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ドッグフードの成分:コンドロイチン(chondroitin sulfate)
コンドロイチン硫酸とは
コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)は、動物の軟骨部分や植物ではネバネバヌルヌルとした食べ物に多く含まれる成分で、関節を構成するグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の主成分です。
コンドロイチンが構成する軟骨は、軟骨の水分保持や弾力性を促進し、関節にかかる負担や衝撃を吸収することで、関節の骨と骨の間で摩擦や衝突を防ぐクッションのような役割があります。
コンドロイチンは、「コンドロイチン硫酸ナトリウム」として関節痛や腰痛、五十肩、神経痛の治療に利用されたり、グルコサミンやヒアルロン酸と一緒に、関節の痛み軽減を目的としたサプリメントに配合されています。犬用製品でもグルコサミンと一緒に関節へ配慮したドッグフードやペット用サプリメントに配合されることが多く、関節への効果が期待されています。
- サメのヒレ
- オクラ
- 納豆
- 里芋
- 山芋
- なめこ etc…
コンドロイチンは変形性関節症の改善する効果が報告されている
関節症発症犬に対する D-グルコサミン塩酸塩・コンドロイチン硫酸配合剤経口投与で改善が見られた
引用元:関節症発症犬に対する D-グルコサミン塩酸塩・コンドロイチン硫酸配合剤経口投与の臨床学的効果
供試物質としてグルコサミン・コンドロイチン硫酸配合剤(2粒にグルコサミン塩酸塩500mg、コンドロイチン硫酸含有サメ軟骨粉末125mg、ケルセチン配糖体18.75mgを含有)を使用した。供試物質は、イヌの体重を目安に1日1回、30~60日間経口投与した。
変形性関節症33例、炎症性関節症17例の計50症例においてグルコサミン・コンドロイチン硫酸配合剤投与の臨床症状改善効果の評価を行った結果、その多くの症例で、症状の改善がみられた。特に、変形性関節症の場合はその効果が顕著であった。また、炎症性関節症を発症した一部の動物で、本剤の投与によって併用薬剤が減量できた。症状の軽減や嗜好性においては飼い主の印象もよく、明らかな副作用はみられなかった。
北海道大学大学院獣医学研究院教授などによる研究結果には、関節症を患った犬に対するグルコサミン、コンドロイチンの経口投与の効果について、犬の体重を目安に1日1回、1~2ヶ月間にわたって薬剤と併用してコンドロイチンやグルコサミンを経口投与したところ、多くの犬に改善が見られ、使用する薬剤の減量ができたと報告されています。
これは経口摂取でもコンドロイチンが関節に効果があるとわかる結果にも思えますが、グルコサミンと投与しているため、どちらによる効果であるかが不明瞭であること、また、薬剤と併用しているため、薬剤による改善で減薬ができた可能性も拭えないため、効果があるというには弱い結果のようにも感じます。
コンドロイチンの経口摂取は効果なしという報告もある
動物へではなく人間への効果について調べてみると、以下のようにコンドロイチンの有効性を数値で示した結果がありました。
引用元:関節痛に対するコンドロイチンおよびグルコサミンの有効性
コンドロイチンの関節痛の痛み改善効果については、論文によって効果量が0.03(効果無し~僅か)~0.78(効果中程度)と大きな差があります。-中略-
各結果には一貫性が無く不均質であったものの、高い質の試験に制限して解析した場合には効果量が0.005(95% CI, − 0.11, 0.12)(効果無し~僅か)となり、有意な痛み改善効果は無かったことが報告されている。以上4報のメタ解析結果から、コンドロイチンは関節の痛みに対し、確実に効果があるとは言えないことが明らかにされた。
コンドロイチンの効果に関する研究や調査では、コンドロイチンの経口摂取について関節へ高い効果があると示した報告と、関節への効果はさほどないという報告の両方があり、現状「コンドロイチンをドッグフードやサプリメントから摂取すると関節に効果がある」と明言はできないようです。これは食品でもペットフードでも同じです。
軟骨に直接コンドロイチンを注射される治療の場合は、関節への直接的な効果や作用があると分かっていますが、コンドロイチンを口から摂取しても、食べ物は胃や腸で消化液によって分解されるため、軟骨成分にはならないという見解が有力とされています。
ただコンドロイチンはサプリメントなど様々な機能性食品にも配合され利用実績も非常に多く、企業側もコンドロイチンの関節への効果を謳いたいというビジネス的な背景もあるため、今後の研究や調査でコンドロイチンが持つ効果が証明される可能性もあります。
まとめ
- コンドロイチンは軟骨の構成成分の一つ
- サプリメントやシニア用ドッグキフードに配合
- 効果の有無は研究や調査報告によって異なる