ドッグフードのビートパルプ。血糖値上昇を抑制!不使用にされる理由。ビートファイバーがおすすめ

ドッグフード ビートパルプ
犬田さん
甜菜という植物由来の食べ物から生産されたビートパルプですが、ドッグフードの原材料としては、かなり低評価を受けており、ビートパルプ不使用のフードを選ぶ方も少なくありません。
佐藤さん
そうですよね、でも私もなんとなく避けてビートパルプ不使用のものを選んでいました。
犬田さん
今回は、ドッグフードのビートパルプについて、なぜビートパルプが避けられるのか、またビートファイバーについても解説したいと思います。

ドッグフードの原材料:ビートパルプ(Beet Pulp)

製糖副産物を加工した繊維状の原材料

ビートパルプ(Beet Pulp)とは、ヒユ科アカザ亜科フダンソウ属の甜菜(テンサイ)を加工して作られる原材料です。

甜菜は別名「サトウダイコン」と呼ばれ、砂糖の原料として全世界の35%の砂糖が甜菜から生産されています。

ビートパルプは甜菜を細かく細断し、糖分を抽出した後に残った製糖副産物(搾りカス)と葉を乾燥させ、ペレット状に固めた繊維状の原材料です。

ビートパルプを使ったドッグフード

犬におけるビートパルプの効果や働き

腸内環境を整え満腹感を持続させる水溶食物繊維が豊富

ビートパルプには不溶性食物繊維だけでなく、ペクチンやヘミセルロースなどの水溶性食物繊維が含まれています。

水溶性食物繊維は、犬の胃や小腸では消化されませんが、大腸での発酵が早く、善玉菌や粘膜上皮細胞のエネルギーとなって犬の腸内環境を整える働きがあります。また、水溶性食繊維は粘性があるので、消化器官をゆっくりと移動します。満腹感を持続させるので、食いしん坊な犬の体重管理にもおすすめです。

また、不溶性食物繊維も含まれるので、便通促進や便量増加、腸内の掃除などの働きもあります。

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犬の血糖値や遊離脂肪酸の上昇を抑制

ビートパルプは犬の小腸でエネルギー源として分解されずゆっくりと小腸まで移動するので、急激な血糖値の上昇を抑制します。

ビートパルプ ドッグフード画像引用元:フード中の食物繊維の種類・量が健常犬の糖代謝およびインクレチン分泌に与える影響について|ペット栄養学会誌

要約:健常ビーグル犬に対し、総合栄養食であるドライフードに高繊維食をあたえ、食後の栄養代謝への影響を比較検討した。-中略-

結果として、食後のグルコース変動には大きな影響は与えなかったが、インスリン分泌量は繊維量が増加すると共に減少した。可溶性繊維を含むビートパルプは粘性を生じるため、食物移行速度の遅延が生じ、消化吸収を抑制した。一方、不溶性食物繊維であるセルロースは食物移行速度に影響を与えないものの、ビートパルプと同様に消化・吸収を抑制させた。さらに、繊維の種類に関係なく遊離脂肪酸の上昇を抑制する傾向にあった。

ペット栄養学会誌に掲載された日本獣医生命科学大学の研究報告によると、健康なビーグル犬に対してビートパルプとセルロースの2種類の高繊維食を与えて食後の栄養代謝を比較したところ、高繊維食ではインスリン分泌量が減少し、食物の消化吸収を抑制するとともに、移行速度を遅延させることがわかりました。

また、血中に存在する脂肪の分解によって生じる脂肪酸(コレステロールなど)である「遊離脂肪酸」は血中に増加すると血糖値を上昇させますが、ビートパルプなどの高繊維食で抑制される傾向が確認されました。

ビートパルプのデメリットと危険性。避けられる理由は?

化学的な薬品を利用して精製されるから危険?

ビートパルプ 製造工程画像引用元:ビート糖業を巡る事情 (2)|独立行政法人 農畜産業振興機構

ビートパルプは化学的な薬品を利用して分離・精製されているため危険という話がよく聞かれますが、ビートパルプによって犬や猫、家畜動物への悪影響は報告されていません。

ビートパルプの製造では主に温水によって滲出し、フィルターや遠心分離機による濾過や分離を行っています。

イオン交換樹脂や石灰乳、炭酸ガスなどを使用し不純物の濾過が行われますが、家畜飼料に使用されるビートパルプが危険である場合、人体にも影響が出る可能性があることから、家畜飼料への使用はむしろペットフードより厳しい傾向にあります。

当サイトでは「ビートファイバー」をおすすめ

ビートファイバーは食品向けの原材料

もしビートファイバーのような食物繊維の働きを利用したいなら、ビートファイバーを使用したドッグフードや犬用サプリがおすすめです

ビートファイバーは、ビートパルプと同じと書かれていることも多いですが、実は別物です。ビートパルプは製糖副産物で搾りかすをペレット状に固めた物ですが、ビートファイバーは食品向けにより丁寧に食物繊維の精製が行われた天然食品材料です。ビートパルプとビートファイバーは、ペットフードの原材料の選定でもきちんと区別されています。

ペット用となると、ほとんどがビートパルプやセルロースになるかと思いますが、中にはビートファイバーを使用している商品もあります。ただ企業によっては、ビートパルプ=ビートファイバー(ビートパルプの別名で同じもの)と考えている場合もあるので、ビートファイバーと表記している場合でもサイトの原料紹介や問い合わせで確認した方がいいかもしれません。

ビートファイバーは半分以上が水溶性食物繊維

成分組成へミセルロース36.4%
ペクチン19%
セルロース23%
粗タンパク9%
水分4.5%
リグニン3%
灰分3%
糖質1.5%
粗脂肪0.6%
引用元:機能性食品 ビートファイバー|日本甜菜製糖株式会社 公式HP

日本甜菜製糖株式会社の公式サイトの「ビートファイバーの成分組成例(%)」によると、ビートパルプの8割が食物繊維で、そのうち55.4%を占めるへミセルロースとペクチンは水溶性食物繊維です。不溶性食物繊維のリグニンやセルロースで25%で、不溶性食物性と水溶性食物繊維がバランスよく配合されています。

まとめ

  • ビートパルプは砂糖の原料となる甜菜の製糖副産物
  • 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が豊富
  • 犬の血糖値の上昇を抑え満腹感を持続させる
  • 善玉菌のエサとなって犬の腸内環境を整える
  • 食品向けのビートファイバーが特におすすめ!
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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。