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ドッグフードの原材料:カブ(turnip)
アブラナ科のカブ。実は淡色野菜、葉は緑黄色野菜に分類されます。
実は、カブは実よりも葉の方が栄養が豊富に含まれています。犬の健康維持に欠かせない栄養とおすすめの与え方についてご紹介します。
カブの栄養素とメリット
下表は、生のカブと茹でたカブ100gの栄養素です。
葉(生) | 葉(ゆで) | 実(生) | 実(ゆで) | ||
---|---|---|---|---|---|
エネルギー | 20 | 20 | 19 | 20 | kcal |
カリウム | 330 | 180 | 250 | 250 | mg |
β-カロテン | 2800 | 3200 | 0 | 0 | μg |
ビタミンC | 82 | 47 | 18 | 16 | mg |
食物繊維 | 2.9 | 3.7 | 0 | 1.7 | g |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
食物繊維
食物繊維は水溶性と不溶性があります。
- 水溶性食物繊維:水に溶ける。糖質の吸収をゆるやかにし、コレステロールの排出を促進する。
- 不溶性食物繊維:水に溶けない。水分を吸収して腸を刺激することで便通を促進する。
どちらも大腸の細菌によって発酵・分解され、ビフィズス菌のエサとなって善玉菌が増え、腸内環境を整える働きがあります。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらか一方を摂取するのではなく、さまざまな食べ物を組み合わせてバランスよく摂取することが大切です。
カブには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれており、とくに実よりも葉に多く含まれています。
カリウム
カリウムとは、体内の浸透圧を調整する作用があり、体内の塩分濃度が高くなったときに尿と一緒に排出する働きを持ちます。それにより血圧を下げたりむくみを解消する効果があります。
ビタミンC
カブに含まれるビタミンCは、実よりも葉の方に4倍も多く含まれています。ビタミンCは抗酸化作用やコラーゲン生成のサポート、免疫機能の向上などの働きがあります。とくに抗酸化作用については、日々の生活でどうしても蓄積してしまう活性酵素を除去することができます。
犬は体内でビタミンCを生成することができますが、内臓機能が低下しているシニア犬は十分な量のビタミンCを生成することができないことがあります。そのため、カブの摂取は犬の健康に効果的といえます。
β-カロテン
β-カロテンはかぶの実にはほとんど含まれていなく、かぶの葉に豊富に含まれています。
β-カロテンとは抗酸化物質で、細胞の老化の原因とされる活性酵素を除去する働きを持つため、老化予防につながります。犬の体内で必要な分だけビタミンAとして変換され、皮膚や粘膜を健康に保ちます。外から入ってくる細菌やホコリなどから体を守っているといえます。
でんぷん分解酵素アミラーゼと辛味成分イソチオシアネート
アミラーゼ
アミラーゼとはでんぷん(糖質)を分解する消化酵素の総称で、別名ジアスターゼともよばれます。私たち人間の場合は唾液に含まれていますが、犬にはありません。
アミラーゼはカブにも含まれており、犬の体内のでんぷんを消化・分解することによって消化不良や胸やけ、胃もたれなどの予防に効果があります。アミラーゼは熱に弱いため、犬に与えるときは生のカブがおすすめです。
イソチオシアネート
カブにはイソチオシアネートという成分が含まれています。イソチオシアネートはカブを生のままかじったときや、すりおろした時に鼻に抜けるほのかな辛み成分です。胃酸の分泌を促進する働きがあるほか、ガンや腫瘍の原因となる細胞の増殖を抑え、新しく健康な細胞を作る作用があります。
カブのおすすめの与え方
犬にカブを与えるときは「生の実や葉を、すりおろしたり小さくカット」がおすすめです。イソチオシアネートは加熱すると分解されてしまうため、茹でたものよりも生の方が良いでしょう。皮を分厚く剥き、すりおろしたり小さくカットすることで栄養を効果的に摂取することができます。
しかし喉が細い小型犬や、消化機能が未熟な子犬、消化機能が低下しているシニア犬には、生ではなく茹でてあげましょう。柔らかくして小さくカットすることで胃腸の負担を防ぐことができ、喉に詰まったり傷つけるのを防ぐことができます。
カブはスーパーで年中買うことができる野菜ですが、旬は年に2回です。3~5月の春のカブはみずみずしくて肉質が柔らかく、10~12月の秋のカブは甘みが増すのが特徴です。生のカブはシャキシャキとした食感があり、茹でるとなめらかな食感になります。野菜本来の自然な甘みなので、ドッグフードのトッピングや手作り食に取り入れやすいでしょう。
犬にカブを与えるときの注意点
カブにはグルコシノレートとよばれる成分が含まれており、犬の体内でゴイトロゲンという物質に変化します。ゴイトロゲンはヨウ素の吸収を阻害します。そのため甲状腺ホルモンを生成することができなくなり、甲状腺機能低下症を引き起こす恐れがあります。そのため甲状腺に病気がある犬や、甲状腺ホルモンの薬を常用している犬にはカブを過剰摂取させないようにしてください。
カブの過剰摂取によって病気を引き起こす症例は発表されていませんが、子犬のころからカブを積極的に摂取することは避けましょう。
まとめ
- カブは実よりも葉の方が、栄養が豊富に含まれている
- カブには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれている
- 生の実や葉を、すりおろしたり小さくカットして与えるのがおすすめ