ドッグフードのシングルプロテインとは?アレルギー対応に最適な理由と選ぶ際の注意点

ドッグフードのシングルプロテインとは?アレルギー対応に最適な理由と選ぶ際の注意点

近年では、ドッグフード選びの際に「シングルプロテイン」が注目されています。とくにアレルギー対策や消化への配慮が求められる犬にとって注目される選択肢です。

本記事では、シングルプロテインの定義や特徴、どんな犬に向いているのか、選び方のポイントを解説します。

シングルプロテインとは?

動物性タンパク質が1種類のみ

ドッグフードのパッケージで見かける「シングルプロテイン」という言葉。シングルプロテインとは、使用されている動物性タンパク源が1種類のみであることを指します。

例えば「チキンのみ使用」や「ラムのみ使用」といった表記があれば、それがシングルプロテインの証。複数の肉類をミックスしているマルチプロテインとは異なり、素材の明確さとシンプルさが特徴です。

シングルプロテインの定義とは

シングルプロテインフードの最大の定義は、動物性タンパク源が一種類に限定されていることです。例えば下記のような構成が挙げられます。

原材料:チキン、米、オート麦、鶏脂…
チキンが唯一のタンパク源=シングルプロテイン

原材料:サーモン、チキンミール、玄米…
複数の動物性タンパク源=マルチプロテイン

ここでのポイントは、動物性の原料が何種類入っているかということです。

植物性タンパク(大豆など)を含むかどうかは、厳密な「シングルプロテイン」の定義には含まれませんが、アレルギー対応などを考える際には植物性タンパクの有無も確認しておくと安心です。

なぜシングルプロテインが増えている?

シングルプロテインのドッグフードが増えている背景には、犬の食物アレルギーや消化不良、ドッグフード選びにおける安心感へのニーズの高まりがあります。犬の健康と直結する食事の質を見直す飼い主が増える中で、よりシンプルで透明性の高いドッグフードを求める声が多くなってきたのです。

シングルプロテインの例

代表的なシングルプロテインドッグフードには、下記のような種類があります。

  • チキンベース:消化性が高く、アレルゲンになりにくい犬も多い
  • ラムベース:低アレルゲンとされ、代替タンパク源として人気
  • サーモンベース:オメガ3脂肪酸を含み、皮膚や被毛の健康にも良い

これらは一例にすぎませんが、ドッグフードによっては「カンガルー」「ウサギ」「七面鳥」など、ノベルプロテイン(珍しいタンパク源)を使ったものもあり、食物アレルギー対策にはとくに有効です。

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シングルプロテインのドッグフードのメリット

アレルギーの原因特定がしやすい

シングルプロテインのドッグフードは、アレルギーの原因を特定しやすいという大きなメリットがあります。

犬の食物アレルギーは、特定のタンパク源に対する免疫反応で起こることが多く、複数の動物性原料が使われているドッグフードでは、どの素材が原因かを見極めるのが難しくなります。

その点、シングルプロテインであれば、使用されているタンパク源が一種類に限定されているため、除去食試験を行う際にも有効で、アレルゲンの絞り込みがしやすくなります。とくに慢性的な皮膚炎や下痢、耳の炎症などがある犬にとっては、原因を明確にし、症状の改善につなげる第一歩として大きな意味を持ちます。

消化の負担が少なく、胃腸にやさしい

複数の動物性タンパクは消化に時間がかかる場合があり、とくに胃腸の弱い犬やシニア犬にとっては負担になりやすいです。その点、シングルプロテインは比較的消化がスムーズで、腸内トラブルのリスク軽減にもつながります。

原材料の透明性が高い

シングルプロテインのドッグフードは、原材料の透明性が高いことも大きな魅力です。

使用されている動物性タンパク源が明確に一種類と限定されているため、飼い主がドッグフードの内容を把握しやすく、安心して与えることができます。とくにアレルギー体質の犬や消化に不安がある犬には、何が含まれているかを正確に知ることが重要です。

また、「チキンのみ使用」「ラム100%使用」といった明確な表記があることで、フードローテーションの管理もしやすくなり、健康維持に役立ちます。

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シングルプロテインはどんな犬におすすめ?

シングルプロテインのドッグフードは、下記の犬におすすめです。

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎がある犬

繰り返す皮膚のかゆみや脱毛、耳の炎症、慢性的な下痢や軟便など、アレルギー症状が見られる犬には原因となるタンパク源を絞り込めるシングルプロテインが非常に有効です。獣医師の指導のもとで与える除去食としても活用されます。

シニア犬や消化機能が低下している犬

年齢とともに胃腸の働きが弱くなったシニア犬や、もともとお腹を壊しやすい体質の犬にも、シンプルで負担の少ないシングルプロテインフードはおすすめです。吸収率の高い素材を選ぶと、体力維持にもつながります

フードローテーションを行っている犬

タンパク源を定期的に切り替えるフードローテーションを実践する場合、シングルプロテインの方が管理がしやすく、切り替え後の体調変化も観察しやすいというメリットがあります。

シングルプロテイン=安全?選ぶ際の注意点

シングルプロテインとマルチプロテイン、一概に「どちらが優れている」とは言い切れず、栄養バランスや原材料表示を確認したうえで、愛犬の体質やライフステージに応じた選択をすることが重要です。

「○○メイン使用」の曖昧な表記に注意

例えば「ビーフメイン」と書いてあっても、実際には他の肉類が含まれているケースがあります。必ず原材料欄を確認し、最初に表示された動物性原料が何かをチェックするようにしましょう。

必須栄養素のバランスにも目を向ける

タンパク源が1種類であることに目が行きがちですが、犬の健康には脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルも重要です。AAFCO(米国飼料検査官協会)などの基準を満たした総合栄養食かどうかも忘れずに確認しましょう。

添加物や加工処理にも注目

保存料や着色料、香料などの合成添加物が多く含まれているドッグフードでは、いくらタンパク源がシンプルでも体に負担がかかる可能性があります。無添加または天然由来の原料を選ぶことも、健康維持には重要なポイントです。

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まとめ

  • 動物性タンパク源を1種類に限定したフードをシングルプロテインという
  • アレルギーの原因特定がしやすい
  • 消化にやさしく、胃腸が弱い犬やシニア犬にも適している
  • 原材料の透明性が高く、フード内容を把握しやすく安心
  • タンパク源ごとに種類が選べ、ローテーションにも適している

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。