目次
ドッグフードのパッケージには、「グレインフリー」「療法食」「オーガニック」「○○ミール」など、専門的な用語がずらりと並んでいます。一見すると健康そうに見える表記でも、正しい意味を知らなければ愛犬に合わないドッグフードを選んでしまうことも。
大切なのは、パッケージの言葉に惑わされず、それぞれの用語がどんな意味を持ち、どんな犬に向いているのかをきちんと理解することです。
この記事では、飼い主として知っておきたいドッグフードの専門用語について解説します。
専門用語一覧|ドッグフードの種類
ドッグフードには総合栄養食や一般食、療法食といった目的別の種類があり、それぞれ与える理由や役割が異なります。また、主原料の内容やたんぱく質・脂質の割合、栄養のバランス、添加物の有無などによって、ドッグフードの質や犬との相性にも大きな差が生まれます。
専門用語 | 意味・解説 |
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総合栄養食 | 水と一緒に与えるだけで犬の健康を維持できる、栄養バランスの整った主食用フード。 |
一般食 | 栄養基準を満たさない補助的なフード。主食としては不適で、トッピングやおかずに用いる。 |
間食 | おやつやご褒美として与える嗜好性の高いフード。栄養バランスは考慮されていない。 |
療法食 | 特定の病気や体調管理のために獣医師の指導で与える目的別のフード。自己判断は禁物。 |
オールステージ(全年齢)対応フード | 子犬から高齢犬まで、あらゆるライフステージで与えられる栄養基準を満たしたフード。 |
グレインフリー | 穀物を使用せず、アレルギー対策や消化に配慮したフード。穀物不使用でも栄養調整は必要。 |
グルテンフリー | 小麦などのグルテンを含む原料を除いたフード。特定のアレルギーや消化トラブルに配慮。 |
専門用語一覧|ドッグフードの形状・水分に関する用語
ドッグフードには「ドライ」「ウェット」などの種類だけでなく、その製法や水分量によって多様な形状があります。パッケージに記載された「フリーズドライ」や「エクストルード製法」などの用語は、風味や栄養の保持性、保存性、嗜好性に深く関わっています。
専門用語 | 意味・解説 |
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ドライフード | 水分含有量が10%以下で保存性が高く、コストや扱いやすさに優れたカリカリタイプ。 |
ウェットフード | 水分量が70%前後あり、嗜好性が高い。水分補給や食欲不振時のサポートに適している。 |
セミモイストフード | 水分含有量が25~35%程度の中間タイプ。柔らかく食べやすいが保存性にやや劣る。 |
プレミアムフード | 原材料や製造工程にこだわった高品質なフード。健康維持や長期的な栄養管理に適する。 |
ナチュラルフード | 合成保存料・着色料などを極力使わず、自然由来の原料を使用したフード。明確な基準はない。 |
オーガニックフード | 有機農法で育てた原料を一定割合以上使用し、第三者認証を受けた環境配慮型フード。 |
エクストルーダー製法 | ドライフードの多くに使われる製法。加熱圧力で成形し、消化性や嗜好性を高める。 |
ベイクド製法 | 焼き上げ製法。高温高圧をかけず、素材の風味や栄養を比較的残しやすい。 |
フリーズドライ製法 | 凍結乾燥させた加工方法で、栄養や香りを保持。トッピングやおやつに多い。 |
専門用語一覧|栄養機能成分
犬の健康と生命活動を支えるために必要なタンパク質や脂質、食物繊維、ミネラル、ビタミンといった栄養成分とは異なり、栄養機能成分は特定の体の働きを助けたり、健康維持を目的に補助的に配合される成分です。
栄養成分はドッグフードのパッケージに表示が義務づけられていることが多い一方で、栄養機能成分はメーカーの任意で記載されることが一般的です。
専門用語 | 意味・解説 |
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成分保証分析値 | ペットフードに含まれるタンパク質・脂質・粗繊維・灰分・水分などの最低・最高含有量を示した数値で、栄養バランスの目安になる。 |
プロバイオティクス | 腸内環境を整えるために有用な生きた善玉菌のこと。乳酸菌やビフィズス菌などが含まれ、整腸作用や免疫サポートに役立つ。 |
プレバイオティクス | 善玉菌のエサとなる成分で、腸内で有用菌を増やす。オリゴ糖や食物繊維などが含まれ、腸内フローラの改善に貢献する。 |
オメガ3脂肪酸 | EPAやDHAなどに代表される不飽和脂肪酸で、抗炎症作用や皮膚・被毛の健康、認知機能の維持に効果があるとされる。 |
