皮膚・被毛ケアのドッグフードとは?犬の毛艶や健康を守る成分と必要な犬、注意点について

皮膚・被毛ケアのドッグフードとは?犬の毛艶や健康を守る成分と選び方

古川さん
最近うちの子の毛がパサついて、ツヤもなくなってきたんです。フケも増えて、かゆそうに掻くこともあって……。シャンプーを変えてもあまり良くならなくて。

犬田さん
それは皮膚のバリア機能が少し弱っているサインかもしれませんね。乾燥やアレルギーが関係していることもあります。実は、こうした皮膚・被毛トラブルは“外からのケア”だけでなく、食事も大切なんです。

古川さん
やっぱり食事も大切なんですね。最近は「皮膚・被毛ケアのドッグフード」を検討しています。

犬田さん
皮膚を内側から整える成分を強化した機能性ドッグフードですね。では今回は、皮膚・被毛ケアのドッグフードの特徴や成分、注意点について解説していきましょう。

皮膚・被毛ケアのドッグフードとは?

機能性ドッグフードのひとつ

皮膚・被毛ケアのドッグフードとは、犬の健康維持や特定の体の働きをサポートするために作られたドッグフード「機能性ドッグフード」のひとつです。

一般的な総合栄養食が「栄養バランスを整えて健康を保つこと」を目的としているのに対し、機能性ドッグフードはそれに加えて、特定の悩みや体質に配慮した栄養設計がされています

例えば、

  • 皮膚ケアならオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
  • 関節ケアならグルコサミンやコンドロイチン
  • 尿路ケアならクランベリー抽出物

など、目的に応じた機能性成分が配合されています。

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こうした機能性フードが注目されている理由

ドッグフードの改良や獣医療の発展により犬の寿命が延びたことや、ペットも家族の一員という意識の高まりにより、「病気になってから」ではなく、「病気になる前の小さな不調」をケアすることが重視されるようになりました

こうした背景によりドッグフードの内容や目的に着目する飼い主が増え、さまざまな機能性ドッグフードが販売されています。

皮膚・被毛ケアのドッグフードの特徴

犬田さん
栄養が不足したり、アレルギーや炎症が起こったりすると、毛並みや皮膚の状態にすぐ変化があらわれます。

皮膚・被毛ケアのドッグフードがどんな工夫をしているのか解説していきます。

添加物を使用しない・最小限に抑える傾向

全ての添加物が悪影響を及ぼすわけではありませんが、皮膚が弱い犬やアレルギー体質の犬は、他の犬より反応が出やすい傾向があります。そのため、皮膚・被毛ケアのドッグフードは添加物をできるだけ使わない傾向があります。

具体的には、

  • 合成保存料(BHA・BHT・エトキシキン)を不使用
  • 天然由来の酸化防止剤(ミックストコフェロール・ローズマリー抽出物など)を使用
  • 人工着色料・香料を使わない

といった工夫がされています。これにより、皮膚への刺激やアレルギーのリスクを減らし、より自然な栄養吸収と代謝をサポートします。

消化吸収を重視した設計

皮膚や被毛の健康には腸内環境も関係しています。腸で栄養をきちんと吸収できなければ、いくら良い成分を摂っても皮膚まで届きません

そのため、皮膚・被毛ケアフードには、乳酸菌・オリゴ糖・食物繊維などの腸内サポート成分が配合されていることがあります。これにより、腸内の善玉菌が増え、皮膚の再生や免疫バランスを助けます。

アレルギーに配慮したシンプルなレシピ

皮膚トラブルの原因のひとつに、食物アレルギーがあります。そのため、皮膚・被毛ケアのドッグフードではたんぱく源を1種類に絞った「シングルプロテイン設計」や、「グレインフリー(穀物不使用)」のものも多く見られます。

これにより、消化負担を軽くし、体内の炎症反応を起こしにくくします。

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皮膚・被毛ケアのドッグフードの配合成分

では、皮膚・被毛ケアのドッグフードには主にどのような成分や栄養素が含まれているのでしょうか。

オメガ3脂肪酸

  • 代表成分:EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)・αリノレン酸
  • 主な食品:魚油(サーモンオイル、イワシ油など)、亜麻仁油、チアシード

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)とは必須脂肪酸の一種で、皮膚の炎症を抑え、かゆみを軽減する働きがあり、慢性的な皮膚炎やアレルギー、毛艶の改善にも効果的です。

オメガ3脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。

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オメガ6脂肪酸

  • 代表成分:リノール酸・γリノレン酸(GLA)・アラキドン酸
  • 主な食品:サフラワー油、ひまわり油、大豆油、鶏脂

オメガ6脂肪酸も必須脂肪酸の一種で、皮膚のバリア機能を維持し、水分保持を助ける栄養素です。不足すると皮膚が乾燥してフケが増えたり、被毛がパサついたりします。

皮膚・被毛ケアのドッグフードにおいてとくに注目すべきは、オメガ3とオメガ6の比率です。一般的に「1:5~1:10」の範囲が望ましいとされ、どちらか一方に偏ると炎症リスクが高まります。

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良質な動物性タンパク質

主な食品:チキン、サーモン、ラム、卵など

犬の皮膚や被毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。良質な動物性タンパク質を摂取することで、毛のツヤ・コシ・抜け毛の少なさ、毛の再生・強度が保たれます

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ビタミンA、ビタミンE、ビオチン、亜鉛

ビタミンAとEは抗酸化作用によって皮膚の老化や炎症を防ぎ、亜鉛は細胞の修復を助けます。またビオチンは皮膚の代謝を促し、健康的な毛の生え変わりを支えます。

これらの栄養素は相互に働き、皮膚と被毛の若々しさを保ちます

皮膚・被毛ケアのドッグフードが向いている犬は?

皮膚・被毛ケアのドッグフードとは?犬の毛艶や健康を守る成分と選び方
  • 毛艶が悪く、パサつきやフケが見られる
  • かゆみがあり、体を頻繁に掻いたり舐めたりする
  • アレルギー体質や敏感肌で、皮膚が赤くなりやすい
  • 季節の変わり目に皮膚トラブルを起こしやすい
  • シニア期に入り、皮膚が乾燥しやすくなってきた
  • 食物アレルギーや消化不良を起こしやすい

とくに柴犬フレンチブルドッグゴールデンレトリバーなど皮膚トラブルを起こしやすい犬種は注意が必要です。

皮膚・被毛ケアのドッグフードの注意点

すぐに効果を求めない

皮膚や被毛は細胞の生まれ変わりに時間がかかるため、皮膚・被毛ケアのドッグフードに切り替えてもすぐに結果が出るわけではありません。新しい栄養が皮膚に届き、毛の質が変わるまでにはおよそ1〜2か月ほどかかります

焦らず継続して与え、少しずつ毛艶やかゆみの変化を観察していきましょう。

根本原因の見極めも大切

皮膚や毛並みの不調が続く場合、食事以外に病気やホルモン異常、寄生虫、アレルギーなどが関係していることもあります。皮膚・被毛ケアのドッグフードに変えても改善しないときは獣医師に相談し、検査を受けて原因を特定しましょう。根本から治療を行うことで、長期的な改善が期待できます。

まとめ

  • 皮膚・被毛ケアフードは内側から整える機能性ドッグフード
  • オメガ3・6脂肪酸やビオチン、亜鉛が皮膚バリアと毛の再生に寄与
  • アレルギー体質や乾燥肌、毛艶の悪化が見られる犬におすすめ
  • 皮膚トラブルを起こしやすい犬種は注意が必要
  • 効果が乏しい場合は皮膚炎やホルモン疾患などの病気も疑う

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。