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ここではオーガニックの意味や認証について、オーガニックドッグフードはどんなものなのかをご紹介したいと思います。それを踏まえてオーガニックドッグフードを選べば良いのではないでしょうか。
オーガニックドッグフードとは
オーガニック(有機)とは
オーガニック(Organic:有機)とは、農薬や化学肥料、添加物、ホルモン剤などを利用せずに自然を生かした方法で育てる方法、またはオーガニック製法によって育てられた農産物や家畜を言います。オーガニックドッグフードの場合、有機栽培、有機農法で生産された原材料を使った製品がそう呼ばれます。
オーガニックというと食品や製品の「安全性」に目が行きがちですが、生態系や生物としての多様性、地産地消による地域文化を守る等、健全な社会を目指す目標も掲げられています。
オーガニック認証とは
オーガニック認証(有機認証)とは、生産者が有機の基準に基づいてきちんと生産しているかどうかを第三者機関が証明するものです。オーガニック認証を行う第三者機関は、非営利団体で国によって異なりますが、やたらめったらどこでも認証を行えるわけではありません。
日本ではJAS法という法律に基づいた有機JAS制度や有機JAS制度の基準でOCC認証や有機JAS認証などがあります。
オーガニックのドッグフード事情
日本でペットフードはオーガニック認証を受けられない
上記のように日本でもオーガニック認証がありますが、残念ながら日本の場合、食品とペットフードを明確に区別しており、オーガニック認証は食品のみにしか適用されません。
ペットフードはオーガニック認証を受けることができないので、OCC認証や有機JAS認証など日本のオーガニック認証を取得しているペットフードは存在しません。
オーガニックドッグフードは欧米産が多い
日本でペットフードはオーガニック認証を受けることができませんが、海外では国によってペットフードもオーガニック認証を受けることができます。
特にヨーロッパやアメリカなどのペット先進国では、ペットフードも食品と同じようにオーガニック認証を行っている国が多いです。このためオーガニックドッグフードは欧米産の商品が多い印象です。
ただ同じヨーロッパでも国や第三者機関によって認められるオーガニックのパーセンテージや基準が異なるので、90%で認証を受けられる場合もあれば98%でないとクリアしない機関もあるので、こだわるならどの国のどの機関でオーガニック認証を受けたかもチェックしてみるといいかと思います。
オーガニックドッグフードのメリット
化学物質が使用されないので安全性が高い
オーガニックドッグフードは、農薬や化学肥料に頼らない農法や加工方法で生産されるので、残留農薬や化学物質などの混入がなく原材料の安全性が高いと言えます。
ほとんどの国や農家は、農産物を安定的に生産するために農薬や肥料などを使用しています。それ自体が危険とは言うには極端かもしれませんが、ほとんどの犬は人の体より小さく、また犬は人と違って毎日同じドッグフードを主食にしているので、原材料に残留農薬などが混入していた場合、人よりも体への影響は大きいのではないかと懸念されています。
アレルギーが起こりにくい
化学物質や遺伝子組み換え食材などを使用しないオーガニックドッグフードは、アレルギーが起こりにくいメリットがあります。
アレルギーはタンパク質に反応して引き起こされますが、化学物質や遺伝子組み換え食材は、遺伝情報や物質が操作され、アレルギー反応を引き起こしやすいと言われています。
このため、より自然由来のものに近い原材料を使用したオーガニックドッグフードは犬のアレルゲンになりにくいとされています。とくに食物アレルギーや消化器系の不調が頻繁に見られる犬にとっては、刺激の少ないオーガニック原料が体に合うことがあります。
信頼性が高い
オーガニックドッグフードをつくるのは簡単ではありません。オーガニックの食材を仕入れて生産するには通常のドッグフードをつくるよりも手間も時間もお金もかかります。
このため、オーガニックドッグフードを製造販売しているメーカーは原材料やフードへのこだわりが強く健康や安全にも気を使ったメーカーが多いと言えます。オーガニックであれば必ず安心、健康でいられるフードであるとは限りませんが、メーカーや企業への信頼性は他の企業より高評価になるかと思います。
環境負荷が少ないサステナブルな選択
オーガニック農法は、土壌や水質を守ることにもつながります。農薬や化学肥料を使わないことで生態系を壊さず、持続可能な生産が可能になります。つまり、オーガニックドッグフードを選ぶことは、愛犬の健康だけでなく地球環境への配慮にもつながるのです。
