることが一般的です。これにより、より広範囲の腸内環境改善や健康効果が期待できます。
乳酸菌が原材料のドッグフード例
原材料欄には、「ラクトバチルス・カゼイ」などと菌の名前で表記されていることがありますが、「乳酸菌類」「プロバイオティクス」「乾燥○○発酵物」「乾燥△△発酵産物」と乳酸菌類をまとめて記載しているドッグフードも多いです。
- 犬猫生活ドッグフード
- MISHONE 小型犬用 プレミアムドッグフード
- アボダーム オリジナルビーフ
- ワンデリトーキョー 鶏むね肉とサツマイモのやさしいごはん
- オブレモ(Obremo) 鶏肉フード など
腸内環境の改善は健康度につながる

引用:犬の腸内環境が多様なほど、健康度が高いことが明らかに!のデータをもとに作成
アニコムホールディングス株式会社が発表した「腸内フローラ×健康」の関係性によると、犬の腸内環境が多様なほど健康度が高いことが分かりました。
乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の繁殖を抑えることで、腸内環境を改善する働きがあります。特にお腹の弱い犬や高齢犬には、ヨーグルトや乳酸菌配合のドッグフードを取り入れるのがおすすめです。
乳酸菌の犬への健康効果
乳酸菌は便通の改善や免疫力向上、アレルギーの軽減など多くの健康効果がありますが、種類によってそれぞれ異なる特徴や健康効果を持ちます。
エンテロコッカス属
- エンテロコッカス・フェカリス
- エンテロコッカス・フェシウム
- 腸内環境の改善
- 免疫力の向上
- 便通の改善
- 悪玉菌の増殖を抑制
- 消化機能サポート
エンテロコッカス属(Enterococcus)とは腸内や発酵食品に存在する乳酸菌の一種で、特にフェカリス(E. faecalis)やフェシウム(E. faecium)がよく知られています。
特にフェシウムはペットの腸内フローラを安定させる効果があり、下痢やストレスによる腸内環境の乱れを改善するために用いられています。
また、フェカリス菌の特定の株を加熱処理した死菌を「乳酸菌FK-23」といいます。加熱処理されたことよって免疫活性化作用が強化されているのが特徴で、生菌よりも高い効果を発揮します。アレルギー抑制、感染症予防、抗炎症作用などの免疫調整機能が向上しています。
参考:イギリス発世界基準でプロバイオティクスを最大限に小動物臨床に生かす-プロコリン・プラスの有用性と応用の可能性-
ラクトバチルス属
- ラクトバチルス・アシドフィルス
- ラクトバチルス・カゼイ
- ラクトバチルス・ガセリ
- ラクトバチルス・プランタルム
- ラクトバチルス・ラムノサス
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
- 腸内環境の改善
- 病原菌の増殖を防ぐ
- 便秘や下痢の改善
- アレルギー症状を軽減
ラクトバチルス属(Lactobacillus)とは腸内や発酵食品に広く存在する乳酸菌で、その多くはヨーグルトやチーズなど乳発酵食品に利用されています。
アシドフィルス(L. acidophilus)、カゼイ(L. casei)、ガセリ(L.gasseri)、プランタルム(L. plantarum)、ラムノサス(L. rhamnosus) などが代表的な菌種です。
ドッグフードに加えられる乳酸菌もラクトバチルス菌類を使用した製品が非常に多い印象です。腸で長く留まって善玉菌として腸内環境を整える整腸作用や下痢・便秘の対策の他に、血清尿酸値の上昇を抑制、コレステロール値の低下作用や内臓脂肪低減効果も期待されています。
ラクトバチルス属の主な健康効果として、腸内環境の改善が挙げられます。これらの菌は乳酸を生成し、腸内を酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑制し、便通を整えます。特にアシドフィルスは腸内の悪玉菌を減少させる効果が高く、整腸作用が期待されています。
ビフィドバクテリウム属
- ビフィドバクテリウム・アニマリス
- ビフィドバクテリウム・ロンガム
- ビフィドバクテリウム・ラクティス
- 腸内環境を改善
- 便通の改善
- 免疫機能の強化
- アレルギーの抑制
- コレステロール値の低下
- 生活習慣病予防
ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)とは腸内に生息する善玉菌の代表格で、アニマリス(animalis)、ロンガム(longum)、ラクティス(lactis)などがよく知られています。
ビフィドバクテリウム属は一般的に「ビフィズス菌」と呼ばれる菌類で、免疫機能の維持や改善にも効果的とされています。腸内フローラのバランスを改善し、感染防御力を高めるので、善玉菌として整腸作用による下痢の発生を抑制や便秘の改善と免疫機能への効果が期待できます。
アニマリスは消化機能の向上に優れています。動物の腸内に広く存在し、プロバイオティクスとしてドッグフードやサプリメントの原材料にも多く利用されています。
乳酸菌は安全性が高い?
過剰摂取による健康リスクは少ない
乳酸菌は腸内で増殖し続けるわけではなく、摂取をやめると数日~1週間程度で体外に排出されます。そのため安全性が高く、乳酸菌の過剰摂取による悪影響は少ないと言えます。
腸内環境を良好に保つには継続的な摂取が重要です。乳酸菌を摂取し続けることで、善玉菌の働きをサポートし、腸内フローラのバランスを維持できます。
ただし、乳酸菌が含まれる乳製品には注意
ただし、乳酸菌が含まれる乳製品(ヨーグルトやナチュラルチーズなど)には注意が必要です。
犬は乳製品を過剰摂取すると腸内の発酵が非常に活発になり、腸が刺激を受けることで水分バランスが崩れ、下痢を引き起こすことがあります。
また、腸内細菌のバランスが一時的に乱れることでガスが溜まり、お腹が張る(鼓腸)といった症状があらわれることもあります。
ドッグフードにトッピングしたりおやつとして乳製品を与えるのは、適度な頻度と量であれば問題ないですが、与えすぎには十分に注意しましょう。
特に乳糖不耐症の犬は注意!
乳糖不耐症とは、乳糖を消化する酵素「ラクターゼ」の分泌量が少ないために、乳製品に含まれる乳糖(ラクトース)を適切に分解・吸収できない状態です。
乳糖が小腸で分解されずに大腸へ移動し、下痢や軟便、腹部膨満、ガス溜まりなどの症状を引き起こします。特に成犬は子犬に比べてラクターゼの活性が低下し、乳糖の消化が難しくなります。
乳酸菌は適量であれば健康に良いものですが、摂取量には注意が必要です。特にサプリメントや発酵食品を与える際は少量から始め、愛犬の体調を観察しながら調整することが大切です。
まとめ
- 乳酸菌はプロバイオティクスの一種
- 腸内環境の改善により健康度が上がる
- 乳酸菌は自然に体外に排出される
- 乳糖不耐症の成犬は乳製品の摂取に注意が必要