オメガ6脂肪酸 | リノール酸などの必須脂肪酸で、皮膚や被毛の健康維持に関与しますが、過剰摂取は炎症を招くことがあるためバランスが重要。 |
グルコサミン | 関節の軟骨成分の材料となる成分で、高齢期や関節の健康が気になる犬用のドッグフードによく配合される。可動性の維持に寄与。 |
L-カルニチン | 脂肪をエネルギーに変える代謝を助ける成分で、肥満対策や筋肉維持をサポート。とくに減量用や高齢犬向けフードに多く含まれる。 |
抗酸化成分 | 活性酸素の働きを抑え、細胞の老化や炎症を防ぐ成分。ビタミンEやC、セレン、ポリフェノールなどがあり、免疫維持にも貢献する。 |
専門用語一覧|添加物・補助素材
ドッグフードに使われる添加物は、栄養成分そのものではありませんが、保存期間を延ばしたり、食感や香りをよくしたり、見た目を整えるといった目的で加えられることがあります。
ただし、必要以上に使われていたり、目的がはっきりしない添加物には注意が必要です。とくに合成由来の添加物に対して不安を抱く飼い主も多く、最近では「無添加」や「天然成分使用」といった表示を基準にドッグフードを選ぶ傾向が強まっています。
専門用語 | 意味・解説 |
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無添加 | 合成保存料・着色料・香料などの人工添加物を使用していないことを示す表示。自然志向の飼い主から支持されますが、基準の曖昧さには注意が必要。 |
合成着色料 | 人工的に作られた着色成分で、見た目を良くするために使用される。犬の食欲には影響しないため必要性は低く、無添加を好む飼い主も多い。 |
保存料 | 食品の腐敗や雑菌の繁殖を防ぐために使われる成分で、長期保存を可能にする。過剰使用や合成タイプには安全性への懸念がある場合もある。 |
酸化防止剤 | 油脂や栄養成分の酸化による劣化を防ぐ添加物。ビタミンEなどの天然型と、BHAやBHTなどの合成型があり、フードの鮮度維持に重要となり。 |
副産物 | 内臓や骨など、食肉加工で出る部位。栄養価は高いが品質にバラつきがあるため評価が分かれる。 |
〇〇ミール | チキンミールやフィッシュミールなど、原料を加熱・乾燥させて粉末状にしたもの。タンパク質含有量は高い一方、品質は商品により大きく異なる。 |
レンダリング | 動物原料を加熱処理して脂肪やタンパク源を抽出する工程。〇〇ミールの背景にある技術。 |
増粘多糖類 | とろみや粘りを出すために使われる食品添加物で、安定した形状を保つ目的でウェットフードに利用される。過剰摂取には注意が必要。 |
専門用語一覧|アレルギー対策のフード
愛犬がかゆがったり、皮膚に赤みが出たり、便が安定しないといった症状は、ドッグフードに含まれる特定の原材料が原因のアレルギーかもしれません。そんなときに役立つのが、アレルギー対策に配慮したドッグフードです。
主にアレルゲンとなりにくい原材料を使用し、余計な添加物を避けて設計されたドッグフードは、敏感な犬の体への負担を減らす助けになります。
用語 | 意味・解説 |
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アレルゲン除去食 | アレルギーの原因となる特定の食材(アレルゲン)を完全に除去したフード。除去試験や診断時に用いられることが多い。 |
低アレルゲン設計 | アレルギーを起こしにくいとされる原材料を選び、加工工程や原料管理にも配慮した設計のフード。予防目的にも使われる。 |
食物アレルギー対応 | すでにアレルギー症状がある犬に配慮し、原因となりやすい食材を避けて作られたフード。獣医師の指導で選ぶのが基本。 |
加水分解タンパク | タンパク質を酵素で細かく分解し、アレルゲンとして認識されにくくした成分。食物アレルギー用フードによく使用される。 |
シングルプロテイン | 使用する動物性タンパク源を1種類に限定したフード。アレルゲンの特定やアレルギー予防、消化器ケアにも適している。 |
専門用語一覧|尿路・毛玉ケアなど機能性フード
愛犬の年齢や体質、生活習慣に応じて選びたいのが、特定の健康維持をサポートする機能性ドッグフードです。これらのドッグフードは、日々の食事を通じて体の調子を整えることを目的としており、症状が出る前の予防にもつながります。
用語 | 意味・解説 |
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尿路ケア(pHコントロール) | 尿のpH値を適正に保ち、ストルバイトやシュウ酸カルシウム結晶の形成を抑える設計。下部尿路の健康維持に役立つフード。 |
関節サポート | グルコサミンやコンドロイチンなどを配合し、関節や軟骨の健康維持をサポートするフード。高齢犬や大型犬に適している。 |
