ドッグフードの原材料:卵(鶏卵)
ドッグフードでは粉末状に乾燥させた業務用の乾燥全卵・乾燥卵黄、乾燥卵白などの加工品が使用されることが多いですが、ドッグフードの原材料としての卵の価格は高めなので、安いドッグフードよりプレミアムフードなどで配合されることが多い傾向があります。
また、卵は鶏卵以外にもウズラやアヒルの卵がありますが、鶏卵に比べると生産量は多くないので、ドッグフードで「卵」と表記されているものの多くはニワトリの卵です。
卵の栄養素
成分(分析値) | 全卵 | 卵黄 | 卵白 |
タンパク質 | 12.3g | 16.5g | 10.5g |
脂質 | 10.3g | 33.5g | 0g |
炭水化物 | 0.3g | 0.1g | 0.4g |
ビタミンD | 1.8μg | 5.9μg | - |
ビタミンB2 | 0.43mg | 0.52mg | 0.39mg |
ビオチン | 25μg | 65μg | 7.8μg |
セレン | 32μg | 56μg | 21μg |
カロリー(100g) | 151kcal | 387kcal | 47kcal |
卵は完全栄養食!良質なアミノ酸が豊富
卵は最強の完全栄養食品と言われるほど生物に必要な栄養素がたっぷり含まれています。さらに含まれている栄養のバランスも良いことが大きな魅力です。
卵には必須アミノ酸の種類と量のバランスがよく含まれていて良質なタンパク質を摂ることができます。必須アミノ酸の利用効率を数値にしたアミノ酸スコアでも、卵は最高値の100と最も高い評価です。
ちなみに鶏卵には赤い殻の卵と白い殻の卵がありますが、色による栄養素の違いはほとんどありません。
黄身は高脂質でビタミンやミネラルも豊富
黄身の部分はヒヨコになるために必要な栄養素が蓄えられているので、高栄養かつ高脂肪です。タンパク質も豊富ですが、非常に高脂肪で必須アミノ酸のリノール酸(オメガ6)も多く含まれています。他ビタミンやミネラルなど様々な栄養素が全体的に多く含まれています。
卵白は高タンパク低脂質でヘルシー
白身は高タンパクですが、黄身を保護するための部分なので、栄養価はそこまで高くはありません。脂質もほぼ含まれていないので、白身は卵の中でもヘルシーな部分となっています。含まれる栄養の種類も少なく、大部分を占めるのが水分とタンパク質なので、ドッグフードのタンパク源として栄養調整がしやすいメリットがあります。
卵は加熱してもほぼ栄養が壊れない
卵は加熱しても栄養の損失がほとんどありません。通常、食材に含まれる栄養素は加熱や保管する中でビタミンなどの壊れやすい栄養素がどんどん失われていきますが、卵は加熱されても栄養価がほぼ変わらないので、ドライタイプでもウェットタイプでも加熱が必要なドッグフードの製造において大きなメリットと言えます。
ドッグフードを手作り食やトッピングとして与える
少ない食材数で栄養を補える
卵自体を犬の手作り食やトッピング、おやつとして与えても問題ありません。卵は高栄養なので、少ない食材で犬に必要な栄養素を補える点は大きなメリットです。
また、卵の殻にはカルシウムが多く含まれているため、骨や筋力の維持を目的にあえて殻を与えている方もいます。ただ殻の表面にサルモネラ菌が付着している可能性があるので、殻はオーブンなどでしっかり焼いて口の中を怪我しないよう砕いて与えれば問題ありません。
卵を与える時の注意点
卵をそのまま与える時は十分加熱してから与えるようにしましょう。
生の卵白には「アビジン」というビオチンの吸収を妨げる成分が含まれるため、加熱することでアビジンを壊すことが大切です。またどの食材にも言えることですが、人間用と同じように調味料などで味付けをしないこと、そして与え過ぎには注意しましょう。高栄養で脂質が豊富なので、量が多いと肥満の原因になります。卵1個全てを与えるとほとんどの犬が与え過ぎになるので、ひとかけら~1/3くらいで調整していくといいかと思います。
卵アレルギーの可能性
鶏肉と交差反応がある
卵はアレルギー反応が出る可能性のある食べ物ですが、人ほどアレルゲンになるリスクは高くありません。ただ鶏卵と鶏肉は交差反応を示すため、すでに愛犬に鶏肉アレルギーがあると分かっている場合には卵が入ったドッグフードも避けた方がいいでしょう。
歴史も非常に古く、農業や家畜産業が始まる以前の狩猟時代から数千年以上に渡って食べられてきました。現在も世界で年間80,089千トン以上の卵が生産され、私たちの生活には欠かせない食材となっています。
犬やドッグフードにおける卵はどういった食材なのか解説したいと思います。