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ドッグフードの原材料:アセロラ(acerola)
アセロラとは、キントラノオ科ヒイラギトラノオ属の果実です。鮮やかな赤色で、見た目はさくらんぼに似ています。
アセロラは犬が食べても大丈夫な食材です。
アセロラは犬の健康に良い効果をもたらす栄養が含まれています。アセロラの与え方、アセロラの加工品は食べても大丈夫なのか、注意点などもご紹介します。
アセロラの栄養素
アセロラには酸味種と甘味種の2種類があります。
- 酸味種:酸っぱさが強く、甘みが少ないため、加工品に利用される
- 甘味種:甘みが強く、酸っぱさが少ないため、生食用に利用される
下表は、アセロラ100gに含まれる栄養素です。
酸味種 | 甘味種 | ||
---|---|---|---|
エネルギー | 36 | 36 | kcal |
水分 | 89.9 | 89.9 | g |
β-カロテン | 370 | 370 | μg |
ビタミンC | 1700 | 800 | mg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
β-カロテン
アセロラに含まれるβ-カロテンは、果物の中でトップクラスの量です。β-カロテンは犬の体内で必要な量だけビタミンAに変換されます。犬の皮脂の産生を調整する働きにより、フケの発生や脂漏症の改善に効果があります。
豊富なポリフェノール
アセロラにはアントシアニンやケルセチンといったポリフェノールが豊富に含まれています。強い抗酸化作用を持ち、老化や病気の予防、美肌や美白効果、アンチエイジング効果、視力の健康維持などさまざまな働きがあります。とくにケルセチンは炎症を抑制する働きを持つため、犬の関節炎に効果があります。
ビタミンCの栄養効果について
下表は、アセロラと他のフルーツのビタミンCの含有量です。
アセロラ(酸味種) | アセロラ(甘味種) | レモン | オレンジ |
---|---|---|---|
1700 | 800 | 100 | 60 |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
アセロラの特徴といえば、「ビタミンCの王様」とよばれるほどビタミンCが豊富に含まれています。なんと、あらゆる食品の中で一番の含有量です。同じアセロラでも、酸味種と甘味種でビタミンCの含有量が2倍ほどの差があります。なんと、ビタミンCが豊富といわれるレモンと比べてみても、酸味種は約17倍、甘味種は約8倍の量になります。
強い抗酸化作用を持つ
ビタミンCは強い抗酸化作用を持ちます。長時間のお留守番、散歩のしすぎ・しなさすぎ、ご飯が美味しくない、飼い主さんとのコミュニケーション不足などによりストレスや疲れが溜まることで、日々の生活で活性酵素はどうしても生まれてしまいます。
ビタミンCの抗酸化作用によって活性酵素を除去することで、細胞の老化をゆるやかにしたり、細胞が修復されやくすなります。そのほかコラーゲンの生成をサポートしたり、皮膚や血管の健康維持をしたり、さまざまな働きを持つため、犬の健康に欠かせません。
鉄分の吸収を促進する
ビタミンCは鉄分の吸収を促進する働きを持ちます。そのため、鉄分を多く含むレバーやカツオ、小松菜などと一緒に食べることで効率よく栄養素を吸収することができます。
犬も人間と同じように貧血になりますが、初期症状があらわれないことが多く、検査して初めて分かったというケースも少なくありません。貧血ぎみの犬には普段の食事の中に取り入れてみましょう。
年齢、犬種による与えていいビタミンCの量は?
年齢や犬種によって、1日に必要なビタミンCの量が変わります。
- 小型犬:500mg
- 中型犬:1,500mg
- 大型犬:3,000mg
犬は体内でビタミンCを生成できる動物なので、健康な成犬であれば食べ物からビタミンCをわざわざ摂取する必要はありません。しかし日ごろ長時間の散歩をしている犬や、ドッグランで走り回ったりボール遊びが好きな犬の場合は、上記よりも多くのビタミンCが必要となるでしょう。
また、子犬期や妊娠・授乳期はビタミンCの必要量が増加するため、食べ物から摂ることが大切といわれています。内臓機能が低下しているシニア犬は、十分なビタミンCを生成することができない場合があります。そのため少量のアセロラの摂取は健康維持に効果的といえます。
アセロラ1粒は5gなので、1粒でビタミンCは85mg含まれています。犬に与えるときは、1日の総適正カロリーの10%が目安となります。ビタミンCの吸収率が高まる食後に与えましょう。
アセロラはどこに売ってるの?
日頃からアセロラやアセロラジュースを飲んでいる方や、あまり食べたことがないという方まで、アセロラは身近な食材か否かが大きく分かれる果物ですよね。
アセロラは犬に与えることで得られるメリットが多く、デメリットはほとんどありません。デメリットを挙げるのであれば、スーパーなどであまり売られていないということでしょうか。アセロラジュースやアセロラゼリーは加工品であり、「アセロラ自体を食べたことがある」という方は少ないでしょう。
実はアセロラは収穫してから痛むまでの経過がとても早いといわれています。生産地は沖縄県や鹿児島県などの暖かい地域ですが、生産地以外ではなかなか出回りません。スーパーなどで手に入れるのが難しい果物なので、買うのであればネット通販を利用しましょう。
アセロラの与え方と注意点
種を取り除き、小さくカットする
アセロラを犬に与えるときは種を取り除きましょう。アセロラは小さい粒ですが、犬にとっては喉を詰まらせたり傷つけてしまう大きさとなります。噛まずに飲み込んでしまうこともあるので、小さくカットして与えましょう。
ネット通販では、手に入れやすいのが冷凍のアセロラです。解凍したものを小さくカットしてドッグフードにトッピングしたり、おやつとして与えてください。
またアセロラは甘味種であっても、他の果物と比べて酸っぱさが強い果物です。栄養価が高いからといって何粒も与えるのはおすすめできません。
アセロラジュースやアセロラゼリーはNG!
人間用のアセロラジュースやアセロラゼリーなどの加工品は糖分や甘味料、保存料などが含まれています。これらの添加物は犬の健康には悪影響となるので、絶対に与えないようにしてください。前述したように、アセロラはなかなか手に入れることができない果物ですが、だからといってアセロラジュースやアセロラゼリーを水分補給やおやつとして代用するのはやめましょう。
まとめ
- β-カロテン、ビタミンCはトップクラスの含有量
- ビタミンCは抗酸化作用や鉄分の吸収を促進する
- 犬に与えるときはアセロラの種を取り除き、小さくカットする