ドッグフードのアスパラガス。スタミナの持続と疲労回復のアスパラギン酸!与える注意点も

ドッグフードのアスパラガス。スタミナの持続と疲労回復のアスパラギン酸!与える注意点も

ドッグフードの原材料:アスパラガス(asparagus

鮮やかな色味と独特な苦味ある緑黄色野菜のアスパラガス。食材の呼び方としてアスパラとアスパラガスに分かれますが、アスパラはアスパラガスの略となるのでどちらも全く同じものです。アスパラガスには穂先、茎、ハカマという部分がありますが、ハカマとはアスパラガスの側面に付いている三角形の葉のようなものをいいます。

犬田さん
アスパラガスの穂先、茎、ハカマ。すべて犬が食べても大丈夫!

なんと、アスパラガスに含まれるアスパラギン酸は疲労回復の働きがあるんです。犬にアスパラガスを与えるメリットや注意点をご紹介します。

アスパラガスの栄養素とメリット

下表は、茹でたアスパラガス100gあたりの栄養素です。

エネルギー25kcal
たんぱく質2.6g
カリウム260mg
β-カロテン360μg
葉酸180μg
ビタミンC16mg
アスパラギン酸430mg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

ルチン

ルチンとはポリフェノールの一種で、主に穂先に含まれています。体内で作られる活性酵素を抑制する強い抗酸化作用を持つため、細胞の老化がゆるやかになったり、細胞が修復されやすくなります。

β-カロテン

犬の体内では、β-カロテンは必要な分だけビタミンAに変換されて作用します。皮膚や粘膜の健康維持、視力の維持、老化の予防に効果があります。

葉酸

葉酸とは水溶性ビタミンの一種で、赤血球を作るため「造血のビタミン」ともよばれます。貧血の予防やDNAの合成、細胞の生成・成長をサポートします。

健康な犬の場合、葉酸は腸内細菌の働きによって合成されるため、食事から摂取する必要はありません。しかし成長期の犬や妊娠初期の犬は細胞分裂が活発に行われるため、葉酸を十分に摂取することが必要になります。

カリウム

カリウムは体内の浸透圧を調整する働きがあり、塩分濃度が高くなったときに尿と一緒に排出する働きを持ちます。それによって高血圧を予防することができます。

アスパラガスの特有成分「アスパラギン酸」とは?

アスパラガス特有成分のアスパラギン酸はアミノ酸の一種です。アスパラガスから発見されたアミノ酸なので、この名が付けられました。うま味成分で、とくに穂先に含まれています。

アスパラギン酸には筋肉運動に欠かせないミネラルの吸収を高める働きがあり、エネルギーがきちんと作られるようサポートするためスタミナを持続させることができます。また、疲労物質である乳酸の代謝分解を促す働きがあるので、疲労回復に効果があります。私たち人間が飲む栄養ドリンクも、実はアスパラギン酸にミネラルを加工した成分が含まれているんです。

アスパラガスは、お散歩のあとや激しい運動をしたあと、疲れやすい体質の犬、体力が落ちているシニア犬にとっておすすめの食材といえます。

グリーンアスパラとホワイトアスパラの違いは?

グリーンアスパラとは、発芽したあとに太陽の光を当てて栽培されたものです。対してホワイトアスパラは、太陽の光を遮断した状態(土の中)で栽培されたものをいいます。違いは「育て方」です。現在ではグリーンアスパラは生、ホワイトアスパラは缶詰で売られているのが主流となっています。

どちらも同じアスパラガスなのですが、グリーンアスパラは太陽の光を浴びている分、栄養価が高くなります。犬の健康を考えると、グリーンアスパラがおすすめでしょう。

アスパラガスの穂先、茎、ハカマのおすすめの食べ方

アスパラガスの穂先、茎、ハカマ、犬はどの部分を食べても大丈夫です。とくに穂先は独特な苦味がなく柔らかいので、食べやすくおすすめです。

茎の根本は1cmほど切り落とし、茎やハカマはピーラーで皮をむきます。沸騰したお湯に、茎の部分を1分、そのあと全体を2分ほど茹でましょう。犬は食物繊維の消化が苦手なので、十分柔らかくなってから与えてください。

アスパラガスを与えるときの注意点

過剰摂取は体調不良の原因に

どの食べ物でもそうですが、栄養が豊富だからといって過剰摂取すると栄養バランスが崩れ、健康維持に影響を及ぼします。ドッグフードのトッピングやおやつは、犬の1日の総摂取カロリーの10%が適正です。アスパラガスの過剰摂取により中毒症状が出たという症例は確認されていませんが、万が一を考えて与える量には気を付けましょう。

生で与えない

アスパラガスの茎は固いので、十分に加熱することがおすすめです。とくに子犬やシニア犬は噛む力が弱いのでそのまま丸飲みしてしまうことがあり、消化不良になってしまう恐れがあります。また、独特な苦味があるので犬にストレスを与えてしまうかもしれません。アスパラガスは柔らかくなるまで加熱して食べやすいように小さくカットし、粗熱をとってから与えましょう。

ホワイトアスパラの缶詰は与えない

ホワイトアスパラの缶詰は犬に与えないようにしましょう。栄養が落ちているだけでなく、調味料や保存料、塩分などが入っているため犬に健康には害となります。

生のアスパラガスにはシュウ酸が含まれている

アスパラガスに限らず、生野菜にはシュウ酸が含まれています。シュウ酸は体内のカルシウムと合成すると「シュウ酸カルシウム結石」になる恐れがあります。アスパラガスのシュウ酸は水溶性で、茹でることでお湯に溶けだすため、シュウ酸を減らすことができます。

犬田さん
アスパラガスは子犬の時期から食べても大丈夫ですが、シュウ酸カルシウム結石の可能性を下げるためにも、毎日与えるのは避けましょう。

生のアスパラガスにはアルカロイドが含まれている

生のアスパラガスには、微量のアルカロイドが含まれています。アルカロイドを過剰摂取すると嘔吐や下痢、震えなどの中毒症状があらわれます。しかし、生のアスパラガスをたくさん食べたからといって中毒になるほどの量ではないので、心配しなくて大丈夫といえます。

アスパラガスは猫に与えては絶対だめ!

実は、猫は犬よりもアルカロイドに敏感で、絶対に食べさせてはいけない成分とされています。

飼い主さん用の食事で出したアスパラガスや、犬が食べ残したアスパラガス、ゴミ箱に捨てたはずのアスパラガスなど、犬と一緒に猫を飼っているご家庭ではアスパラガスの取り扱いを十分に気を付けてください。

まとめ

  • アスパラガス特有のアスパラギン酸は、スタミナの持続と疲労回復に効果がある
  • ホワイトアスパラよりも、グリーンアスパラの方が栄養価が高い
  • 犬と一緒に猫を飼っているご家庭ではアスパラガスの取り扱いに注意

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、ドッグフード勉強会ディレクターとして、ドッグフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通してわんちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんとわんちゃんの幸せのお手伝いになれば嬉しいです。