愛犬の健康を守るために、日々の食事は非常に重要です。近年では「ナチュラルフード」と呼ばれるドッグフードが注目され、飼い主の間でも人気が高まっています。しかし「ナチュラル」という言葉はイメージが先行しやすく、正しい意味を理解していないケースも少なくありません。
この記事では、ドッグフードにおけるナチュラルフードの定義や特徴、選び方のポイントや注意点、さらにオーガニックフードとの違いについて解説します。
ドッグフードのナチュラルフードとは?
厳密な定義は存在しない
ナチュラルフードとは、人工的な化学合成物を可能な限り使用せず、自然由来の原材料を中心に作られたドッグフードを指します。保存料や着色料など合成添加物の使用を抑え、自然に近い食材本来の栄養や風味を活かすことを目的としています。
ただし、「ナチュラル」という言葉自体には国際的な厳密な定義が存在せず、国やメーカーごとに基準が異なる点には注意が必要です。
アメリカのAAFCO(米国飼料検査官協会)では、「ナチュラル」とは化学的に大きく変化を受けていない原材料を用いたフードとされています。日本でもこの基準を参考にしているケースが多いため、飼い主はドッグフードのパッケージ表示を確認することが重要となります。
世界で初めてのナチュラルフードは?
世界で一番最初にナチュラルフードを製造販売した会社は、アルモネイチャーです。イタリアに本社があり、世界30か国で販売されています。
ナチュラルフードの特徴
ナチュラルフードには、一般的なドッグフードと比べていくつかの特徴があります。
化学合成添加物を極力排除
保存料、人工着色料、人工香料などを避け、自然由来の成分を活かして作られています。例えば、保存にはビタミンE(ミックストコフェロール)やローズマリー抽出物など天然の抗酸化物質が使われることがあります。
原材料の透明性が高い
原材料に「チキンミール」など曖昧な表記ではなく、「鶏肉」「玄米」「サーモン」といった具体的な素材名が記載されるケースが多いです。これにより、飼い主が愛犬に与える食材を把握しやすくなります。
食材本来の栄養を重視
自然由来の食材を加工しすぎずに使用するため、食材に含まれるビタミンやミネラルを活かしやすいのが特徴です。
アレルギーに配慮した商品も多い
特定のたんぱく質を避けたり、グルテンフリーやグレインフリーに対応しているドッグフードも多く、食物アレルギーを持つ犬に選ばれやすい傾向があります。
ナチュラルフードの注意点
ナチュラルフードにはメリットが多い一方で、注意しておくべき点も存在します。
価格が高め
人工的な添加物を使わず良質な原材料を選んでいるため、一般的なフードより価格が高くなる傾向があります。
保存性が低い場合がある
化学合成保存料を使わないため、賞味期限が短めで開封後は早めに食べきる必要があります。
「ナチュラル」の定義が曖昧
メーカーによって基準が異なり、「ナチュラル」と記載されていても必ずしも完全無添加とは限りません。
ナチュラルフードを選ぶ際のポイント

ナチュラルフードを選ぶ際には、以下の点を確認すると安心です。
- 具体的な原材料名が記載されているか
- 総合栄養食の基準を満たしているか
- タンパク質・ビタミン・ミネラルなどバランスが整っているか
- 自然由来の酸化防止対策が施されているか
ナチュラルドッグフードは飼い主にとっても猫にとっても安心・信頼のできる選択肢の一つですが、栄養設計が不十分では意味がありません。「ナチュラル」という表記だけで判断せず、パッケージの表示をきちんと確認しましょう。
ナチュラルフードとオーガニックフードの違い
ナチュラルフードと混同されやすいのが「オーガニックフード」です。両者は似ているようで明確な違いがあります。
・ナチュラルフード
人工的な合成添加物を使わず、自然由来の原材料を重視して作られたフード。
・オーガニックフード
農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術を使用せずに栽培された農産物や飼育管理された畜産物を用いたフード。国際的な認証機関の基準を満たす必要がある。
つまり、ナチュラルフードは「自然由来」を大切にしているのに対し、オーガニックフードは「生産過程の厳格な基準」が伴う点で異なります。すべてのオーガニックフードはナチュラルフードに含まれますが、すべてのナチュラルフードがオーガニックというわけではありません。
まとめ
- ナチュラルフードは自然由来の原料を重視し、添加物を極力排除したドッグフード
- 原材料の透明性が高く、栄養バランスや保存料の種類も確認が必要
- デメリットは、保存性が低く価格が高めな点
- オーガニックフードは栽培・飼育過程に厳しい基準があり、認証が必要