今回は、犬の貧血についてしっかり理解していきましょう。 犬の貧血とは、赤血球やヘモグロビンが不足し、体に十分な酸素が運べなくなる状態を指します。 骨髄は、体の中で血液細胞を生み出す“製造工場”のような役割を担っており、骨髄の造血幹細胞が分化して作られた赤血球が血管内へ送り出されます。赤血球の内部にあるヘモグロビンは肺で酸素を受け取り、全身の組織へ届ける重要な働きをしています。役目を終えた赤血球は主に脾臓に運ばれ、免疫細胞(マクロファージ)によって分解されます。 犬の赤血球の寿命はおよそ100日前後とされ、健康な状態では「製造される赤血球」と「分解される赤血球」のバランスが取れているため、血液中の赤血球数は安定されます。しかし、体内で異常が起こると赤血球が不足し、結果として貧血が発生します。 貧血と一口に言ってもその原因はさまざまであり、「なぜ赤血球が減ってしまったのか」という原因から3つに分類できます。 出血性貧血とは血液が失われることで起こる貧血で、犬の貧血で最も多くみられます。出血が急激に起こる場合と、少量の出血が長期間続く慢性タイプがあり、早期の出血源特定が重要となります。 とくに高齢犬では、消化器の腫瘍や潰瘍が慢性的な出血源となり、ゆっくりと貧血が進行することがあります。 急性の大量出血では命に関わるため、早急な処置が必要です。 出血性貧血は原因がはっきりしていることが多く、治療すれば改善する場合が多い貧血です。発見の早さが鍵になります。 溶血性貧血とは、赤血球が正常な寿命より早く壊れてしまうことで発生する貧血です。とくに犬では「免疫介在性溶血性貧血」がよく知られ、体の免疫が赤血球を「攻撃対象」と誤って破壊してしまうことで起こります。 とくに免疫介在性溶血性貧血は中型犬~大型犬で発症が多く、緊急治療が必要になることが多い疾患です。 赤血球が壊されるスピードが速いため、急激に悪化しやすい点が特徴です。 溶血性貧血は、早期の治療開始が予後を大きく左右する疾患です。気になる症状を見逃さないことが重要です。 再生不良性貧血とは、赤血球を作り出す骨髄そのものが正常に働かなくなり、赤血球の産生能力が著しく低下することで起こる貧血です。犬では頻度は低めですが、骨髄の造血機能が落ちると、赤血球だけでなく白血球や血小板も同時に減少することがあり、感染症のリスク増加や出血傾向など、体にあらゆる影響が及びます。 高齢犬で多く見られますが、薬剤の影響はどの年齢でも起こり得ます。 再生不良性貧血は自然治癒することはほとんどなく、早期診断・適切な治療が必須です。



貧血とは?
体内の赤血球が不足している状態
原因によって3種類に分けられる
①出血性貧血
主な原因
症状
飼い主ができること
②溶血性貧血
主な原因
→ 原因不明の場合も多く、急激に悪化することがある症状
飼い主ができること
③再生不良性貧血
主な原因
症状
飼い主ができること
まとめ
犬の貧血とは?歯茎の色・息づかいでわかる危険サインと飼い主ができること

愛犬が散歩中にすぐ立ち止まるようになったんです。疲れている、歩きたくないという意味なのでしょうか?
その可能性もありますが、実は“貧血”が原因ということもあるんです。犬の貧血は見た目では気づきにくく、進行して初めて異変に気づくケースが多いんですよ。
貧血ってそんなに気付きにくいものなんですね!
はい。貧血は「体が酸素を運べなくなる状態」で、命に関わる病気が隠れていることもあります。犬は自分で「苦しい」と言えませんから、飼い主さんが早く気づいてあげることが命を守ることにつながります。













































































































