尿路ケアドッグフードの特徴
健康維持・予防を目的とした総合栄養食
市販の尿路ケアドッグフードは、病気治療を目的とした「療法食」とは異なり、日常的に与えられる総合栄養食として設計されています。主な目的は以下の3点です。
- 尿pHを適切に保ち、結石ができにくい環境を維持すること
- 水分摂取量を増やして尿量を確保すること
- ミネラルバランスを調整して尿路への負担を軽減すること
これらにより、膀胱や尿道の健康を日常的にサポートします。
よく見られる表記例
ドッグフードのパッケージや公式サイトでは、同じ「尿路ケア」目的でもメーカーごとに表現が異なります。よく見られる表記には次のようなものがあります。
・尿路の健康維持に配慮
・尿石の形成に配慮
・尿pHバランスをサポート
・ストルバイト結石ケア
・ミネラルバランスを調整
尿路ケアが必要な犬とは?
犬にも見られる下部尿路トラブル
犬は猫ほどではありませんが、体質や生活環境によって尿路トラブルを起こすことがあります。とくに飲水量が少なかったり、排尿回数が少ない犬では尿が濃縮されやすく、結石や炎症の原因となることがあります。また、肥満や運動不足、加齢なども尿路トラブルの要因となります。
代表的な疾患には以下のようなものがあります。
・尿路結石症(ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石など)
・細菌性膀胱炎や突発性膀胱炎
これらは一度発症すると再発しやすく、長期的なケアが欠かせません。
オス犬はとくに注意が必要
オス犬の尿道はメスよりも細く長いため、結石が詰まりやすい構造をしています。尿が出にくくなる「尿閉」状態に陥ると、膀胱の圧が上がり、腎臓の機能にも影響を及ぼす危険があります。
放置すれば急性腎不全や尿毒症につながることもあるため、オス犬の飼い主は早期の異常発見と予防的ケアを意識することが大切です。
尿路ケアドッグフードに配合される主な成分
マグネシウム・カルシウム・リンのバランス調整
犬の尿路結石症は、これらのミネラルの摂取バランスと深く関わっています。とくにストルバイト結石はマグネシウム、シュウ酸カルシウム結石はカルシウムとリンの過剰摂取が関与するため、尿路ケアドッグフードではそれぞれの含有量を厳密に管理し、結石が形成されにくい状態を維持します。
尿pHを弱酸性に整える成分
ストルバイト結石はアルカリ性の尿で形成されやすいため、尿を弱酸性に保つことが重要となります。このpHバランスを整えるために、以下のような成分が配合されることがあります。
・DL-メチオニン
 …尿を酸性に保ちやすくするアミノ酸。結石形成を防止する役割
・クランベリーエキス
 …膀胱粘膜への細菌付着を防ぎ、尿のpHをわずかに酸性へ導く
・ビタミンC(アスコルビン酸)
 …抗酸化作用とともに、尿を酸性に傾ける作用を持つ
・リン酸ナトリウム
 …尿pHの調整に用いられ、適度な酸性環境を維持
膀胱・尿道の健康維持を助ける成分
クランベリーエキスは膀胱粘膜に細菌が付着するのを防ぐ働きがあり、細菌性膀胱炎の予防に役立ちます。また、ビタミンCやEなどの抗酸化成分が炎症の悪化を抑えます。さらに、サーモンや魚油に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は慢性的な炎症を鎮めるサポートをします。
ナトリウム量の調整
ナトリウムを適度に高める設計により自然に飲水量を増やし、尿量を確保する工夫がなされています。尿量が増えることで結石形成物質が薄まり、体外へ排出されやすくなります。
ただし、心疾患や高血圧などの持病がある場合は、獣医師と相談してから選びましょう。
「pHコントロール」との違い
「尿路ケア」とよく混同されるのが「pHコントロール」や「ストルバイト対応」といった療法食です。これらはすでに尿石症などを発症した犬の治療や再発防止を目的としており、獣医師の指導下で使用する必要があります。
一方で、「尿路ケア」と表記されたドッグフードは健康な犬にも日常的に与えられる総合栄養食で、予防や維持を目的としています。
購入時はパッケージに「療法食」または「総合栄養食」と明記されているかを必ず確認し、目的に合った製品を選ぶことが大切です。
まとめ
- 尿路ケアのドッグフードは尿pHやミネラルを調整して結石を予防
- オス犬は尿道が細く詰まりやすいため、早期ケアと定期チェックが重要
- クランベリーやDL-メチオニンなど尿を弱酸性に保つ成分が配合
- ナトリウム量を調整し、自然に水を飲ませて尿量を増やす工夫も
- 「尿路ケア」は健康維持用、「pHコントロール」は治療用と目的が異なる






 
	        	        		 
	        	        		 
	        	        		 
	        	        		 
	        	        		 
	        	        		 
	        	        		 
	        	        		












































































































