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ドッグフードの機能性食材や成分
ドッグフードには、肉や魚、野菜やフルーツなど私たちにとって馴染み深い食材多く使用されていますが、それ以外にも様々な機能をもった食材が使用されています。
総合栄養食ではAAFCOが定める栄養基準に則り、基準の範囲内でレシピをつくらなければならないので、使用できる原材料や配合量、成分値の振り幅には限りがあります。このため、それぞれのペットフードブランドでは、今回紹介するような機能性食材や成分を配合することで、他社との差別化をはかり、売りをつくっています。
食品としてあまり馴染みのない食べ物や、具体的にどんな効果や働きがあるのか分からない原材料もあるかと思いますので、今回はドッグフードに使用されている機能性食材についてまとめてご紹介したいと思います。
ドッグフードの機能性食材一覧
- 乳酸菌(プロバイオティクス、腸内環境)
- オリゴ糖(プレバイオティクス、腸内環境)
- 酵母エキス、ビール酵母(腸内環境)
- グルコサミン・コンドロイチン(軟骨の構成成分)
- セルロース・ビートパルプ(食物繊維)
- モンモリロナイト(放射性物質を吸着、体外排出を助ける)
- 難消化性デキストリン(食物繊維)
- スピルリナ(50種類以上の栄養素)
- 亜麻仁(αリノレン酸)
- オキアミ(DHA・EPA、アスタキサンチン)
- トマト(リコピン)
- ブルーベリー(アントシアニン、ビタミンE)
- クランベリー(キナ酸、アントシアニン)
- マルベリー(アントシアニン、ビタミンC)
- クエン酸(pH調整、抗酸化作用) など
プロバイオティクス(乳酸菌)
乳酸菌とは、発酵することで糖からより沢山の乳酸をつくり出す善玉菌の総称です。善玉菌とは摂取した犬(宿主)の健康維持に貢献する菌類と言います。
乳酸菌は善玉菌として働く代表的な菌類で、腸内環境の健康維持と、正常な便通や免疫力を維持する働きがあります。
乳酸菌は納豆やヨーグルト、キムチ、チーズなどの発酵食品に含まれていますが、犬がこれらの食材を食べる機会は多くないので、ドッグフードに乳酸菌が含まれることで毎日の食事から適量を摂取できます。
プレバイオティクス(オリゴ糖、イヌリンなど)
プレイバイオティクスは、善玉菌の餌となり、善玉菌の活動や成長を促進する難消化性成分の総称とされています。プレバイオティクスにはオリゴ糖(フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖、ラフィノースなど)やイヌリンなどが挙げられます。
プレバイオティクスは、1994年に行われた腸内細菌に関するワークショップで提唱された新しい言葉で、プロバイオティクスと同様、腸内環境を整える目的で使われますが、善玉菌自体であるか、善玉菌の働きや成長を助けるかという点で意味が異なります。
酵母エキス(ビール酵母など)
酵母エキスとは、発酵に利用される菌類の総称で、発酵食品やアルコール飲料の醸造に利用されています。
酵母には、必須アミノ酸や食物繊維、ビタミンやミネラルがバランスよく含まれています。
また、それだけでなく、酵母には疲労回復や胃腸の働きの改善、新陳代謝の活性化、免疫力や便秘の改善、過剰な糖質の分解をするなど様々な作用があります。
グルコサミン、コンドロイチン硫酸
グルコサミンやコンドロイチンは関節への配慮を目的に配合される成分です。
運動量が多く、関節疾患をかかえやすい犬は、高齢犬になるとさらに関節痛を患う割合が増えてきます。グルコサミンやコンドロイチンなど関節の軟骨を構成する成分を摂取することで、健康な関節の維持や関節痛の抑制などの効果が期待されています。
セルロース、ビートパルプ
セルロースとは、植物の細胞壁の主成分となっている不溶性食物繊維で、ドッグフードでは便通の促進や腸内環境の健康維持を目的に配合される機能性食材です。
