ドッグフードの原材料:植物性油脂
オレイン酸やリノール酸が豊富な植物油
植物性油脂とは、穀物や野菜、果物など植物原料から抽出された油脂の総称です。
植物性油脂にはオレイン酸やリノール酸などの脂肪酸が豊富に含まれているため、ドッグフードでも様々な植物性油脂が使用されています。特にベジタリアンやヴィーガン食の場合、脂肪分が豊富な動物原料を利用できないので、植物油を利用して必要な脂質を摂取します。
油脂(脂質)100%なので、他の栄養素に影響を与えずに脂質量が調整できることも大きなメリットの一つです。
複数の不特定な植物原料から抽出した油脂を「植物性油脂」と表現する場合もあります。
植物性油脂に豊富なオレイン酸とリノール酸の働き
オレイン酸
オレイン酸はオメガ9に分類される不飽和脂肪酸の一つで、体内で合成可能ですが、悪玉コレステロール濃度を下げたり、腸の働きを活性化させるなどの働きがあります。
リノール酸
また、リノール酸はオメガ6脂肪酸の一つで、食べ物から摂取しなければならない必須脂肪酸です。皮膚や被毛の健康維持に必要不可欠で、血中コレステロールを低下させる働きがあります。
植物性油脂の種類
植物油 | 豊富な栄養素 |
---|---|
亜麻仁油 (フラックスシードオイル) | αリノレン酸 アマニリグナン |
オリーブオイル | オレイン酸(オメガ9) ビタミンE ビタミンA ポリフェノール |
月見草油 | γリノレン酸 |
エゴマ油 | αリノレン酸 リノール酸 |
米油 | ガンマオリザノール トコトリエノール オレイン酸 リパーゼ |
コーン油 | リノール酸 オレイン酸 |
大豆油 | リノール産 オレイン酸 |
ベニバナ油 (サフラワーオイル) | オレイン酸 リノール酸 |
ヒマワリオイル (サンフラワーオイル) | リノール酸 オレイン酸 |
グレープシードオイル | リノール酸 ビタミンE |
ゴマ油 | リノール酸 オレイン酸 セサミン セレン |
菜種油 (キャノーラ油) | エルカ酸 オレイン酸 リノール酸 リノレン酸 |
落花生油 | オレイン酸 リノール酸 ビタミンE |
ココナッツオイル (ヤシ油) | 中鎖脂肪酸 ラウリン酸 |
パンプキンシードオイル | リノール酸 オレイン酸 |
サラダ油 | リノール酸 オレイン酸 |
アボカドオイル | ビタミンE |
植物性油脂にはトランス脂肪酸が多く含まれて危険?
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させる
トランス脂肪酸とは、油脂を精製・加工する際にできる不飽和脂肪酸で、血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)濃度を増加させることから、過剰摂取は動脈硬化などの生活習慣病の健康被害が心配されています。
また、トランス脂肪酸はα-リノレン酸がDHAやEPAに変換されるのを阻害するなどの報告もあります。
植物性油脂のトランス脂肪酸含有量は1%未満
植物性油脂は油脂の抽出時に精製や加工を行うためトランス脂肪酸が多いと考えられています。実際マーガリン(7g/100g)やショートニング(13.6g/100g)などの植物性硬油にはトランス脂肪酸が多く含まれていますが、他の植物性油脂を見ると、トランス脂肪酸含有量は少ないです。
日清オイリオの基準油脂分析試験法による自社分析例では、亜麻仁油やゴマ油、オリーブオイル、米油、キャノーラ油、ベニバナ油の100gあたりのトランス脂肪酸の含有量は1%未満(0.1~0.8%)です。動物の肉や乳の脂質には2~5%ほど天然のトランス脂肪酸が含まれるため、植物性油脂の方がトランス脂肪酸の含有量も少ないです。
ドッグフードの植物性油脂の含有量はそこまで多くない
また、ドッグフードの脂質は10~20%が一般的なので、配合される植物性油脂の割合が何十%にも及ぶことはまずありません。
このため、たとえばドッグフード全体の5%ほど植物性油脂を使用した場合、5%のうちの0.1~0.5%がトランス脂肪酸だった場合、ドッグフードに含まれるトランス脂肪酸の割合は0.005~0.025%とごく少量になります。
まとめ
- 植物原料から抽出される油脂
- オレイン酸やリノール酸などの脂肪酸が豊富
- オリーブオイルなどの植物油にはトランス脂肪酸は多く含まれていない