フリーズドライドッグフードとは
フリーズドライ製法とは、水分を含んだ食べ物を凍結し真空状態で水分を乾燥させる真空凍結乾燥技術で、味噌汁やスープなどをキューブ状に固めた商品、宇宙食や保存食(携帯食)などによく利用されています。
常温で長期的な保存が可能なため、ドッグフードの製造方法として採用している企業もいくつかありますが、通常のドライフードに比べると多くありません。
フリーズドライは通常のドライフードよりもさらに水分量が少ないので、水やぬるま湯を加えて与えます。
フリーズドライ製法の仕組み
凍結後、真空状態で熱を加えて一気に気化させる
フリーズドライは昇華の現象を利用しています。
通常、凍らせたものから水分を除去するには、一度溶かして液体に戻してから乾燥させます。ところが凍結された物体を真空状態にすると凍った状態から一気に気化させることができます。この液体の状態を通らずに固体から気体に変化する現象を「昇華」といいます。
フリーズドライ製品を作る時は、まず食品や食材を急速に凍結(-30度)し、減圧して真空状態にします。ここに最低限の熱を加えることで氷が気化します。氷があった部分は空洞となり、その後密閉されます。
フリーズドライ製法のドッグフード
- K9ナチュラル
- woof(ワフ)
- フィッシュ4ドッグ
- ローロードッグフード
- ドットわん
- オリジントリーツ
フリーズドライドッグフードのメリット
保存性に優れている
フリーズドライ製法のドッグフードは保存性に優れています。菌の繁殖や酵素による品質低下の原因となる水分が昇華によってなくなるため、常温で長期的な保存が可能です。
また、水やぬるま湯で戻した際にも見た目や風味を損なわずに戻せる復元性の高さも魅力です。損なわれる風味や味も少ないとドッグフードへの食いつきが持続しやすく嗜好性を保てるメリットがあります。
栄養素の損失が少なく消化性が高い
フリーズドライのドッグフードは栄養素の損失が少なく、原材料に含まれる栄養素を効率良く摂取できます。特にフリーズドライは高温加熱が必要ないため、熱に弱いビタミンなどの成分の損失を最小限にすることが可能です。
また、フリーズドライ製法でつくられたドッグフードは、タンパク質の消化率についても非常に優れていることが報告されています。
画像引用元:フリーズドライ製法ドッグフードのタンパク質消化率の検討|ペット栄養学会誌
ドライタイプの総合栄養食ドッグフードのタンパク質消化率について、飼料評価に用いられるペプシン消化率を用いて各製法による比較を行ったところ、フリーズドライ製法
が最も消化率が高かった。さらにイヌ消化性試験においても、フリーズドライ製法は、エクストルーダーによるHTST加工のフードと比較し、粗タンパク質における消化率が有意に高かった。また、フリーズドライ製法のフードでは、糞便中のアンモニアが有意に低減した。以上のことから、フリーズドライ製法の総合栄養食ドッグフードは、タンパク質の消化率が高く、大腸において未消化のタンパク質がウェルシュ菌などいわゆる悪玉菌により分解されて産生される、有害な物質の発生が抑えられることが示唆された。
タンパク質は過度な熱を加えると分子構造が変化し消化率を低下させてしまいます。一般的なドライフードは120~140度の高温で加熱が行われますが、フリーズドライ製法は100度以下の低温で加工されることから、ドライフードに比べて消化率が高かったと考えられます。
また、未消化タンパク質によって発生するアンモニアなどの有害物質も有意に減少したことが報告されています。
添加物や添加物を最小限に抑えられる
フリーズドライは上記のように、保存性が高く栄養の損失も少ないため、酸化防止剤や保存料、栄養添加物などの使用料を最小限に抑えることができます。
フリーズドライドッグフードのデメリット
商品の選択肢が狭まる
フリーズドライを条件に商品を選ぼうとすると、選択肢が狭くなります。
フリーズドライドッグフードを製造するメーカーは少なく、フリーズドライに必要な機器を装備している工場も少ないため、味や種類、価格帯も限られ、フード選びに苦労するかもしれません。
コストがかかるため割高
フリーズドライドッグフードは全体的に高価格帯のものが多いので、低~中価格帯のドッグフードを求めている方には高いと感じるかもしれません。
開封後は酸化しやすい
フリーズドライは開封前なら保存性が高く賞味期限も長いですが、一度開封して空気に触れてしまうと酸化しやすく、劣化が早くなるデメリットがあります。フリーズドライは昇華によって水分が抜けた部分が空洞になるため、酸素に触れる表面積が大きくなるからです。また、湿度にも注意が必要で、水分が入り込むとスポンジのように吸収してしまうため、保存方法には注意が必要。