オーガニックドッグフードのデメリット
価格が高い
オーガニックドッグフードの一番の弱点は、どうしても価格が高くなってしまうことと言えます。これはドッグフードに限ったことではありませんが、こだわりの有機農法や製法で生産されたオーガニックのものは、コストも時間も多くかかっているので、それなりに高価格帯になります。
肉や魚の含有量が少ない
また、オーガニックの場合、肉や魚を使用するとなると、そのエサもオーガニックである必要があるので、植物原料よりさらにコストがかかります。ただでさえ原価が高くなる上、動物原料は育て上げるのにも時間がかかるため、オーガニックドッグフードの原材料では動物原料の含有量が少なくなる傾向があります。
商品が少ない
認証を得るには海外の認証機関に認めてもらうしかないので、日本ではオーガニックドッグフードは特に馴染みが薄いかと思います。オーガニックドッグフード自体、販売しているメーカーや企業は少なく、特に日本ではオーガニック認証を行っていないので、国産でオーガニックドッグフードはほとんどありません。
ナチュラルフード、無添加フードとの違い
「オーガニックフード」と混同されがちな言葉に、「ナチュラルフード」や「無添加フード」があります。
ナチュラルフード
ナチュラルフードとは、化学合成された添加物を使用していない、または極力排除したフードを指します。ただし、原材料が有機である必要はなく、農薬使用の有無や飼育環境には基準がない場合がほとんどです。
つまり、ナチュラルは「人工的なものが少ない」ことに重点があり、オーガニックは「自然な環境で生産された原材料を使っている」ことに焦点を当てていると言えます。
無添加フード
無添加フードとは、保存料や着色料、香料などの合成添加物を使用していないフードを指します。近年、添加物による健康リスクを懸念する飼い主が増えたことで、「無添加」という表記は広く使われるようになりました。
しかし、「無添加」と書かれていても、何が無添加なのか(保存料?香料?)が曖昧な商品も存在します。また、無添加であっても農薬や化学肥料を使って育てられた原材料が使われている可能性があるため、「無添加=オーガニック」ではありません。
特徴 | オーガニックフード | ナチュラルフード | 無添加フード |
---|---|---|---|
農薬・化学肥料の不使用 | 必須(原則禁止) | 制限なし | 制限なし(記載なしの場合あり) |
原材料の有機認証 | 必要(USDA、EUなど) | 基本的に不要 | 不要 |
合成添加物の使用 | 不使用または天然由来に限定 | 不使用または極力排除 | 使用していない(範囲は不明確) |
飼育環境の基準 | 動物福祉に配慮 | 明確な基準なし | 明確な基準なし |
このように、「ナチュラル」や「無添加」は製造上の一部の工程や添加物に着目した表現であるのに対し、「オーガニック」は原料の育て方から加工、輸送、保管に至るまで包括的な管理と認証が求められるという点で、より広範囲で厳格な品質管理がなされているといえます。
ドッグフードのオーガニック認証の有無
オーガニックドッグフードの落とし穴
オーガニックドッグフードと名乗っている商品の中には認証なしのドッグフードもあります。たとえば原材料の一部を使用したドッグフードで「オーガニック認証を受けた原材料を使用した」と表記すると、まるですべての原材料がオーガニックのようにも感じられます。
ですが実際はメインの原材料だけもしくは一部のごく少量しか含まれない原材料がオーガニックでつくられている場合もあります。
認証なしは悪いドッグフードなのか
こう話してしまうと認証無しのドッグフードは「悪」のように思われてしまいますが、オーガニック認証を受けていないだけで高品質かつ安全性の高いドッグフードもたくさんあります。
また、魚のようにどこでなにを食べてきたか分からない生き物の場合、完全な自然由来の原材料であってもオーガニックで育てられたとは言えないので認証を得ることは難しく、魚系のドッグフードのはほとんどオーガニック認証を受けていません。
このため、オーガニックは安全性の高いドッグフードを探す上で良い指標になるかとは思いますが、オーガニックドッグフード以外はダメと考えず、ドッグフードを選ぶ時は原材料や原産国などを見ながら吟味しましょう。
まとめ
- オーガニックドッグフードは有機原料を使用し、添加物を極力排除したフード
- 認証機関の基準を満たすことで、原材料の安全性と透明性が保証される
- 化学物質を避けたい犬やアレルギー体質の犬に適している
- ナチュラルや無添加フードとは異なり、生産過程まで厳格に管理
- 高価格や保存性など注意点もあり、体質や目的に応じた選択が重要