ドッグフードのオメガ6脂肪酸。皮膚や被毛の健康維持に関わる必須脂肪酸。過剰摂取には注意!

オメガ6脂肪酸 ドッグフード
佐藤さん
オメガ6脂肪酸はどんな栄養素なんでしょうか?脂肪ときくと、太ってしまうという印象があるのですが、犬も積極的に摂った方がいいんでしょうか?
犬田さん
「脂肪」という言葉にあまり悪いいイメージを持てないかもしれませんが、オメガ6脂肪酸は体に必要な栄養素です。

摂取量や他成分との比率を考慮しながら上手に摂取しましょう!

ドッグフードのオメガ6脂肪酸とは

リノール酸・アラキドン酸などの不飽和脂肪酸

オメガ6脂肪酸(ω-6 fatty acid)は、脂質を構成する必須脂肪酸の一つで、オメガ3脂肪酸と同様、1つ以上の不飽和の炭素結合がある多価不飽和脂肪酸に分類されます。

オメガ6脂肪酸には、リノール酸やアラキドン酸、γリノレン酸などが挙げられ、食べ物から摂取しなければなりません。また、アラキドン酸は体内で合成してつくることができますが、十分な量を体内だけでつくり出すのは難しいため、食事からも摂取する必要があります。

オメガ6脂肪酸は炎症を引き起こす作用がある

オメガ6脂肪酸は、炎症を促す作用があります。対して同じく必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸は、炎症を抑える作用があります。

炎症を促すオメガ6脂肪酸と、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸、この相反する作用を脂肪酸をバランスよく摂取することで、皮膚や被毛の健康を維持します。

オメガ6脂肪酸が炎症を促すなら、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸だけでいいじゃないか、と一見思うかもしれません。

ですが、それでは古い皮膚や被毛がずっと変わらずキープされ、ボロボロの皮膚や被毛のままサイクルも入れ替わりません。正常な範囲の炎症が起こることで、新しい細胞と入れ替わり、美しい皮膚や被毛が保たれるので、炎症を促すオメガ6脂肪酸も必要不可欠です。

オメガ6脂肪酸の必要量

オメガ6脂肪酸 ドッグフード画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports|AAFCO 

  • Linoleic acid  幼犬期:1.3% 成犬期:1.1%
  • (Linoleic + Arachidonic):(alpha-Linolenic +Eicosapentaenoic + Docosahexaenoic) acidratio 最大30:1

オメガ6脂肪酸は、リノール酸(Linoleic acid)の最低基準が幼犬期1.3%、成犬期1.1%でそれぞれ定められています。また、リノール酸とアラキドン酸を合わせた量と、オメガ3脂肪酸との比率は最大30:1となっています。

オメガ6脂肪酸は様々な食べ物に含まれるので、不足することはほとんどなく、総合栄養食を食べていればまず欠乏することはありません。

むしろオメガ6脂肪酸は全体的に過剰摂取になりがちで、オメガ3脂肪酸とのバランス比率について心配されることが多い栄養素です。

リノール酸(Linoleic acid)

リノール酸は代表的なオメガ6脂肪酸のひとつで、生体内では細胞膜を構成し、生体膜の機能を維持する役割があります。

リノール酸はベニバナ油(サフラワー油)やコーン油、大豆油など植物油に多く含まれていて、不足することは稀ですが、欠乏すると成長抑制や皮膚の炎症などをおこすため、ドッグフードの成分基準でも幼犬期・成犬期それぞれにリノール酸の最低基準が定められています。

リノール酸は酸化されやすい性質をもっており、酸化すると体内で「過酸化脂肪酸」を生じ、発がんの原因となる可能性があります。また、アレルギーの悪化や大腸癌のリスクを高めるという報告もあり、多く摂取しないよう注意が必要です。

猫の場合、リノール酸からアラキドン酸に変換できないため、アラキドン酸も最低量が定められていますが、犬は人と同様で、リノール酸からアラキドンに変換して利用することができます。

アラキドン酸(Arachidonic acid)

アラキドン酸も代表的なオメガ6脂肪酸のひとつで、生体内では免疫系細胞のリン脂質を構成し、成長期には学習能力や記憶力の向上のために必要な成分です。

肉類やレバー、卵などの動物性食品に多く含まれます。近年、肉をメインにしたドッグフードが増えたことで、アラキドン酸の摂取量は以前よりも増えているので、不足することほとんどありませんが、脳や体の成長に必要不可欠なので、幼犬用ミルクなどには添加されています。

しかしアラキドン酸は、刺激や障害を受けた際に炎症を引き起こす前駆物質にもなるため、リノール酸と同様、過剰摂取しすぎないよう量やバランスには注意しなければなりません。

γ-リノレン酸(γ-Linolenic acid)

γリノレン酸は、アラキドン酸とともに「ビタミンF」と呼ばれることもあるオメガ6の必須脂肪酸のひとつです。

γリノレン酸は、プロスタグランジン(アラキドン酸から生合成されるエイコサノイド)の働きによって体内で血糖値やコレステロール値、血圧を下げる効果があり、生活習慣病予防への効果も期待されています。

月見草油などに含まれる脂肪酸で、不足すると皮膚の異常や脱毛を引き起こすことが知られています。

ただ炎症を引き起こす前駆物質となるアラキドン酸へ変換されるので、アラキドン酸と同様、過剰摂取は禁物です。

まとめ

犬田さん
今回はオメガ6脂肪酸について、またオメガ6に分類される栄養素についてそれぞれの性質や働き、欠乏・過剰になった時の問題についてご紹介しました。
  • オメガ6脂肪酸はリノール酸、アラキドン酸、γリノレン酸がある
  • リノール酸の最低基準と、オメガ3脂肪酸との比率がAAFCOの基準で定められている
  • 不足は皮膚や被毛の健康が損なわれる
  • 過剰摂取は皮膚の炎症や脱毛、アレルギー症状を引き起こす
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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。