ではここでは犬におけるドッグフードのカルシウムとリン、そしてマグネシウムのバランスについて見ていきたいと思います。
カルシウムとリンの適切な比率
適正比率は1:1~2:1
AAFCOの栄養基準によれば、犬にとって適切なカルシウムとリンの比率は、カルシウム : リン = 1:1 ~ 2:1とされています。カルシウムの量がリンの量の1~2倍の値の間であれば正常の範囲ということになります。
最低量は成犬と幼犬で異なる
比率は幼犬も成犬も同じですが、最低量の基準値は、どちらも幼犬の方が高く設定されています。
- カルシウム最低量:成犬0.5%以上、幼犬1.2%以上
- リン最低量:成犬0.4%以上、幼犬1.0%以上
これは幼犬が成長のために多くのカルシウムを使うためだと考えられます。最高値については同じで、成犬用も幼犬用もカルシウム量1.8%以下、リン1.6%以下と設定されています。
カルシウムとリンのバランスが重要な理由
カルシウムとリンの欠乏は骨の形成に関わる
カルシウムとリンは共に骨や歯を作る成分です。骨といえばカルシウムだけのイメージが強いかもしれませんが、骨や歯を形成するにはカルシウムだけでなくリンもバランスよく配合されなければなりません。
カルシウムやリンが欠乏すると骨粗鬆症や発達障害などが見られます。
カルシウムとリン過剰摂取は腎・尿路疾患に関わる
反対にカルシウムやリンの摂取が過剰になり過ぎても、尿路結石(結石症)や膀胱炎などの尿路疾患や腎臓疾患を招くので、沢山与えればいいわけではありません。
近年のドッグフードは、リンを多く含む肉や魚を多く使用しているため、ドッグフードに含まれるリンの量も多くなってきています。ドッグフードを選ぶ際にはリンの量にも気を付けていきたいところです。腎臓病や尿路疾患に配慮したドッグフードでは、リンを制限した低リン食のドッグフードが販売されています。
マグネシウム量や比率も見ておこう
骨や歯にはマグネシウムも大切
骨や歯には「マグネシウム」の働きも重要です。
マグネシウムは体の中で起こる様々な化学反応に関係していて、半分以上は骨に沈着しています。
骨や歯を形成する成分としてカルシウムとリンを紹介しましたが、マグネシウムにはカルシウムによる筋収縮を制御したり骨を安定させる働きなどもあり、不足すると骨粗鬆症のリスクが高まるので、骨の健康を保つにはカルシウムとリンと合わせてマグネシウムの摂取も考慮します。
マグネシウムは0.06%以上
犬の適切なマグネシウム量は、0.06%以上とされています。これは幼犬も成犬も変わりません。
ドッグフードのカルシウムとリンのまとめ
カルシウムとリンとマグネシウムが犬の骨の構成には大切なんですね。確かにドッグフードによっては裏面にカルシウムとリンとマグネシウムの量が書かれていることがありました。
比率が適切であるということを示したかったんですね。勉強になりました。