低アレルゲン設計のドッグフードとは?特徴や注意点、犬のアレルギー予防のために知っておきたいこと

低アレルゲン設計のドッグフードとは?特徴や注意点、犬のアレルギー予防のために知っておきたいこと

古川さん
ドッグフードを探していると、商品説明の部分に「低アレルゲン設計」と書かれたものがありました。普通のドッグフードとどう違うんですか?

犬田さん
低アレルゲン設計とは、犬がアレルギー反応を起こしやすい食材を極力制限したことを言います。

皮膚のかゆみや脱毛、消化不良など、これらは食物アレルギーや食物不耐性によって引き起こされることがありますが、こうした背景により「低アレルゲン設計のドッグフード」が注目されています。

今回は低アレルゲン設計のドッグフードの定義や特徴、メリットと注意点、そして選び方のポイントを解説していきます。

低アレルゲン設計のドッグフードとは

アレルギー反応のリスクを減らすフード

低アレルゲン設計とは、犬がアレルギーを起こしやすい食材や添加物を極力排除・制限し、アレルギー反応のリスクを減らすように工夫されたドッグフードを指します。

一般的なドッグフードに含まれるたんぱく質や穀物、添加物の中には犬にとってアレルゲンとなるものがあり、それを最小限に抑えるのが狙いです。

ただし、「低アレルゲン設計」という言葉自体は法律で明確に定義されているわけではありません。メーカーやブランドによって基準が異なり、シングルプロテインを採用した製品や、グレインフリー設計の商品を「低アレルゲン設計」として販売しているケースが多く見られます。

主に商品説明欄や紹介ページに書かれる

「低アレルゲン設計」という言葉は法的な定義や表示基準がないため、メーカーは下記のような文言を用いて低アレルゲン性をアピールする傾向にあります。

  • 食物アレルギー対応
  • 食物アレルギーに配慮
  • アレルギーケア
  • 新奇タンパク質使用
  • 低分子プロテイン(療法食の場合)

ドッグフードのパッケージや商品名に明記されることはあまり一般的ではなく、主に説明文や紹介ページで補足的に使われることが多く見られます。

低アレルゲン設計ドッグフードの特徴

低アレルゲン設計のドッグフードは、一般的なドッグフードと比べて下記の特徴があります。

動物性タンパク質が1種類

ドッグフードを食べてアレルギー症状があらわれた場合、複数の動物性タンパクが配合されていると「どの原材料で発症したのか」というアレルゲンの特定が難しくなります。

そのため、低アレルゲン設計のドッグフードでは配合される動物性タンパク質が1種類(シングルプロテインであることが多くみられます。

原材料を確認すると、動物性タンパク質が1種類であったり、パッケージや商品名に「チキンのみ」「サーモンのみ」「鹿肉のみ」などと記載されていることがあります。

ドッグフードのシングルプロテインとは?アレルギー対応に最適な理由と選ぶ際の注意点

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2025年8月12日

新奇タンパク質が配合される

犬がこれまで口にしていない肉(鹿、馬、カンガルー、ターキー、ダックなど)を使うことにより、免疫反応が起きにくくなると考えられています。このようなジビエ肉など珍しい動物性タンパク質をノベルプロテインといいます。

食物アレルギーの診断や除去食試験に活用されるケースもあります。

穀物不使用(グレインフリー)

小麦やトウモロコシなどの穀物は犬にとって消化しにくく、アレルゲンにもなりやすいといわれています。そこで、ポテトやエンドウ豆などの代替炭水化物を使うグレインフリー設計が多く採用されています。

人工添加物を排除

着色料、香料、人工保存料などはアレルギーや皮膚炎の原因になる場合があります。低アレルゲン設計では、ローズマリー抽出物、ミックストコフェロールなど天然由来の保存料が使われることが多く見られます。

加水分解タンパク質の使用

療法食では、タンパク質を細かく分解して分子量を小さくし、免疫システムにアレルゲンとして認識されにくくする「加水分解食」が用いられることもあります。これは動物病院専売フードに多い特徴です。

犬のアレルギーリスクと低アレルゲン設計フードの役割

犬が食物アレルギーを発症するリスクは決して低くありません。とくに下記の食材はアレルゲンになりやすいといわれています。

  • 鶏肉
  • 牛肉
  • 魚類(とくにサーモン、白身魚など)
  • 乳製品(ミルク、チーズなど)
  • 穀類(小麦、トウモロコシなど)

アレルギーは食べる回数が多い食材ほど発症リスクが上がると言われています。そのため、犬がよく食べてきたタンパク源がアレルゲンになりやすい傾向にあります。

低アレルゲン設計ドッグフードの注意点とデメリット

「低アレルゲン設計=完全に安全」ではない

アレルゲンは犬の個体差によって大きく異なり、同じ鶏肉でも問題なく食べられる犬もいれば強いアレルギー症状を示すもいます

そのため「低アレルゲン設計だから大丈夫」と思い込まず、症状がある場合は必ず獣医師に相談し、必要なら除去食試験や食物アレルギー検査を行うことが重要です。

コストが高め

低アレルゲン設計のドッグフードは、原材料に配慮し特定のタンパク源だけを使用したり、アレルギーリスクの低い新奇タンパク質を取り入れたりと、通常より仕入れや製造にコストがかかります。そのため、一般的なドッグフードに比べ価格が高めに設定されていることが多いです。

まとめ

  • 低アレルゲン設計はアレルギーリスクを減らす工夫がされたフード
  • 法律で明確に定義があるわけではない
  • シングルプロテインや新奇タンパク質が採用される
  • 一般的なドッグフードに比べ、価格が高め

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。