ドッグフードのパッケージや公式サイトでよく見る「抗酸化成分を配合」や「抗酸化サポート」などの文言。
実際のところ、抗酸化成分ってなに?具体的に何が入ってるの?と疑問の飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、抗酸化成分の特徴や犬への健康効果、代表的な成分、そして抗酸化成分を豊富に含む食べ物について解説します。
抗酸化成分とは?
抗酸化成分とは、体内で発生した活性酸素を無毒化し、細胞や組織を守る栄養素や成分の総称です。
加齢や運動不足、紫外線、ストレスなどにより発生する活性酸素は、過剰に増えると酸化ストレスを引き起こし、動脈硬化やがん、認知機能の低下などに関与すると言われています。
近年のドッグフードでは、健康維持や高齢期のケアを目的に抗酸化成分を配合したものが増えています。酸化ダメージは日々の生活の中で増えやすいため、抗酸化成分を摂取することは健康効果が期待できます。
抗酸化成分にはどんな種類がある?
ドッグフードに含まれる抗酸化成分には、ビタミンやミネラル、植物由来のポリフェノールなど、さまざまな種類があります。
ここでは代表的な成分とその特徴を見ていきましょう。
ビタミンE・ビタミンC・βカロテンなどの抗酸化ビタミン
最もよく知られている抗酸化栄養素が、ビタミンE・ビタミンC・βカロテンです。
ビタミンE(トコフェロール)は脂質の酸化を防ぎ、細胞膜を守る役割を持ちます。とくに皮膚や血管、筋肉など脂質を多く含む組織で働き、老化や炎症を抑えるのに重要です。
ビタミンCは水溶性で、血液中や細胞内で発生する活性酸素を除去します。また、ビタミンEの抗酸化作用を再生させる補助的な働きもあります。
βカロテンは体内でビタミンAに変わる前駆体であり、抗酸化作用を持ちながら、視覚や皮膚の健康維持にも寄与します。
植物由来のポリフェノールやカロテノイド
近年のナチュラル志向の高まりにより、果物やハーブなどの植物由来の抗酸化物質にも注目が集まっています。
代表的なものには、
- アントシアニン(ブルーベリーやクランベリー)
- アスタキサンチン(サーモンやオキアミ)
- ローズマリー(ハーブ類)
- カテキン(緑茶)
などがあります。
ドッグフードのパッケージや商品ページでは天然酸化防止剤として「ブルーベリーエキス配合」「緑茶抽出物使用」「アスタキサンチン配合」などと表示されることが多く、とくに皮膚ケアや免疫バランスの維持、高齢犬の健康維持を目的とした製品に多く採用されています。
ミネラル由来の抗酸化成分
セレンや亜鉛も重要な抗酸化ミネラルです。
セレンは抗酸化酵素「グルタチオンペルオキシダーゼ」を構成する強力な抗酸化ミネラルで、細胞膜を守る働きを持ちます。亜鉛はDNAやたんぱく質の合成を助け、代謝機能や免疫力の維持にも欠かせません。
これらは微量でありながら、抗酸化システム全体を支える役割を果たしており、ビタミン類とともに摂取することでより強力な防御機構を発揮します。
犬にとっての抗酸化成分の健康効果
- 体内の酸化ストレスを抑え、細胞の健康を守る
- 免疫や被毛、目の健康維持にも関係する
- 老化や慢性疾患の進行をゆるやかにする
抗酸化成分は、体内で発生する活性酸素を中和し、細胞の酸化ダメージを防ぐことで、細胞の健康と機能を保ちます。とくに心臓や肝臓、腎臓といった代謝の活発な臓器ではその働きが重要となります。
また、免疫力の維持や皮膚・被毛の健康維持にも関わったり、加齢により増える酸化ストレスを抑えることで老化の進行をゆるやかにし、関節や脳などの細胞を守る効果も期待されます。
天然由来と合成の違い。合成は避けた方がいい

ドッグフードに使われる抗酸化成分には「天然由来」と「合成」の2種類があります。
天然由来のものは天然酸化防止剤とも呼ばれ、ローズマリー抽出物やトコフェロール(ビタミンE)など自然素材から抽出されたもので、自然派志向の飼い主から支持されやすい傾向にあります。
一方で、合成酸化防止剤(BHA、BHT、エトキシキン、安息香酸、没食子酸プロピルなど)は、品質保持のために少量使用されることがあります。これらはドッグフードの酸化を防ぐ効果が高い反面、長期摂取や高濃度使用に対する不安も指摘されており、近年では「合成酸化防止剤不使用」「天然由来酸化防止剤のみ使用」と明記するメーカーが増えています。
まとめ
- 活性酸素を抑え、細胞の酸化ダメージを防ぐ
- 老化や病気の予防、免疫力の向上に役立つ
- ビタミンE・C、カロテノイド、ポリフェノールが代表例
- BHTやBHAなどの合成抗酸化剤は避ける
- 抗酸化成分の有無や種類を確認することが大切