犬の体重が増えてきたと感じたとき、「ダイエットフード」を検討する方も多いのではないでしょうか。しかし、ダイエットフードとひと口に言っても、その特徴や栄養設計は商品によって大きく異なります。体重管理は健康寿命に直結する重要な要素だからこそ、正しい知識をもとに選ぶことが大切です。
ここでは、犬のダイエットフードの特徴や配合成分・栄養素について解説します。
犬のダイエットフードとは?
肥満予防や体重減少が目的
ダイエットフードとは、犬の肥満予防や体重減少を目的に作られた特別設計のドッグフードのことです。単にカロリーを減らしただけのドッグフードではなく、満足感を得られるように食物繊維量を調整したり、筋肉量を落とさないよう高品質なたんぱく質を確保したりと、総合的なバランスに配慮されています。
肥満は関節疾患、糖尿病、心臓病、呼吸器のトラブルなど多くの疾患リスクを高めるため、ダイエットフードの需要は高い傾向にあります。
ダイエットフードには別名称もある?
商品によっては、「ダイエット」ではなくさまざまな名称で販売されています。
- 体重管理フード
- 体重管理サポート
- ライト(Light)
- カロリーケア
- 低脂肪フード
- 減量サポート
- スリムケア / スマートケア
いずれも目的は共通しており、「エネルギー量を抑え、健康的な体重維持を助ける」という点で考え方は同じです。
とくにこの犬種は太りやすい
犬の体質や体型は犬種によって大きく異なり、その違いは太りやすさにも反映されます。
・パグ、フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグなどの短頭種
→呼吸機能の特徴から運動量が少なくなりやすく、消費カロリーが低い傾向
・ビーグル、ラブラドール・レトリバーなど食欲旺盛な犬種
→与えられた分以上を求めることが多く、気付かないうちに体重が増えてしまう傾向
・ダックスフンド、コーギーなど胴が長い犬種
→肥満による腰や関節への負担が顕著に現れるため、体重管理がとくに重要
犬種による「太りやすさの傾向」を理解しておくことで、適切なドッグフード選びや日常のケアがしやすくなり、肥満による病気のリスクを大きく減らすことができます。
ダイエットフードに含まれる主な栄養素・成分
① 高品質な動物性タンパク質
ダイエットフードでは、体脂肪を落としながらも筋肉量を維持するために、高品質な動物性タンパク質がとくに重視されます。減量中に不足すると代謝が落ち、かえって痩せにくい体になってしまいます。
とくにチキンやサーモン、ターキーは犬が必要とするアミノ酸バランスを満たし、消化吸収が良く、基礎代謝を支える重要な栄養素です。
② 食物繊維
ダイエットフードには不溶性・水溶性の食物繊維がバランス良く配合されることが多く、満腹感の維持に役立ちます。ビートパルプやセルロース、おからなどの食物繊維は胃腸に長くとどまり、少ないカロリーでも満足感を得やすくします。
また、糖の吸収を緩やかにする働きがあり、血糖値の急上昇を抑えて脂肪の蓄積を防ぐ効果も期待できます。便通を整える働きもあるため、減量中に起こりがちな便秘予防にも役立ち、健康的なダイエットをサポートします。
③ L-カルニチン
L-カルニチンは脂肪をエネルギーとして利用する際に不可欠なアミノ酸で、とくにダイエットフードに配合されることが多く見られます。
体内で脂肪酸をミトコンドリアへ運び、燃焼しやすい形に変える働きがあり、効率的に脂肪を代謝することを助けます。加齢や運動不足によりカルニチン量は減少するため、太りやすい犬や高齢犬にはとくに有効とされています。
④ 脂質は控えめだが必須脂肪酸は確保
脂質は高カロリーな栄養素のため、ダイエットフードでは脂質量を低く抑える設計がされます。しかし、脂質は犬の皮膚や被毛、細胞膜の健康維持に欠かせない栄養素であるため、オメガ6脂肪酸・オメガ3脂肪酸などの必須脂肪酸が配合されています。サーモンオイルや亜麻仁油など、吸収しやすく必要量を満たす原材料が使用される点も特徴です。
脂質を極端に減らさず、必要な脂肪だけを残すことで、健康を維持しながら安全に減量できるバランスの良いドッグフードが実現します。
⑤ ビタミン・ミネラルの強化
ダイエット中は給与量が通常より少なくなるため、栄養不足にならないようビタミンやミネラルが強化されています。ビタミンB群はエネルギー代謝を促進し、体の「燃える力」をサポートします。ビタミンEやビタミンCなどの抗酸化成分は、減量中の体の負担を軽減する働きがあります。また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも、骨や筋肉の維持に欠かせません。
低カロリーでも栄養密度の高い設計により、健康を保ちながら体重管理ができるよう工夫されています。
ダイエットフードを選ぶときのポイント
運動と生活管理もセットで考える
ダイエットフードは「食べれば痩せる」というわけではなく、あくまで「肥満の予防」です。散歩の回数や距離を増やす、食事の時間を見直す、おやつを減らすなど、生活全体の見直しが不可欠です。
体重管理は犬の寿命を左右する重要な習慣です。無理をせず、時間をかけて取り組むことが成功のポイントとなります。
動物性タンパク質が主原料であること
減量中でも筋肉を維持するためには、消化吸収の良い動物性タンパク質が欠かせません。原材料欄の最初にチキンやターキーなどの高品質な動物性タンパク質が記載されているかをチェックしましょう。タンパク質の質が低いと代謝が落ち、かえって痩せにくい体になります。
まとめ
- ダイエットフードとは、低カロリー・高タンパク・高食物繊維を組み合わせた体重管理用フード
- 食物繊維やL-カルニチンなど、脂肪燃焼や満腹感を助ける成分が特徴
- 別名称には「ライト」「体重管理」「減量サポート」などがある
- ダイエットフードだけに頼らず、生活習慣全体の見直しが大切


















































































































