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今回は、ISO認証の特徴やドッグフード選びでの活かし方を解説します。
ISOとは?
ISO(International Organization for Standardization/国際標準化機構)とは、世界中の企業や団体が共通のルールに基づいて製品やサービスを提供できるように定めた国際的な規格体系です。
ISO認証を取得するということは、その企業や製品が一定以上の品質管理・衛生管理・安全管理の体制を整えていると第三者機関から認められたことを意味します。
ドッグフードの安全性は「ISO 22000」に注目
ISOには数多くの規格があり、「ISO認証取得」と一言で書かれていても、その内容は製品ごとに異なります。
ドッグフードの文脈でよく登場するISO規格には、以下のようなものがあります。
ISOの種類 | |
---|---|
ISO 9001 | 製品の品質を一定に保ち、顧客の信頼と満足度を継続的に高めるための管理体制 |
ISO 22000 | 原材料の仕入れから出荷まで、食品安全のリスクを管理する体制 |
ISO 14001 | 環境に配慮した製造やエネルギー使用などが評価対象 |
ペットフードは「食品」に準じた製造管理が求められるため、この中でドッグフードの安全性や品質に直結するのは、主にISO 22000です。製造工場や製品の衛生・安全管理体制が整っている証拠とされ、高く評価されます。
製品パッケージや公式サイトで「ISO取得」とだけ書かれている場合は、その番号や取得機関の詳細を確認してみましょう。
ISO認証によって期待できるメリットとは?
では、ドッグフードがISO認証を取得していると、飼い主や愛犬にとってどんなメリットがあるのでしょうか?
①製造過程の透明性が高まる
ISO認証、とくにISO 22000やISO 9001を取得しているメーカーや工場では、原材料の調達から製造、包装、保管、出荷に至るまでのすべての工程が第三者機関によって審査されています。これにより、飼い主が直接目にすることのできない製造現場の管理状況が可視化され、衛生管理・品質管理が行われていることが客観的に証明されます。
とくにペットフードの場合、加工・乾燥・保存などの過程で栄養価や安全性が大きく左右されるため、この透明性は飼い主にとって重要な判断材料となります。
②品質のばらつきが抑えられる
ドッグフードの粒の色や形状が異なる・バラつきなどの原因は、生産管理の不備にあるケースが多く見られます。ISO 9001を取得している工場では、製造のあらゆる段階で品質が一貫して保たれるよう、手順書やチェック体制が整備されています。
その結果、どのタイミングで製造されたドッグフードであっても品質に大きな差が出にくくなります。
③ 問題発生時の追跡と対応が迅速
ISO認証、とくにISO 22000では「トレーサビリティ(追跡可能性)」の確保が求められます。これにより、万が一製品に異物混入や成分の不具合といった問題が発生した場合でも、いつ・どこで・何が原因で起きたのかを速やかに特定し、必要であれば該当ロットの製品を市場から回収することができます。
こうした体制が整っている工場では、リスクが発生しても大きな事故につながる前に適切な対応ができるため、メーカーとしての信頼性が高く、飼い主にとっても安心して選べる製品となるのです。
ISO認証の有無だけで安全性は判断できる?
ISOはあくまで“体制”の保証であり、以下のような点も含めて総合的に見極めることが大切です。
ISO認証がなくても高品質なケース
下記のケースでは、ISO認証を取得していなくても高品質なドッグフードやメーカーと言えます。
- 小規模工場で丁寧に製造されている場合
- ISO以外の基準(GMPやオーガニック認証)に重点を置いている場合
- 国ごとの厳格な製造基準によってISOと同等の信頼性が保たれる場合
一方で、ISO認証を取得しているにもかかわらず、原材料の質が低かったり、飼い主への情報開示が不十分なケースもあるため、原材料や成分の品質、メーカーの透明性までを確認することが大切になります。
ISOはあくまで「仕組みの保証」
ISO認証がもたらす最大の利点は、「見えない部分を第三者がチェックしてくれている」という点です。しかし、ISOはあくまでも製品や原材料の質そのものではなく、その質を支えるマネジメント体制の整備レベルを示しているに過ぎません。
飼い主としては、認証の有無だけで判断せず、原材料の内容、メーカーの姿勢、製造工程の透明性といった他の視点も交えながら選択していきましょう。
HACCPやGMPとの違いと関係性とは?
ISOとよく並べて語られるのが、「HACCP」や「GMP」といった他の衛生管理手法です。
とくにISO 22000はHACCPの考え方をベースにしており、単独ではなく補完的に利用されることもあります。つまり、これらは互いに排他的なものではなく、「組み合わせて使うことで製品の安全性をより確かなものにする」ための手段となります。
まとめ
- ISOは国際的な品質管理基準で、食品安全や製造体制の信頼性を示す
- ドッグフードでよく見るのは、ISO 9001
- ISOはHACCPやGMPと連携して使われることが多い
- ISO認証は管理体制であるため、原材料や成分の質とは別
- 飼い主はISOの規格番号や取得状況、メーカーの透明性を見ることが大切