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皮膚・被毛ケアのドッグフードとは?
機能性ドッグフードのひとつ
皮膚・被毛ケアのドッグフードとは、犬の健康維持や特定の体の働きをサポートするために作られたドッグフード「機能性ドッグフード」のひとつです。
一般的な総合栄養食が「栄養バランスを整えて健康を保つこと」を目的としているのに対し、機能性ドッグフードはそれに加えて、特定の悩みや体質に配慮した栄養設計がされています。
例えば、
- 皮膚ケアならオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
- 関節ケアならグルコサミンやコンドロイチン
- 尿路ケアならクランベリー抽出物
など、目的に応じた機能性成分が配合されています。
こうした機能性フードが注目されている理由
ドッグフードの改良や獣医療の発展により犬の寿命が延びたことや、ペットも家族の一員という意識の高まりにより、「病気になってから」ではなく、「病気になる前の小さな不調」をケアすることが重視されるようになりました。
こうした背景によりドッグフードの内容や目的に着目する飼い主が増え、さまざまな機能性ドッグフードが販売されています。
皮膚・被毛ケアのドッグフードの特徴
皮膚・被毛ケアのドッグフードがどんな工夫をしているのか解説していきます。
添加物を使用しない・最小限に抑える傾向
全ての添加物が悪影響を及ぼすわけではありませんが、皮膚が弱い犬やアレルギー体質の犬は、他の犬より反応が出やすい傾向があります。そのため、皮膚・被毛ケアのドッグフードは添加物をできるだけ使わない傾向があります。
具体的には、
- 合成保存料(BHA・BHT・エトキシキン)を不使用
- 天然由来の酸化防止剤(ミックストコフェロール・ローズマリー抽出物など)を使用
- 人工着色料・香料を使わない
といった工夫がされています。これにより、皮膚への刺激やアレルギーのリスクを減らし、より自然な栄養吸収と代謝をサポートします。
消化吸収を重視した設計
皮膚や被毛の健康には腸内環境も関係しています。腸で栄養をきちんと吸収できなければ、いくら良い成分を摂っても皮膚まで届きません。
そのため、皮膚・被毛ケアフードには、乳酸菌・オリゴ糖・食物繊維などの腸内サポート成分が配合されていることがあります。これにより、腸内の善玉菌が増え、皮膚の再生や免疫バランスを助けます。
アレルギーに配慮したシンプルなレシピ
皮膚トラブルの原因のひとつに、食物アレルギーがあります。そのため、皮膚・被毛ケアのドッグフードではたんぱく源を1種類に絞った「シングルプロテイン設計」や、「グレインフリー(穀物不使用)」のものも多く見られます。
これにより、消化負担を軽くし、体内の炎症反応を起こしにくくします。
皮膚・被毛ケアのドッグフードの配合成分
では、皮膚・被毛ケアのドッグフードには主にどのような成分や栄養素が含まれているのでしょうか。
オメガ3脂肪酸
- 代表成分:EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)・αリノレン酸
- 主な食品:魚油(サーモンオイル、イワシ油など)、亜麻仁油、チアシード
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)とは必須脂肪酸の一種で、皮膚の炎症を抑え、かゆみを軽減する働きがあり、慢性的な皮膚炎やアレルギー、毛艶の改善にも効果的です。
オメガ3脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。
オメガ6脂肪酸
- 代表成分:リノール酸・γリノレン酸(GLA)・アラキドン酸
- 主な食品:サフラワー油、ひまわり油、大豆油、鶏脂
オメガ6脂肪酸も必須脂肪酸の一種で、皮膚のバリア機能を維持し、水分保持を助ける栄養素です。不足すると皮膚が乾燥してフケが増えたり、被毛がパサついたりします。
皮膚・被毛ケアのドッグフードにおいてとくに注目すべきは、オメガ3とオメガ6の比率です。一般的に「1:5~1:10」の範囲が望ましいとされ、どちらか一方に偏ると炎症リスクが高まります。
良質な動物性タンパク質
主な食品:チキン、サーモン、ラム、卵など
犬の皮膚や被毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。良質な動物性タンパク質を摂取することで、毛のツヤ・コシ・抜け毛の少なさ、毛の再生・強度が保たれます。
ビタミンA、ビタミンE、ビオチン、亜鉛
ビタミンAとEは抗酸化作用によって皮膚の老化や炎症を防ぎ、亜鉛は細胞の修復を助けます。またビオチンは皮膚の代謝を促し、健康的な毛の生え変わりを支えます。
これらの栄養素は相互に働き、皮膚と被毛の若々しさを保ちます。
皮膚・被毛ケアのドッグフードが向いている犬は?

- 毛艶が悪く、パサつきやフケが見られる
- かゆみがあり、体を頻繁に掻いたり舐めたりする
- アレルギー体質や敏感肌で、皮膚が赤くなりやすい
- 季節の変わり目に皮膚トラブルを起こしやすい
- シニア期に入り、皮膚が乾燥しやすくなってきた
- 食物アレルギーや消化不良を起こしやすい
とくに柴犬やフレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバーなど皮膚トラブルを起こしやすい犬種は注意が必要です。
皮膚・被毛ケアのドッグフードの注意点
すぐに効果を求めない
皮膚や被毛は細胞の生まれ変わりに時間がかかるため、皮膚・被毛ケアのドッグフードに切り替えてもすぐに結果が出るわけではありません。新しい栄養が皮膚に届き、毛の質が変わるまでにはおよそ1〜2か月ほどかかります。
焦らず継続して与え、少しずつ毛艶やかゆみの変化を観察していきましょう。
根本原因の見極めも大切
皮膚や毛並みの不調が続く場合、食事以外に病気やホルモン異常、寄生虫、アレルギーなどが関係していることもあります。皮膚・被毛ケアのドッグフードに変えても改善しないときは獣医師に相談し、検査を受けて原因を特定しましょう。根本から治療を行うことで、長期的な改善が期待できます。
まとめ
- 皮膚・被毛ケアフードは内側から整える機能性ドッグフード
- オメガ3・6脂肪酸やビオチン、亜鉛が皮膚バリアと毛の再生に寄与
- アレルギー体質や乾燥肌、毛艶の悪化が見られる犬におすすめ
- 皮膚トラブルを起こしやすい犬種は注意が必要
- 効果が乏しい場合は皮膚炎やホルモン疾患などの病気も疑う