体重管理 | カロリーや脂肪を控えつつ、満足感を得られるように設計されたフード。肥満傾向の犬や去勢後の体重増加に対応。 |
皮膚・被毛ケア | オメガ脂肪酸やビタミン類を強化し、皮膚のバリア機能や艶やかな被毛の維持を目的とした、栄養バランスに優れたフード。 |
ダイエットフード | 肥満改善や予防を目的に、カロリー・脂肪を抑えて栄養バランスを保った設計。無理なく減量を促すための工夫がなされている。 |
専門用語一覧|安全性・製造背景に関する用語
ドッグフードの品質や安全性は、原材料だけでなく製造工程や管理体制にも大きく左右されます。パッケージに記載された「GMOフリー」「HACCP」「トレーサビリティ」などの用語は、ドッグフードの安全性や信頼性を裏付ける重要な情報です。
専門用語 | 意味・解説 |
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トレーサビリティ | 原材料の産地や履歴を追跡できる仕組み。安全性の裏付けとしてアピールされる。 |
GMOフリー | 遺伝子組み換え作物を使用していないことを示す。 |
HACCP / ISO / GMP認証 | 食品安全や衛生基準の国際認証。製造工場の信頼性を示すマークとして表示される。 |
ヒューマングレード | 人間が食べられる基準を満たした原材料を使用していることを示す表現。明確な法的定義は国によって異なる点に注意が必要。 |
専門用語一覧|認証・基準に関する用語
ドッグフードの「AAFCO」や「FEDIAF」、「ヒューマングレード」などの表示には、栄養基準や品質、安全性に関する重要な意味があります。これらはドッグフードの信頼性を裏付ける指標であり、基準を満たしているかどうかは、愛犬に安心して与えられるかの判断材料となります。
用語 | 意味・解説 |
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AAFCO | 米国飼料検査官協会の略称で、ペットフードの栄養基準やラベル表示のガイドラインを定める団体。多くのフードがこの機銃を参考に設計。 |
FEDIAF | 欧州ペットフード工業会連合の略称で、ヨーロッパにおけるペットフードの栄養基準や衛生管理の指針を策定する業界団体。 |
オーガニック認証 | 有機農法で育てた原材料を一定割合以上使用し、農薬や化学肥料を使わずに製造されたことを第三者機関が保証する制度。 |
キャットフードの専門用語を知る4つのメリット
1. 愛犬に合ったドッグフードを選べる
「グレインフリー」「低アレルゲン」「関節サポート」などの表示が何を意味するかを理解していれば、犬の年齢、体質、疾患、生活スタイルに合った最適なドッグフードを選ぶことができます。
例えば、関節に不安がある高齢犬には「グルコサミン配合」や「関節サポート」といった表記があるドッグフードを選ぶことで、日常からケアに役立てられます。
2. 不要な添加物やリスクのある原材料を避けやすくなる
「合成保存料」や「〇〇ミール」など品質や安全性に不安が残る表記がある場合、それに気づいて選択を避ける判断が可能になります。また、「無添加」や「ヒューマングレード」といった表示の正しい意味を知っていれば、過信しすぎず、裏面の原材料表示も含めた総合的な判断ができます。
3. フードの比較・見直しがしやすくなる
複数のドッグフードを比較する際、表示されている専門用語の意味を理解していれば、単なる価格や知名度だけでなく、栄養価や目的の違いに基づいた合理的な比較が可能になります。とくに「総合栄養食」と「一般食」の違いを知らないと、主食として不適なドッグフードを毎日与えてしまうリスクもあります。
4. 獣医師との相談や指導をより深く理解できる
獣医師から療法食や食事療法を提案された際、パッケージに書かれた用語の意味を知っていれば、処方の意図や必要性を正しく理解できます。例えば「加水分解タンパク」や「pHコントロール」といった用語の意味を把握していれば、治療と食事のつながりに納得しやすくなります。
5. 愛犬の健康管理の精度が上がる
専門用語の理解を通じて、日々のドッグフード選びが単なる「好み」や「値段」ではなく、栄養学や健康科学に基づいたものになります。その結果、肥満予防、皮膚トラブルの改善、アレルギーの早期発見など、飼い主自身が主体的に健康を守る意識を持てるようになります。
まとめ
専門用語を知ることは、愛犬の健康寿命を延ばすための「情報リテラシー」です。 ドッグフード選びは「何を与えるか」という行為でありながら、「どれだけ犬のことを理解しているか」という飼い主の姿勢の表れでもあります。
知識があれば、選択肢はより広がり、愛犬との生活がより安心で充実したものになります。