ドッグフードの原材料:アボカドオイル(avocado oil)
アボカドオイルはアボカドの果肉から抽出される植物性油脂で、「森のバター」とよばれるほど非常に栄養価が高いスーパーフードとして知られています。
アボカド自体は不飽和脂肪酸やビタミンE、ビタミンB群、葉酸など人の健康にとって有益な栄養素が豊富に含まれています。とくに注目すべきはオレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸です。これらは抗酸化作用や抗炎症作用、皮膚や被毛の健康維持に欠かせない働きを持ちます。
しかし、アボカドは犬が食べると中毒症状が出るとされる危険な食べ物のひとつ。「アボカドオイルは食べても大丈夫なの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
アボカドオイルの中毒成分ペルシンについて
ドッグフードにはほとんど含まれていない
ペルシンとはアボカドに含まれる天然成分で、抗真菌作用を持つ脂溶性の物質です。アボカドの皮や種、葉、果肉の一部に含まれ、主に植物が自身を外敵から守るために備えている成分です。
ペルシンは人間にはほとんど影響がありませんが、犬がペルシンを摂取すると嘔吐や下痢、胃腸不調、さらには呼吸困難や心臓への影響を引き起こす恐れがあります。
しかしドッグフードやペット用製品のペルシンは製造過程において除去されるため含有量は極めて低く、安全性が確認されたうえで問題がないとされています。
アボカドオイルを原材料に使用しているドッグフード
- アボダーム
- ラブガド(wanfoo)
- ビィ・ナチュラル ルート
原材料にアボカドオイルを使うのは非常に珍しい
アボカドは犬にとって食べてはいけない食べ物というイメージが強いため、わざわざマイナスイメージのある食べ物を原材料に使おうというメーカーは少ないのではないかと考えられます。
そんな中でもアボダームはアボカドを推している珍しいペットフードメーカーで、
- ペルシンは特定の品種のアボカドの種、皮、樹皮、葉に含まれる物質
- アボカドは鳥類やウサギ、馬、ヤギなどの動物に有害
- 犬や猫におけるアボカド中毒の報告はない
- アボ・ダームは毒性のないアボカドの果肉または油のみで作られている
- 30年以上の販売実績でアボカド中毒(ペルシン中毒)はない
と公表しています。
実際、犬猫に関するアボカド論争については、世界各国で賛成派、反対派、中立派があるといわれています。
参考:アボカドに関するニュースの弊社の見解について|株式会社Biペットランド
アボカドオイルの栄養素やメリット
アボカドオイル100gあたりの栄養素 | |||
---|---|---|---|
エネルギー | 884 | kcal | |
ビタミンE | 5~10 | mg | |
不飽和脂肪酸 | オレイン酸 | 60000~70000 | mg |
リノール酸 | 10000~150000 | mg | |
α-リノレン酸 | 500~1000 | mg |
アボカドオイルには不飽和脂肪酸であるオレイン酸、必須脂肪酸であるリノール酸やα-リノレン酸が豊富に含まれています。とくに必須脂肪酸は体内で合成することができないため、食べ物から摂取しなければなりません。
これらの不飽和脂肪酸がさまざまな健康効果を持ちます。
皮膚の乾燥を防ぎ、被毛のツヤを保つ
アボカドオイルに含まれるレイン酸やリノール酸は犬の皮膚と被毛の健康維持に効果的です。皮膚の乾燥やフケを防ぎ、被毛のツヤや柔らかさを保つ助けとなります。とくに皮膚が乾燥しがちな犬や、アレルギー性皮膚炎を持つ犬には、有用な成分です。
免疫力の向上
リノール酸は細胞の機能向上や免疫力をサポートする効果があります。またビタミンEの抗酸化作用により体内の酸化ストレスを軽減し、免疫機能の低下を防ぐことができます。感染症やアレルギーに対する抵抗力が向上する可能性があります。
とくに免疫機能が未発達の子犬や、免疫機能が低下しているシニア犬におすすめです。
中性脂肪の減少や血圧を下げる
アボカドオイルに含まれるα-リノレン酸は抗炎症作用があり、関節炎や炎症性疾患の緩和に役立ちます。とくに年齢を重ねたシニア犬や、関節に負担がかかりやすい大型犬にとって重要なメリットです。
また血中の中性脂肪の減少や血圧を下げる効果もあるため、動脈硬化や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを低減し、さらに認知機能の改善や、うつ症状の軽減に効果があるとされています。
認知症や心血管疾患の予防
α-リノレン酸は体内でDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)に変換されます。
- DHA(ドコサヘキサエン酸):脳の構成成分で、認知症の予防や記憶力の向上
- EPA(エイコサペンタエン酸):血栓症や脳卒中、心筋梗塞などの心血管疾患を予防
DHAやEPAは必須脂肪酸に分類されませんが、健康効果が高いことから必須脂肪酸と同等に猫の健康に有益であるとされています。
消化吸収性が高く、胃腸に負担をかけにくい
アボカドオイルに含まれるオレイン酸は消化性・吸収性が高い特徴があります。そのため胃腸への負担を軽減し、健康的な脂質の供給源として利用することができます。
食欲不振な犬や、消化機能が低下しているシニア犬におすすめです。
まとめ
- ドッグフードの原材料でアボカドを使うメーカーは非常に少ない
- ドッグフードやペット用製品に使われるアボカドの中毒成分ペルシンは除去されている
- アボカドオイルには良質な脂肪酸オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸が豊富に含まれている