全年齢対応(オールステージ)ドッグフードとは?子犬・成犬・高齢犬に与える方法と注意点

全年齢対応(オールステージ)ドッグフードとは?子犬・成犬・高齢犬に与える方法と注意点

古川さん
全年齢対応(オールステージ)のドッグフードは、子犬から成犬、高齢犬まで同じドッグフードを与えてもいいんですよね。

でも、子犬に与えるときは成犬と同じように与えていいのでしょうか?

犬田さん
全年齢対応(オールステージ)ドッグフードを子犬に与えるときは、与える方法や給与量が少し変わってきます。また、成犬・高齢犬に与えるときにも注意が必要な場合があります。

今回は全年齢対応(オールステージ)ドッグフードの特徴や与える方法、注意点を解説します。

全年齢対応ドッグフードとは?

全年齢対応ドッグフードとは、子犬から成犬、高齢犬まで、すべてのライフステージの犬に必要な栄養バランスを満たすよう設計されたドッグフードを指します。「オールステージ」「全年齢用」「全成長段階用」などと記載されているのも、全年齢対応ドッグフードに該当します。

AAFCO(米国飼料検査官協会)では、ドッグフードの栄養基準を

  • Growth(成長期)
  • Maintenance(維持期・成犬)
  • All Life Stages(全年齢対応)

の3つに分類していますが、「成長期」と「維持期・成犬」の両方の栄養基準を満たしているドッグフードを「全年齢対応」として認めています。

つまり、全年齢対応ドッグフードは最も栄養要求量が多い子犬に合わせた設計になっており、成犬や高齢犬にも給与することができるという位置づけです。

参考:AAFCO METHODS FOR SUBSTANTIATING NUTRITIONAL ADEQUACY OF DOG AND CAT FOODS

全年齢対応ドッグフードの特徴とメリット

全年齢対応ドッグフードには、いくつかのメリットがあります。

ドッグフードの切り替えが必要ない

ライフステージごとのドッグフードの切り替えが必要ないため、フードローテーションの混乱が起きにくい点が挙げられます。子犬から高齢犬まで、同じブランドで継続的に与えることができるため、消化器系が敏感な犬にも適しています。

多頭飼いの家庭におすすめ

多頭飼育の家庭では、年齢の異なる犬たちに別々のドッグフードを用意する必要がないという点も大きなメリットです。給与量の調整だけで、それぞれの愛犬に最適な量を与えることができます。

高品質なドッグフードが多い

全年齢対応ドッグフードは比較的高品質な傾向があり、ヒューマングレードの原材料や無添加レシピを採用している製品も多く見られます。これは、すべての年齢層の健康維持を想定して設計されているため、添加物や人工保存料の排除に配慮されている場合が多いからです。

子犬に全年齢対応ドッグフードを与える方法

全年齢対応ドッグフードを子犬に与える際には、以下のような点に注意が必要です。

粒が大きすぎる可能性がある

まず、粒の大きさです。子犬や超小型犬種にとっては、全年齢対応ドッグフードの粒が大きすぎる可能性があります

もちろんメーカーによりますが、その場合は

  • 粒を砕いて与える
  • ふやかして与える
  • 小粒タイプを選ぶ

といった工夫が必要です。

1日数回に分けて与える

次に、給与量の調整です。全年齢対応ドッグフードはAAFCOの「All Life Stages」基準に基づき、子犬の栄養要求量(成長期基準)に合わせて設計されているため、成犬・高齢犬向けドッグフードよりも高エネルギー・高栄養です。

そのため、ドッグフードのパッケージに記載された子犬用の給与ガイドラインに従って、1日数回に分けて与えるのが基本となります。

ふやかして与える

噛む力が未発達な時期や離乳直後の子犬には、全年齢対応ドッグフードの粒が硬すぎたり飲み込みづらかったりすることがあります。

そのため、ぬるま湯でふやかして柔らかくして与えるのがおすすめです。ふやかすことで消化吸収もスムーズになり、胃腸への負担が軽減されるほか、香りが立ちやすくなることで食欲も刺激されやすくなります。

ただし、ふやかして与えるのは長期的ではなく、早いうちからドライフードを食べられるように練習は必要となります。

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2024年10月5日

成犬・高齢犬に全年齢対応ドッグフードを与える方法

全年齢対応ドッグフードは子犬の成長期に合わせた栄養設計がされているため、成犬や高齢犬に与える際にはいくつかの点に注意が必要です。

まず、成犬にとっては必要以上のカロリーや脂質、タンパク質を摂取することになりやすく、運動量が少ない犬や避妊・去勢後の犬では肥満の原因となる恐れがあります。そのため、パッケージに記載された給与量よりもやや控えめに与える、あるいは体重や体型をこまめにチェックして調整することが大切です。

また、高齢犬の場合は消化機能や腎機能が低下していることがあるため、高タンパクな全年齢対応ドッグフードが体に負担となる可能性もあります。とくに腎臓や肝臓に疾患がある犬では、タンパク質やリンの摂取量を制限する必要があるため、獣医師と相談のうえで使用を検討するのが安全です。

全年齢対応ドッグフードは、すべての犬にとって万能ではありません。愛犬の年齢や体調に合わせて、給与量や与え方を工夫することが健康維持につながります。

まとめ

  • 全年齢対応ドッグフードは子犬から高齢犬まで与えられる設計
  • 子犬に与える場合は、粒の大きさや給与量に注意が必要
  • 多頭飼いではドッグフードを統一できるメリットがある
  • AAFCOの「All Life Stages」基準を満たしているか確認を
  • 専用ドッグフードが必要な時期や体調もあるため使い分けが大切

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。