ドッグフードの原材料:魚油(フィッシュオイル)
魚油(フィッシュオイル:Fish Oil)とは、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を豊富に含むサンマ、アジ、サバ、イワシ、マダラ、スケソウダラなど様々な魚類から油分を抽出したオイルです。
日本では北海道や石巻などの漁業地域、海外ではペルー、チリ、北欧地域、アラスカなどの水産資源が豊富な国での生産が盛んです。
近年、オメガ3脂肪酸の記憶力や生活習慣病への効果が注目されていることから、サプリメントや健康食品に使用されています。また原料としてはマーガリンやショートニングにも利用されています。
ドッグフードでも魚油(フィッシュオイル)を使用するメーカーは多く、特に肉類をメインに使用したフードではオメガ3脂肪酸の供給源として魚油が利用されています。
魚油(フォッシュオイル)を使用したドッグフード
魚油の製造について
魚原料を加熱し蒸煮にします。圧搾と脱水を行い、油分とそれ以外を分離します。抽出した油分を精製分離をし、より純度の高い魚油にします。油分を抜いて残った原料が魚粉(フィッシュミール)のもととなります。分離後は別の製造工程を辿りますが、魚油も魚粉ももとの原料は同じです。
魚油の栄養成分と働き
魚油の100gあたりの栄養価 | ||||
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脂肪100%(100g) | 飽和脂肪酸(29.8g) | ミリスチン酸 | 6.5g | |
パルミチン酸 | 16.6g | |||
不飽和脂肪酸(65.6g) | 一価不飽和脂肪酸(33.8g) | オレイン酸 | 14.7g | |
多価不飽和脂肪酸(31.8g) | エイコサペンタエン酸(EPA) | 10g | ||
ドコサヘキサエン酸(DHA) | 10g |
魚油は100g中100gが脂肪で構成されています。脂肪はグリセリンと脂肪酸で構成されています。脂肪酸の詳細を見ると、不飽和脂肪酸が6割で、その中でも必須脂肪酸のEPAとDHA(オメガ3脂肪酸)が豊富で、全体の2割を占めています。
学習能力や記憶力の向上
魚油に豊富なオメガ3脂肪酸には、脳や神経の伝達を活性化させ、学習能力や記憶力を向上・改善効果があります。また脳の活性化により運動機能の向上やアルツハイマーや認知症予防なども期待できます。
炎症の抑制・緩和の作用
オメガ3脂肪酸には炎症を抑制・緩和作用があります。皮膚、被毛、骨や関節、臓器の炎症など様々な体の炎症や痛みを緩和することから、高齢期の関節炎や、原因不明のアトピー性皮膚炎への効果も期待されています。
コレステロールや中性脂肪の低下
オメガ3には血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させる働きがあります。コレステロール値を下げて血液をさらさらにすることで、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞を予防します。
魚油の注意点
魚油は酸化しやすい
油分の中でも不飽和脂肪酸のオメガ3は、酸化しやすい特徴があります。
酸化された脂質(過酸化脂質)が増えると、ドッグフードの風味の損失による嗜好性や食欲低下、また細胞に悪影響を与えることで細胞死、老化、癌細胞の発生などを招きます。また、黄色脂肪症の原因にもなるので、魚油単体の大量摂取や、魚油の多いフードには注意が必要です。
ですが、通常ドッグフードで魚油などオメガ3脂肪酸を多く使用する場合は、ビタミンEなどの強い抗酸化作用がある成分や酸化防止剤を多めに配合するので、基本的に酸化による危険ないと言えます。
魚油は魚アレルギーの犬でも大丈夫?
抗原タンパク質が含まれないので問題なし
魚アレルギーの犬が魚油入りのドッグフードを食べても基本的に問題ありません。
魚油は脂質が100%で食物アレルギーの抗原となるタンパク質は含まれないので、原料が魚だとしてもアレルギー反応が出ることは限りなく少ないと言えます。
ただ、魚油は海外でも製造されるので、たとえば工場によって魚油の製造時に十分な加熱や精製分離がきちんと行われなかったりすると、タンパク質残存の可能性は0ではないと思います。
このため、魚油の原料となるサンマ、アジ、サバ、イワシ、マダラ、スケソウダラなどにアレルギーがある犬は避けた方が無難かもしれません。
もし一部の魚にアレルギーのある犬で心配な場合は、たとえばサーモンオイルやニシン油のように特定の魚に絞った原材料を使用したドッグフードを選ぶのがおすすめです。
まとめ
- 様々な魚類から脂肪分を抽出した原材料
- 必須脂肪酸のオメガ3(DHA・EPA)が豊富
- 記憶力向上やコレステロール減少、炎症緩和などの効果あり
- 酸化しやすい点に注意