ドッグフードの原材料:マグロ(tuna)
犬はマグロを食べても大丈夫です!
日本において、刺身で食べるマグロは本マグロ(クロマグロ)、ミナミマグロ(インドマグロ)、メバチマグロが主流となっています。マグロは犬の健康に効果的ですが、赤身と脂身(トロ)があり、含む栄養素の量は部位によって大きく異なります。
マグロの種類や部位、量、頻度に注意しながら、たまのご褒美として犬に与えてみましょう。
マグロの栄養素!犬に与えるメリット
下表は、クロマグロ、インドマグロ、キハダマグロ100gあたりの栄養素です。
クロマグロ | ミナミマグロ | メバチマグロ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
赤身 | 脂身 | 赤身 | 脂身 | 赤身 | 脂身 | |||
エネルギー | 115 | 308 | 88 | 322 | 115 | 158 | kcal | |
たんぱく質 | 26.4 | 20.1 | 21.6 | 20.3 | 25.4 | 23.9 | g | |
脂質 | 1.4 | 27.5 | 0.4 | 28.3 | 2.3 | 7.5 | g | |
セレン | 110 | - | 73 | 120 | 75 | 74 | μg | |
EPA | 27.0 | 1400 | 10 | 1600 | 80 | 320 | mg | |
DHA | 120 | 3200 | 64 | 4000 | 370 | 1300 | mg |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
抗酸化作用のセレン
マグロで特徴的な栄養素は、セレンです。とくにミナミマグロの脂身に含まれるセレンは、すべての食品の中でトップ10位に入っています。
セレンは抗酸化作用を持ち、体内で作られる活性酵素を除去し、細胞の老化予防や修復をサポートします。セレン単体でも強い抗酸化作用と発揮しますが、ビタミンCやビタミンEと一緒に摂取することでより良い効果が期待できます。
セレンは犬の十二指腸から吸収されるため、吸収率を上げるためにも腸内環境を整えることが大切です。
EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)
マグロの脂身にはEPAとDHAが豊富に含まれているのが特徴です。とくにミナミマグロの脂身に関しては、すべての食品の中でもトップ10位に入っています。
EPAとDHAはオメガ3系脂肪酸の代表的な成分です。EPAは血液や血管の健康維持をするため、血液をサラサラにする成分です。DHAは脳の構成成分で、よく「魚を食べると頭がよくなる」と言われますが、これはDHAの成分のためです。EPAやDHAのこれらの働きは、とくに子犬やシニア犬の健康に効果的な成分といえます。
高脂肪と聞くと避けがちですが、EPAとDHAという良質な脂なので、与え方に気を付ければそこまで心配する必要はありません。
赤身はカロリーが低い
マグロの赤身は脂身と比べて、格段にカロリーが低いことが分かります。マグロの刺身を1切れ約15gとして、クロマグロの場合はカロリーが約17kcalとなります。淡泊な白身魚で代表的なタイよりも少ない数値となります(真鯛の脂質5.8g)。赤身の場合は食べすぎによる肥満の心配はないでしょう。
良質なたんぱく質!アミノ酸スコアが100
マグロのアミノ酸スコアは100と認定されるほど、良質なたんぱく質が含まれています。
アミノ酸スコアとは、食べ物から摂取できるアミノ酸のバランスを数値であらわしたものです。最大値が100であり、数値が高ければ高い食べ物ほど、バランスよく栄養を摂取することができます。
アミノ酸スコアが低い食べ物ばかりを偏って食べた場合、たんぱく質の量は十分に摂取していても体内ではうまく吸収・利用できません。アミノ酸スコアが高いものをバランスよく食べることが犬の健康維持につながるため、飼い主さんは犬の普段の食事管理をしっかり行うことが大切です。アミノ酸スコアが高い食べ物はマグロに限らず何種類もあるので、愛犬の健康維持のために覚えておくと良いでしょう。
犬に与えるのはどの部位がおすすめ?
犬にマグロを与えるときは、赤身と脂身どちらもおすすめです。赤身はカロリーを抑えつつ、豊富な栄養素を摂取することができます。脂身はEPAとDHAを多く摂取することができます。
また、生のマグロには寄生虫の一種であるアニサキスが寄生している可能性が高いので、犬に与えるときは生よりも茹でることがおすすめです。アニサキスは熱に弱いので、よく加熱することでアニサキス中毒を避けることができます。ゆで汁も一緒に与えることで、嗜好アップも期待できます。消化しやすいように小さくカットしましょう。
マグロの血合いに関しては、文部科学省の日本食品標準成分表に記載がないので詳細な数値は分かりませんが、EPAとDHA、セレンのほかに鉄分やタウリン、ビタミンA、ビタミンEなどの栄養素が含まれているといわれています。血合いは食べることができる部位ですが、苦味や臭みが強いので、犬が嫌がるようであれば無理に食べさせる必要はありません。
マグロは種類や部位によって栄養素の量に差があります。そのためドッグフードのトッピングや手作り食でマグロを取り入れるときはマグロの種類、部位、量、頻度に気を付けましょう。
マグロを与えるときの注意点
パックのお刺身は与えない
スーパーなどで売られているパックのマグロのお刺身は、犬に与えないようにしましょう。ネギやニンニクなどの薬味が一緒に入っていることが多く、その成分がマグロに付いている可能性があります。犬にとってネギやニンニクなどの成分は中毒になるので、おねだりするからと言って与えてはいけません。犬に与えるマグロは、柵のものにしましょう。
脂身はカロリーが高いので食べすぎに注意
マグロの脂身は栄養が豊富ですがカロリーが高いです。そのため、日常的に与えてしまうと肥満になる恐れがあります。
まとめ
- マグロの特徴的な栄養セレンは、強い抗酸化作用を持つ
- 赤身はカロリーが低いうえに豊富な栄養素を摂取できる
- 脂身はEPAとDHAを多く摂取することができる
- 犬に与えるときは生よりも茹でることがおすすめ