ドッグフードの原材料:セルロース(cellulose)
地球上に最も多く存在する炭水化物
セルロース(Cellulose)は、野菜や果物、豆類、穀類など様々な植物の細胞壁を構成する物質で、地球上で最も多く存在する炭水化物です。1838年にフランスの生化学者アイセルム・ペイアンによって発見され、紙・パルプ・衣料用繊維など様々な形で工業製品に利用されてきました。
セルロースは消化できない
ドッグフードでは不溶性食物繊維源として利用されています。セルロースは炭水化物ですが非常に安定した分子で構成されているため、セルロースを利用できるのは、牛などの反芻動物とシロアリくらいで、人や犬は胃腸で消化できません。
栄養源として利用できないなら食べても意味がないようにも思えますが、エネルギーとして利用できないからこそのメリットもあります。
セルロースの働きと犬に与えるメリット
低カロリーでヘルシーなのに長時間の満腹感が得られる
セルロースは体重管理や肥満対策のドッグフードによく使用されます。
ほとんどが炭水化物で構成されていますが、セルロースは胃や小腸で分解吸収されることがないので、低カロリーで太りにくいです。
また消化のいいものはすぐに分解されて栄養素として利用されるので、すぐにお腹が空いてしまいますが、セルロースのようにほとんど利用されずにそのままの形を保っているセルロースは、消化器官をゆっくりと運ばれるため、満腹感が長時間持続します。
腸内を掃除しながら便通を促す
また、セルロースはゆっくりと消化器官を進んだ後、大腸で不要物や老廃物を巻きこんで腸壁を掃除しながら便量を増やし、腸を刺激して便通を促進する働きがあります。
不溶性食物繊維には水分を吸収しうんちを固める作用があるので、うんちがゆるく軟便をしやすい犬や下痢気味の犬におすすめの食材です。
セルロースは消化できない?危険性はない
消化性が悪いので胃腸に負担がかかる
セルロースは消化できないのでゆっくりと消化器官を通過しますが、時間がかかる分、胃や小腸は消化しようと長時間働き続けることになるので、消化器官に負担になる場合があります。
体が弱っている時や、効率良く栄養を補給しなければいけない時は、消化のいいものを与える必要があるので、犬の体調や状態に合わせて調整しなければなりません。
便秘を悪化させてしまう場合がある
また、すでに便秘気味の猫にセルロースを与えると、よりウンチが固くなって便が排泄されにくくなったり、腸が詰まってしまう場合があります。
うんちが普段からコロコロ固くて便秘になっている猫には、不溶性食物繊維ではなく水溶性食物繊維が豊富な食べ物を与えるのがおすすめです。
まとめ
- 消化性が悪くエネルギーとして利用されない炭水化物
- 満腹感が持続するので体重管理や肥満対策フードで広く利用される
- 便を固めて便量を増やす