関節サポートのドッグフードとは?配合成分・効果・家庭でできるサポート方法を解説

関節サポートのドッグフードとは?配合成分・効果・家庭でできるサポート方法を解説

大型犬や運動量の多い犬、高齢犬は、日々の生活の中で関節への負担が少しずつ蓄積していきます。

「階段を嫌がるようになった」「立ち上がるのに時間がかかる」「散歩の途中で座り込む」などの行動がみられてから関節サポートのドッグフードを与える方が多いですが、実はこうした症状が出る前からのケアが重要です。

今回は、関節サポートのドッグフードに含まれる成分や栄養素、どんな犬に必要なのかを解説します。

関節サポートドッグフードとは?

関節サポートのドッグフードとは、関節や軟骨の健康維持を目的に、特定の栄養素を強化した機能性ドッグフードのことです。

他の機能性ドッグフード(皮膚・被毛ケアや腎臓ケアなど)は症状の“改善”や“予防”を目的としているのに対し、関節サポートは体の土台そのものを維持・強化することを目的に設計されています。

動く喜びを長く保つ手助けとなり、とくに高齢期の犬や、股関節形成不全などの遺伝的リスクを持つ犬種に有効です。

関節サポートに配合される主な成分と働き

では、関節サポートのドッグフードにはどのような成分や栄養素が配合されているのでしょうか。

グルコサミン

グルコサミンとは、ヒアルロン酸やグリコサミノグリカン(ムコ多糖)などのアミノ糖の一種です。軟骨の弾力性やクッション機能を維持し、摩擦によるすり減りを防ぐことで、関節の動きをなめらかに保ちます。年齢とともに体内での合成量が減るため、食事やサプリメントからの補給が欠かせません。

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コンドロイチン

コンドロイチンとは、軟骨の主成分の一つであるムコ多糖類の一種です。水分を多く含み、関節内部で潤滑剤のように働き、関節液の粘性を高めて滑らかな動きをサポートします。さらに、軟骨細胞の代謝を促進して摩耗した組織の修復を助け、炎症の進行を抑える働きもあります。

グルコサミンと一緒に配合されることが多く、相乗効果によって関節の弾力性と可動域を維持するサポートを行います。

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MSM(メチルスルフォニルメタン)

MSMとは自然界に存在する有機イオウ化合物で、体内ではコラーゲンやケラチンの合成を助ける役割を持ちます。関節の炎症を和らげ、痛みやこわばりを緩和する作用が期待されています。さらに、抗酸化力を高めて細胞の老化を防ぐことから、高齢犬のアンチエイジングにも有効です。

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)

オメガ3脂肪酸は青魚や亜麻仁油などに豊富に含まれる必須脂肪酸で、関節内の炎症を抑える働きがあります。

EPAは炎症を引き起こすプロスタグランジンの生成を抑制し、関節痛や腫れを軽減します。DHAは細胞膜を柔軟にし、血流を改善して栄養の循環を助けます。皮膚や被毛の健康にも効果があり、関節ケアと同時に全身の健康維持にも寄与します。

高齢犬や慢性疾患を抱える犬にとくに推奨される成分です。

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ビタミンC・E

ビタミンCとEは抗酸化ビタミンとして知られ、関節内部で発生する活性酸素を除去し、細胞の酸化ダメージを防ぎます

ビタミンCはコラーゲンの合成を促進し、軟骨の修復や強度維持に不可欠です。ビタミンEは脂質の酸化を防ぎ、炎症の進行を抑えることで関節痛を緩和します。

これらを同時に摂ることで相乗的に酸化ストレスを減らし、老化による関節の劣化を遅らせることが期待できます。

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どんな犬に関節サポートのドッグフードが必要?

関節サポートのドッグフードは、すべての犬に必要なものではありません。若くて健康な犬や、体が軽く関節への負担が少ない犬、運動量が少ない犬では、関節サポートのドッグフードを与えなくても十分に健康を保てることが多いです。

一方で、年齢や体格、生活環境によって関節に負担がかかりやすい犬では、早めのケアが大切です。関節サポートのドッグフードがとくにおすすめなのは、次のようなタイプの犬です。

① 高齢犬(7歳以上)

年齢を重ねると軟骨の弾力が失われ、関節のすり減りや炎症が起こりやすくなります。歩行や起き上がりの動作がぎこちなくなる場合は、グルコサミンやコンドロイチンを含む関節サポートのドッグフードが効果的です。

② 大型犬・超大型犬

体重が重い大型犬は、関節への負担が小型犬の数倍にもなります。股関節形成不全や肘関節のトラブルが起こりやすいため、若いうちから関節保護を意識した食事が欠かせません。成長期には骨や筋肉のバランスを良いドッグフードを選びましょう。

③ 運動量の多い犬

フリスビーやアジリティ競技を行う犬、走ることが好きな犬などは、日々の衝撃で関節を酷使しています。過度な運動は摩耗を早める原因となるため、回復を助けるオメガ3脂肪酸やコラーゲンを含むドッグフードが効果的です。

④ 遺伝的に関節疾患のリスクがある犬種

プードルやチワワ、柴犬、コーギーなどは膝蓋骨脱臼(パテラ)や股関節の異常を起こしやすい犬種として知られています。若齢期から関節成分を取り入れることで、発症リスクを抑えられます。軽い体重でも衝撃を受けやすいため、早期ケアが重要です。

⑤ 肥満傾向の犬

体重が増えると、その分だけ関節にかかる負担も大きくなります。肥満は膝や腰の痛み、関節炎を引き起こす要因の一つです。関節サポートのドッグフードの中には低カロリーで満腹感を得やすい設計のものもあり、無理なく体重を落としながら関節を守ることができます。

まとめ

  • 関節サポートフードとは、軟骨や関節の健康維持を目的としたフード
  • 代表成分はグルコサミン、コンドロイチン、MSM、オメガ3脂肪酸など
  • 高齢犬、大型犬、運動量が多い犬にとくにおすすめ
  • 継続して与えることで関節の動きをなめらかに保つ効果が期待

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。