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ドッグフードの原材料:チャーガ(chaga)
チャーガ(和名でカバノアナタケ)とは、主にシベリアなどの寒冷地の白樺の木に寄生するきのこの一種です。外見は黒く炭化したような塊で、内部は鮮やかなオレンジ色をしています。
チャーガは白樺の木2万本に1本の割合でしか見つからないとされ、その希少性から「森のダイヤモンド」や「幻のキノコ」とも称されています。また健康効果が霊芝に似ていることから「シベリア霊芝」とも呼ばれています。
チャーガは、ロシアや北欧の伝統医学で何世紀にもわたり、健康維持や病気予防のために利用されてきました。
チャーガの栄養素と犬への健康効果
チャーガの健康効果
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
- 抗腫瘍・抗がん作用
- 抗ウイルス・抗菌作用
- 血糖値の安定
- 肝機能サポート
- コレステロール・血圧の調整
体のサビを防ぐ!チャーガの「SOD酵素」とは
チャーガにはSOD酵素(スーパーオキシドジスムターゼ)が豊富に含まれており、体内の酸化ストレスを軽減し、細胞の健康を守るとされています。
SOD酵素とは体内で発生する有害な活性酸素(フリーラジカル)を分解・無害化する働きを持つ酵素で、老化や生活習慣病の予防に重要な役割を果たしています。
活性酸素は加齢やストレス、汚染物質などの影響で増加し、体の細胞や組織にダメージを与える原因になりますが、SOD酵素はその「サビ取り」のような働きをしてくれます。それにより免疫力の維持や老化予防、炎症対策に役立つ可能性があります。
ベツリン酸の抗炎症作用
チャーガには、白樺の樹脂に由来する天然のトリテルペン類の一種「ベツリン酸」が含まれています。チャーガの外側の黒い部分(黒殻)に多く含まれており、その元となるベツリンも白樺樹皮に豊富です。
抗炎症作用があり、関節疾患や皮膚トラブルなど慢性的な炎症を伴う症状の改善に効果があるとされています。また、抗酸化作用による老化予防や、抗腫瘍作用を示唆する研究報告もあり、シニア犬や持病を抱える犬の健康管理素材としても注目されています。
犬の膀胱がん細胞の増殖を抑える
チャーガには膀胱がんに対する抗腫瘍作用があることが、イヌ膀胱がんオルガノイド(DBCO)を用いた研究で示されました。
チャーガ抽出物をDBCOに投与したところ、がん細胞の生存率が濃度依存的に低下し、細胞周期の停止やアポトーシス(細胞死)が誘導されました。また、がん幹細胞マーカーや、増殖に関与するシグナルの発現も抑制されました。さらに、抗がん剤との併用では相乗効果が見られ、マウスにおける腫瘍の縮小も確認されています。
これらの結果から、チャーガは化学療法を補助し、副作用の軽減や再発予防に役立つ可能性のある天然サプリメントとして期待されています。
つまり、チャーガは犬の膀胱がん細胞の増殖を抑えたり、抗がん剤との併用で効果を高める可能性があると注目されています。
参考:犬の膀胱癌オルガノイドに対する チャガキノコ(イノノタス・オブリクウス)の抗癌活性
犬はチャーガを食べても大丈夫?
食べても大丈夫!
犬はチャーガを食べても大丈夫です!
日常食材というよりは健康食品やサプリメントなど機能性食材として扱われています。希少であるためスーパーで見かけることはほぼなく、購入するには自然食品店や専門店、通販サイトで探す必要があります。
チャーガは免疫サポートや抗酸化作用を目的に、ドッグフードや犬用製品、犬用サプリメントの原材料に使用されることがあります。
犬へのおすすめの与え方

チャーガは日々のドッグフードにトッピングとして加えたり、手作りごはんの材料として取り入れるのが効果的です。毎日ではなく、時々のおやつや健康サポートとして与えるのが良いでしょう。
チャーガティーのように煮出したものを少量ずつ与えるのが安心です。粗熱を取って常温まで戻したチャーガティーをドッグフードにトッピングしたり、たまの水分補給として犬に与えることで、香りが立って嗜好性が高まります。
犬にチャーガを与える際の注意点
生のチャーガの樹脂成分は代謝されにくい
犬はチャーガを食べても大丈夫ですが、生食はNGです。
前述でベツリン酸の健康効果について解説しましたが、トリテルペン類は脂溶性かつ吸収されにくい性質を持っているため、肝臓や腸で代謝されにくく、過剰摂取や不適切な与え方により消化器系や肝機能に負担をかける恐れがあります。
とくに消化機能が未発達な子犬や、高齢犬、肝臓疾患を持つ犬では、これらの成分をうまく処理できず、体に負担がかかることもあります。
そのため、犬にチャーガを与えるのは必ず加熱調理・抽出処理されたものを与えましょう。
糖尿病の治療薬との併用は低血糖のリスクを高める
チャーガに含まれるβグルカンやポリフェノール類、トリテルペン類などは血糖値を下げる作用があるため、糖尿病の治療薬(インスリンなど)と併用すると低血糖のリスクが高まる恐れがあります。
糖尿病の治療をしている犬にチャーガを与える場合には、与える前に必ず獣医師と相談しましょう。
チャーガが原材料のドッグフード例
チャーガはさまざまなドッグフードの原材料に使用されています。
原材料欄にはチャーガの他に、乾燥チャーガ、チャーガエキス、チャーガパウダー、チャーガ(シベリア霊芝)などと表記されます。
- DOZO ドッグフード
- 和漢みらいのドッグフード
- 健康プラス チャーガ丸
- Petee 北海道産カバノアナタケ濃縮エキス
など
まとめ
- チャーガのSOD酵素は体内の活性酵素を分解・無毒化する
- ベツリン酸は抗炎症作用や抗酸化作用を持つ
- チャーガの摂取はがん細胞の生存率の低下、細胞死の誘導などの効果がある
- 犬はチャーガを食べても大丈夫だが、生食はNG