ドッグフードの原材料:枝豆(green soybean)
枝豆とは、大豆が完熟する前の状態で収穫したものをいいます。植物分類学上は、枝豆は野菜類、大豆は豆類となります。未成熟の豆を塩茹でして食べる文化はアジア特有のものでしたが、2000年ごろの日本食ブームやヘルシー料理ブームによって塩ゆでされた枝豆が世界で紹介され、「edamame」と言っても通じるほどまでに流通されるようになりました。
この記事では、枝豆がスーパーフードとまで言われるほどの高い栄養素についてや、与えるメリットと注意点についてご紹介します。
枝豆の栄養素とメリット
下表は、枝豆と大豆100gに含まれる栄養素です。
枝豆(ゆで) | 大豆(ゆで) | ||
---|---|---|---|
エネルギー | 118 | 163 | kcal |
水分 | 72.1 | 65.4 | g |
たんぱく質 | 11.5 | 14.8 | g |
脂質 | 6.1 | 9.8 | g |
ビタミンC | 15 | Tr | mg |
β-カロテン | 260 | 3 | μg |
葉酸 | 260 | 41 | μg |
※Trとは微量を意味し、成分は含まれているが最小記載量に達していないことを示します。
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
豊富なたんぱく質
たんぱく質といえば肉や魚とイメージしますが、実は枝豆もたんぱく質が豊富なんです。大豆は「畑の肉」とよばれるほどたんぱく質が豊富ですが、枝豆は大豆が完熟する前の状態にも関わらず大豆に匹敵するほどのたんぱく質量、そして野菜類でもトップのたんぱく質量が含まれています。
老化予防のβ-カロテン
枝豆には、緑黄色野菜の特徴でもあるβ-カロテンが大豆に比べて圧倒的に多いのが分かります。β-カロテンは犬の体内で必要な分だけビタミンAに変換され作用するため、皮膚や粘膜の健康維持、老化の予防に効果があります。
抗酸化作用のビタミンC
ビタミンCは、激しい運動やストレスによって増えた活性酵素を抗酸化する働きを持ちます。この強い働きによって病気の予防やアンチエイジングが期待できます。またコラーゲンの生成をサポートしたり、鉄分の吸収を促進したりなど、健康維持に欠かせない栄養成分です。
枝豆は大豆が完熟する前の状態ですが、大豆には含まれていないビタミンCが含まれています。犬は体内でビタミンCを生成できる動物ですが、近年では食事からビタミンCを摂取することが健康維持につながるといわれています。またシニア犬は内臓機能の低下によりビタミンCをうまく生成できないことがあるため、枝豆の摂取は効果的です。
脂質は野菜でトップの含有量
枝豆には100gあたり6.1gの脂質が含まれていますが、これは野菜の中ではとても多い含有量となります。脂質は全身の組織のエネルギー源として働きます。脂質が不足すると皮膚が乾燥して痒みがフケがあらわれたり、毛艶が悪くなったり、免疫力の低下などがあらわれます。
赤血球を作る働きを持つ葉酸
葉酸とはビタミンB群の仲間で、水溶性ビタミンの一種です。赤血球を作る働きを持つため「造血のビタミン」ともよばれ、貧血の予防、DNAの合成、神経組織の発達、細胞の生成や再生をサポートします。
健康な犬の場合、葉酸は腸内細菌の働きによって合成されるため、食事から摂取する必要はありません。しかし成長期の犬や妊娠初期の犬は細胞分裂が活発に行われるため、葉酸を十分に摂取することが必要になります。
血糖値の上昇を抑えるピニトール
ピニトールとは枝豆に含まれる天然成分で、血糖値の上昇を抑える働きを持ちます。血糖値が上がりやすい食材(白米やじゃがいもなど)と一緒に食べることで血糖値の急上昇を防ぐことができ、糖尿病の予防につながります。
犬に枝豆を与えるのは何粒がおすすめ?
枝豆は栄養価が高い食べ物ですが、100gで118kcalと意外とカロリーが高い食材です。1粒が小さいので犬が欲しがるままに与えてしまいがちですが、体の小さな犬にとっては体重換算で計算するとカロリーオーバーとなり、肥満につながります。そのため、犬の1日の総摂取カロリーをきちんと把握し、適正な量の枝豆を与えることが大切です。
枝豆をドッグフードのトッピングやおやつとして与える場合、犬の1日の総摂取カロリーの10%が適正となります。
下表は、避妊・去勢済みの成犬に与えていい枝豆の目安の量です。
犬の体型 | 体重 | 枝豆の目安 |
---|---|---|
小型犬 | 2~5kg | 10~20粒 |
中型犬 | 10~20kg | 25~30粒 |
大型犬 | 20kg以上 | 30~40粒 |
子犬 | 4~10粒(すりつぶす) | |
シニア犬 | 4~10粒(すりつぶす) |
※おおよその目安となり、体格や運動量によって異なる
犬に枝豆を与えるときの注意点
枝豆のさや、皮、薄皮は与えない
枝豆のさや、皮、薄皮は消化不良の原因となるため、犬に与えてはいけません。とくに胃腸が未発達な子犬や、胃腸が弱っているシニア犬は注意が必要です。
生の枝豆は与えない
生の枝豆には、たんぱく質の消化・吸収を妨げる「トリプシンインヒビター」という成分が含まれています。トリプシンインヒビターはたんぱく質の分解を妨げ、摂取すると嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こす恐れがあります。トリプシンインヒビターは加熱すると分解されるため、犬に与える時は必ず茹でるようにしましょう。
茹でるときは塩ゆでしてはいけません。少量の塩分であっても、犬の体には害となってしまいます。スーパーで売っている冷凍の枝豆も、加工の段階で塩ゆでしていることがあります。冷凍の枝豆を与える場合は塩分が含まれていないものを選ぶか、水に漬けて塩抜きしてから与えましょう。
小さくカットする
鮮やかな色合いやサイズ感、ヘルシーさから、ドッグカフェでもよく使われる食材です。ご家庭でも手作り食として取り入れたいと思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。
枝豆は茹でても歯ごたえが残る食べ物なので、とくに小型犬やシニア犬は喉に詰まったり傷つける恐れがあります。そのため、犬に枝豆を与えるときは小さくカットしたり、すりつぶすのがおすすめです。ドッグフードのトッピングやおやつとして与えましょう。
まとめ
- たんぱく質は野菜類でトップの量が含まれている
- ピニトールは血糖値の上昇を抑える働きを持つ
- 与えすぎるとカロリーオーバーになり、肥満につながる恐れがある
- 枝豆は生ではなく、必ず加熱してから与える