ドッグフードのアジ。豊富な必須アミノ酸と老化予防。おすすめの与え方や中毒についても

ドッグフードのアジ。豊富な必須アミノ酸と老化予防。おすすめの与え方や中毒についても

ドッグフードの原材料:アジ(jack mackerel

犬田さん
犬はアジを食べても大丈夫です!生食ではなく、必ず加熱したものを与えましょう。

アジを原材料として使用しているドッグフード

・eatDELI/Main Gourmet 1アジ

この記事では犬にアジを与えるメリットや栄養、おすすめの与え方や注意点をご紹介します。

アジの栄養素とメリット

アジは種類が多く、スーパーなどではマアジやシマアジ、ムロアジ、ニシマアジなどが売られていますが、一般的にアジといった場合はマアジを指します。アジには犬に中毒となる成分が含まれていないので、食べても大丈夫です。

下表は生のマアジ100gの栄養素です。

エネルギー112kcal
たんぱく質19.7g
脂質4.5g
カリウム360mg
カルシウム66mg
セレン46μg
エイコサペンタエン酸(EPA)300.0mg
ドコサヘキサエン酸(DHA)570.0mg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

セレン:がんや老化の予防

セレンは体内で生成することができない必須微量ミネラルで、水中や土壌に含まれています。そのため水中を泳ぐ魚介類や、土壌で育った作物に主に含まれています。

セレンは抗酸化作用を持ちます。体内の不飽和脂肪酸は酸化すると過酸化脂質に変化し、細胞の老化を促進してしまいますが、セレンの抗酸化作用により過酸化脂質を分解します。そのため、細胞の修復や改善、がんや老化の予防に期待できます。

セレン単体でも強い抗酸化作用を示しますが、ビタミンCやビタミンEと摂取すると、より作用を発揮します。

低カロリー・低脂質・高たんぱく質

アジは他の魚類と比べてカロリーが低く、低脂質でありながら高たんぱく質なので、「愛犬に栄養を摂取してほしいけど太らせたくない…」という場面で活用しやすい魚です。

とくに運動量が少なく消費カロリーが少ない子や、ダイエット中の子におすすめです。

エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)

エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸は、不飽和脂肪酸とよばれる良質な脂質です。魚類以外にはあまり含まれていないため、意識して摂取したい栄養素です。

エイコサペンタエン酸は血液をサラサラにする働きにより血中コレステロールや中性脂肪の減少、動脈硬化や血栓形成の予防が期待できます。

ドコサヘキサエン酸は脳に最も豊富な脂肪酸であり、学習や記憶など脳の機能に欠かせない構成成分でもあります。とくに妊娠中・授乳中の母犬が摂取することで、胎児期や出生後に脳の発達や視力の至適化に役立つことが報告されています。

参考:PURINA Institute「ペットフード中の必須脂肪酸」

アジはアミノ酸スコアが100

必須アミノ酸が豊富

アジには、たんぱく質を構成する必須アミノ酸が豊富に含まれています。必須アミノ酸とは、犬が食事から摂取しなければならない10種類の栄養素のことをいいます。(人は8種類、猫は11種類)

アジ(1匹/100g)に含まれる必須アミノ酸は、卵(1個/60g)よりも2倍ほど多く含まれています。

たんぱく質が不足していると筋力の低下や被毛のパサつき、肌の健康状態の低下、思考力の低下などに影響があらわれます。

総合栄養食であるドッグフードを食べていればたんぱく質が不足することはありません。しかしドッグフードへの食いつきが悪い子や食欲が落ちている子、消化・吸収機能が低下しているシニア犬などは、十分にたんぱく質を摂取できない恐れがあります。

アミノ酸スコアが100

アミノ酸スコアとは、必須アミノ酸がバランスよく豊富に含まれているかを指標であらわしたものです。100を最大値として、数値が高いものほどバランス良く良質なたんぱく質が含まれているということです。必須アミノ酸が1つでも欠けていると、その他の必須アミノ酸が豊富であってもアミノ酸スコアは0となります。

アジはアミノ酸スコアが100の食べ物です。アミノ酸スコアが高い食べ物は限られているので、愛犬の健康のために覚えておくと良いでしょう。下表はアミノ酸スコアが100の食べ物です。

魚類アジ、カツオ、イワシ、ホタテ
肉類豚肉(ロース)、鶏肉(もも)、和牛肉(もも)、馬肉(赤身肉)
卵類鶏卵、うずら卵
豆類大豆
乳類牛乳、ヨーグルト(全脂無糖)

アジの生食はNG!

スーパーではアジのお刺身やお寿司が売られていますが、下記の理由により犬に生のアジを与えることはNGとなります。ご家庭でアジのお刺身やお寿司を食べるときは、犬につまみ食いをされないようにしましょう。

アニサキス中毒

アジに限らず、生の魚にはアニサキスという寄生虫が付着している可能性があります。アニサキスは寄生した魚の鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動します。長さ2~3cmの白い糸のような見た目で、目視で確認することができます。とくにサバやサケ、サンマ、カツオにアニサキス中毒の報告が多くみられます。

生きたアニサキスを食べると、数時間後に下痢や嘔吐、激しい腹痛などの症状を引き起こします。

アニサキスは加熱と冷凍で死滅させることができます。犬にアジを与えるときは必ず加熱してから与えましょう

参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しよう」

参考:国立感染症研究所「アニサキス症」

ヒスタミン中毒

アジに限らず、鮮度が落ちた生の魚を食べるとヒスタミン中毒を引き起こす恐れがあります。

魚の鮮度が落ちると、細菌の脱炭酸酵素の働き(脱炭酸反応)によって魚に含まれるヒスチジンがヒスタミンという成分に変化します。ヒスタミンはアレルギーや食中毒を引き起こす成分で、過剰に摂取すると下痢や嘔吐、めまい、蕁麻疹などの症状があらわれます。

ヒスタミンは一度生成されると、加熱や冷凍しても分解されません。そのため、犬に与えるときはヒスタミンに変化する前の新鮮な状態のときに調理することが重要となります。

参考:厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」

チアミン欠乏症

アジに限らず、生魚や貝類などにはチアミナーゼという酵素が含まれており、体内のチアミン(ビタミンB1)を破壊する性質を持ちます。

チアミンは食べ物の糖質をエネルギーに変換するのに重要なビタミンですが、犬は体内でチアミンを生成することができません。そのため、チアミナーゼを過剰に摂取すると「チアミン欠乏症」になる恐れがあります。

嘔吐や神経障害、食欲不振、手足のむくみ、倦怠感などの症状があらわれ、最悪の場合は命に関わります。

チアミナーゼは熱に弱いので、犬に与えるときは必ず加熱しましょう

アジのおすすめの与え方

皮を付けたまま素焼きにする

油を引かずに、皮を付けたまま素焼きにすることがおすすめです。アルミホイルに包んで蒸し焼きにするのも良いでしょう。犬は丸飲みや早食いをすることが多いので、皮を小さくカットし、身をほぐしてください。

アジを茹でる場合は、栄養成分がゆで汁に流れ出しているので、ゆで汁もドッグフードにかけるのがおすすめです。

トッピングやおやつとして

アジは加熱すると香りが立つので、食欲が落ちている子に食欲促進が期待できます。ドッグフードへのトッピングやおやつとして与えましょう。1日の総カロリー量の10%が適量となります。

まとめ

  • アジの強い抗酸化作用により、がんや老化予防に期待
  • アジは低カロリー、低脂質、高たんぱくで、アミノ酸スコアが100
  • アジの生食はNG!中毒に注意が必要