セルロースと同様、ビートパルプも食物繊維源として配合されますが、ビートパルプは不溶性食物繊維と、腸内で善玉菌の餌となる水溶性食物繊維の両方をバランス良く含んでいます。
モンモリロナイト
モンモリロナイトとは鉱物の一種で、体内の放射性物質や毒素を吸着し、体外へ排出する働きがあります。
モンモリロナイトは鉱物の一種なので体内に入ると消化されず体内の消化器官を進みます。そして体内で陽イオンを交換することでモンモリロナイト自身が毒素を取り込み、最終的に一緒に体外へ排泄します。
NASAの宇宙飛行士も放射線対策で食べていたと言われるモンモリロナイトは、畜産飼料でもカビ毒吸着飼料にも用いられています。
難消化性デキストリン
難消化デキストリンとは、トウモロコシのでんぷんから作られる不溶性食物繊維の原材料で、整腸作用や食後の血糖値や中性脂肪の上昇を抑制する働きがあります。
難消化デキストリンは軟便や下痢の猫の便通を整える目的でキャットフードやサプリメントでもよく使用されています。長年の使用実績から副作用や危険性の心配はなく、トウモロコシのデンプンのみなのでグルテン(タンパク質)は含まれていません。アレルギーの心配もなく、安全性が高いと考えられている機能性原材料です。
スピルリナ
スピルリナは30億年以上前から地球上に存在する藻類で、スーパーフードとしても注目されています。50種類以上の栄養素を含んでいることからプライマリースーパーフード10に選出されています。
消化しやすくバランスの良いアミノ酸構成であることから植物性原料ですが、利用性の高いタンパク源として利用できます。
亜麻仁
亜麻仁はオメガ3脂肪酸(αリノレン酸)を多く含むスーパーシードで、古くから、食材や薬剤として利用されてきました。オメガ3脂肪酸は油脂に多く含まれることから、ドッグフードでは種子から抽出された亜麻仁油(フラックスシードオイル)がよく利用されます。
ドッグフードでもメジャーな原材料で様々な製品に配合されています。
オキアミ
オキアミは、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)や動物性タンパク質を多く含む海のスーパーフードで、エビに見た目がよく似た甲殻類のプランクトンです。
活性酸素の発生を抑えるアスタキサンチンや、身体の恒常性維持と肝臓機能を高めるタウリンなどが豊富に含まれています。
トマト
トマトは緑黄色野菜なので、プロビタミンAに変換して利用できるβカロテンが豊富です。
また、トマトに豊富に含まれる赤い色素成分であるリコピンには、強い抗酸化作用があり、活性酸素の発生や、細胞のダメージを抑える働きがあります。
リコピンは加熱しても損失しにくいので、ドッグフードなどの加熱加工が加わるドッグフードでも摂取することができます。
ベリー類
クランベリーやブルーベリー、マルベリー、カウベリーなどのベリー類には、天然色素成分アントシアニンや抗酸化作用のある水溶性ビタミンが豊富に含まれています。
アントシアニンはベリーの赤・青・紫の色素成分となるポリフェノールで、正常な視覚の維持や糖尿病のリスクを低下させる効果があります。
またビタミンCにはpH調整作用があり、尿pH値を酸性に傾ける作用があるので、ベリー類を配合しストルバイト尿路結石に配慮したドッグフード製品もあります。
クエン酸
クエン酸は柑橘系の果物に含まれる酸味成分で、強い酸性の性質をもっています。酸性に傾ける作用があることから、ドッグフードではpH調整や抗酸化作用を目的に配合されます。
安全性が高く、ニオイの軽減などの目的でも利用されています。
まとめ
今回はドッグフードに使用される機能性のある食材や成分について解説しました。それぞれの食材について気になったらぜひ紹介記事もチェックしてみてください。
主な原材料は以下からご覧頂けます。